グラフィックデザイナー~人生で一番印象に残っている恋愛~
広告や印刷を手がける会社に所属して、主に紙媒体の広告物(チラシやダイレクトメールなどの販促ツール)や商品パッケージのデザインなどをする仕事でした。
クライアントとの関わり方の深度は案件によってさまざまですが、基本的には、まず発信したい情報の内容(商品やサービス、イベントなど)をよく理解し、そのうえでその情報を届けたいターゲットがどのような人なのか、結果として何をどのようにもたらしたいのか、などについてもクライアントからくわしくヒアリングすることが大切なスタートとなります。
それらを頭にたたき込んだうえで、深く考察し、それらにふさわしい表現方法をあみだして実際に目にしたり手にすることができる形に仕上げていくことがこの仕事の本質的なところです。
ひと目見ただけで高級感が漂うタワーマンションであったり、激安!がパッと伝わるスーパーの特売セールであったり、心穏やかに毎日を過ごせそうな介護施設であったり…と、訴求したい内容にあわせて表現を巧みに使い分けるのが腕の見せ所です。
グラフィックデザイナー~一番嬉しかったこと~
もちろんある程度のセオリーはあるものの、自分自身が自由に考えたものが世の中に広まっていくということには大きな喜びがあると感じられます。
ときには、業界のセオリーの裏をかくような意外性のある型破りな表現方法を敢えて用いるような挑戦をしてみることもとても意欲的でやりがいを感じる仕事への取り組み方だと思います。
また、自分が大好きで就いた仕事であっても、いつしかそれがルーティンとなって毎日が同じことの繰り返しになってしまうことは誰しもよくあることだと思います。
この仕事であってもそういったことは例外ではありませんが、幸いにも多くのクライアントさんは、ご自身が必死で生み出した新商品やサービスをどうにかしてたくさんの人々に知ってもらい、成功につなげたい!という高い熱量を持っていらっしゃるので、その熱量がついたるんでしまいがちな自分自身への高カロリーな燃料となってくれるのも、この仕事のやりがいでもあると思います。
グラフィックデザイナー~印象的な喧嘩の内容~
広告業界全般について言えることだと思いますが、
広告物の良し悪しは人それぞれの感覚によって大きく左右されるものであるというところです。
たとえば、
苦労を重ねて自信満々で仕上げたものがすっかり全否定されたり、
クライアントの意向が自分のセンスに沿わず、苦痛を伴う仕事になってしまったり
といったことは日常茶飯事です。
やり直しに要した労力や作業時間は、
それがそのまま対価を得られるわけではないので(すなわちタダ働き)ダメ出しが続いたり、案件そのものがこじれてきたりすると、
心身ともにモチベーションを保つのが非常に大変になってきます。
しかしながら、時には
そのような案件ほど良い結果をもたらすということも珍しくないので、
イヤイヤ成し遂げた案件が大ヒットしたりすると心境は複雑です。
グラフィックデザイナー~一番悩んだこと~
色彩検定やカラーコーディネーター検定などは、
基本的な知識を身につけるという意味でおすすめできます。
あとはデザイナーとして何かひとつ秀でたものを身につけておくといいかも。
たとえば、イラストが描ける、写真が撮れる、画像補正ができる、
コピーライティングができる、マーケティングが分かるなどのスキルは大きな武器になります。
グラフィックデザイナー~その悩みをどうやって解決したか~
グラフィックデザイナーは、決してアーティストではないので、
自己の極端な主張ばかりを通そうとする人には向いていない職業だと感じます。
もちろん、プライドを持って自分の仕事に自信を持ち、やり遂げることは大切ですが、
多様なステークホルダーたちの満足度が最大化するように調整する能力もまた非常に大切です。
もっと言えば、あちこちで好き勝手ばかり言っている連中を、
より高い次元のアイデアと表現力でぐうの音も出ないようにする、
というのが理想とされるデザイナーの姿かもしれません。
また、
同じことを真逆からの視点から繰り返し言うようですが、
主張をしなさすぎて言うなりで仕事をしてしまうタイプの人は向いていないと思います。
いろんな要望にその都度言われるまま応えていると、
その結果できあがったものは「何これ?」というものになってしまうというのもあるあるです。
グラフィックデザイナー~その相手との後日談~
まずは先輩のアシスタントからスタートするのが一般的なルートではないかと思います。
センスを磨くとかいう以前に、文字や画像の取扱いや、印刷や紙などについて
知識として身につけなければならないことが多いので、アシスタント業務を通じて
それら最低限の知識から習得していきます。
すこしづつ自分で「考えて」表現することを任されるようになるので、
同じく先輩から指導を受けながら、任される領域を広げていきます。
難易度の低い案件を任されたり、コンペなど複数案必要な案件に際して
案出し要員に加わったりします。
実績が認められるようになれば、
自らのクリエイティブを武器にデザイナーとして独り立ちするようになります。
多くの組織ではデザイナーの上層に「ディレクター」職が置かれていますので、
スケジュールやクオリティなどについて指示や相談を受けながら仕事を進めます。
適性があれば、ディレクター職に昇進することも考えられます。
自身が手を動かすよりも、デザイナーや部署全体をコントロールする立場になります。
グラフィックデザイナー~長く付き合っていくためのアドバイス~
デジタル化の浸透により、紙媒体や印刷物は長らく斜陽化の憂き目にあいます。
しかしながら、たとえばレコードプレーヤーやフィルムカメラのように、その価値が再評価されていくとの見方も根強くあり、
付加価値を高めながら一定の規模で存続していく技術であるとも言われています。
デジタルデバイスが普及し、誰でも手軽に文字や画像を扱うことができるようになった今こそ、
正しい「デザイン」を理解し実践できるデザイナーは貴重な存在になります。
このことは、多くの広告の媒体がデジタルへと変遷している状況下で、
グラフィックデザイナーにとってWebの領域へと活路を見出すチャンスを見ることもできます。
デザインやグラフィックの知見は、Webデザインとも共通する要素も多く、
Webの技術やWebマーケティングの知識をプラスすれば、その活動領域は大きく広がります。
メディアミックスがもてはやされる昨今の潮流において、
Webと関連した販促ポスターや商品パッケージのデザインが複合的に展開されるキャンペーンも多くあり、
知識さえあればグラフィックデザイナーの需要はまだまだ衰えることはなさそうです。
グラフィックデザイナー~今当時を振り返って、過去の自分や同じような状況の方にかけたい言葉~
デジタルデバイスの普及によって、
誰でも「それっぽい」デザインは簡単に生み出せるようになりました。
しかし、それがプロの手になる価値のある「商品」になり得るかどうかは、
見る人が瞬時に判断するものです。
手垢にまみれた価値観を軽々と飛び越える、
天才的なデザインを生み出す未経験の人もいるでしょうが、それは例外です。
もし天才でないのなら、薄給でも見習いデザイナーとして、
組織に属して下積みから始めるべきです。
最初は、デザインは必ずしも周りに理解されるものではありません。
そのため、忌憚のない指摘を受けられる環境に身を置くことをおすすめします。