パプリカの評価

今回紹介する作品タイトル

パプリカ

あらすじ

「パプリカ」は今敏監督によるSFアニメ映画です。
ヒロイン・千葉敦子は、他人の夢に潜り込む装置「DCミニ」を使って、夢の主の精神的治療を行うサイコセラピスト。
そんな彼女の夢の中での姿こそ、「パプリカ」と呼ばれる謎めいた女性なのです。
ところがある日、彼女が務める研究所で、DCミニの盗難事件が発生。
まずいことにDCミニにはアクセス制限がかかっておらず、誰にでも悪用可能な状態にありました。
敦子の懸念は現実のものとなり、研究所内や街中で、DCミニの悪用が原因とみられる事件が起こり始めます。
敦子はDCミニの開発者である同僚・時田や研究所所長・島らと協力し、犯人の正体とその目的を探るため奔走を始めるのです。

おすすめする(見どころ)ポイント

「夢の中」の描写やセリフ回しが一番の見所です。
夢の中では、目が覚めれば「おかしい」と分かる出来事も至極正常なものに感じたり、現実では有り得ない混沌とした世界が広がっていたりします。
しかし、夢の中ではあんなに色濃かった世界も、目が覚めれば自然と薄らいでいくものです。
ところがこの作品の中では、そんな「夢の中の世界」が見事に描写されています。
そして、「その世界に違和感を持たない」という一種の異常性が巧みに表現されており、美しさと狂気、楽しさと恐怖を同時に味わうことができるのです。

改善してほしいと思ったポイント

「改善して欲しいポイント」とは少し違うかもしれませんが、ストーリーのオチには少し納得いきかねるところがありました。
多少、視聴者に想像の余地を残すラストであり、そういう類の話は嫌いではないのですが、DCミニの効果の拡大解釈が過ぎると感じられる点があり、少し気になりました。

やるべき・観るべき

仄暗さのある美、恐怖を内包した美、といったものに惹かれる人にはぜひおすすめしたい作品です。
絵柄も表情の付け方もリアル寄りなので、アニメ慣れしていない人でも純粋にストーリーや映像美を楽しめると思います。
夢の中・狂気など少し怖いテーマを孕んだ作品ではありますが、ホラー映画というわけではないので、ホラーが苦手な人でも安心して視聴できます。

類似似作品

パプリカの類似作品として挙げられるのは、クリストファー・ノーラン監督の映画「インセプション」です。
パプリカとインセプションは、主人公が他者の夢の中に潜入する点、夢の中の出来事が現実に作用する点などが共通しています。

総評

「パプリカ」は美しい絵、美と狂気を内包したストーリー、「夢の中」というそこはかとなく恐ろしいテーマなどが絶妙なバランスをもって成り立つ傑作SF映画です。
話のテンポも良く、テーマがやや取っつきにくいのに対し意外なほど誰にでも理解しやすいストーリーなので、多くの人にオススメしたい作品でもあります。
なお、この映画は今敏作品のアニメ映画としては最後の作品になります。見れば、きっと今監督の他の作品にも興味が湧くでしょう。

この記事は役に立ちましたか?

もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。