建設業の技術者(現場監督)の仕事内容、やりがい、向いている人、未経験から始めるには?

建設業の技術者(現場監督)での主な仕事内容

建設会社の技術者として、施工管理を行っていました。いわゆる現場監督というものです。仕事の内容は、公共事業として役所から発注された工事を図面や仕様書の通りに施工していく過程で、予め役所が定めている寸法や規格や品質の基準に適合していることを測定して記録を残していく作業がメインです。建設工事では、出来上がるまでに色々な段階を踏んでいくので、その段階で確認しなければ完成してからでは見えなくなるようなものも少なくありません。例えば、鉄筋を組み上げた時に図面通りに出来ているのか、鉄筋同士の間隔やコンクリート表面からの距離が小さすぎないか等は、コンクリートを打ってしまうと見えなくなるので、工事の途中段階で確認が必要です。役所の担当が確認したり、役所の検査員が検査したりと細かく定められています。また、役所は工事の記録についても必要な書類が多くあります。それらを整えながら日々の作業を指揮するのが現場監督の仕事です。

建設業の技術者(現場監督)ならではのやりがい

やはり、建設現場で出来上がるものはこの世にここだけにしかないたった1つのものであることから、自分が関わって作られたものだという喜びがあります。また、その建設物は、ずっと残るものなので、地図にも載ることになるし、場合によっては観光スポットにもなったりすることもあります。そのような場所をつくることに関係できたことが誇りに思えることがあります。また、現場で作業をしていると、予期せぬトラブルが出てくることがよくあります。例えば、土を掘っていたら途中から岩に変わっていたりして、機械を変更しなければならなくなったり、基礎の構造を変更することが必要な時もあります。そのようなときには、計算をやり直したり役所に資料を持って説明に行ったりという苦労や工夫を経て工事が完成したときに味わう達成感は何事にも代えられない喜びとなって心に残ります。

建設業の技術者(現場監督)のマイナスポイント

現場の苦労がかなり多くて、時には耐えきれずに辞めてしまうこともあるほどです。役所の発注図面と現場が異なっているときに、我々建設会社としては完成させるために施工方法の変更を提案します。しかし、役所がその変更の必要性を認めてくれなければ、施工方法の変更に要した費用の増額を自分たちが被らなければならなくなります。そうならないために役所を納得させるための資料づくりを夜遅くまですることは大変な負担になっていました。また、書類の作成方法が頻繁に改定される上に、自治体によってばらつきがあるため、過去の経験を基に書類を丁寧に作成しても、役所の指示によって修正や作り直しが頻繁にあることもなかなか骨が折れることでした。

建設業の技術者(現場監督)の仕事に活かせる経験・スキル・資格

公共事業の受注にあたり、配置技術者として登録できる資格となる、一級土木施工管理技士や監理技術者の資格を取得していると、会社にとっては、受注件数を増やすことができるので、資格保有者は重宝されます。あとは、土留めや掘削等の作業主任者として登録できる資格があると有利です。

建設業の技術者(現場監督)の仕事に向いている人・向かない人

向いている人は、とにかくタフな人だと思います。現場作業において、ほとんどは作業員がするので現場監督が作業することはあまり無いが、手伝うことはあります。こういうときのために体がしっかりとしている必要はあると思います。また、現場では、地面の下に岩が出てきたり、湧水がでてきたり天候が悪いなど、想定していなかった事態になることが多いため、そのような不測の事態に遭遇しても、施工の段取りを変更し、役所への説明を資料作成も含めてしっかりと準備して対応することができる精神的なタフさも必要になってくると思います。反対に、トラブルが生じたときに悲観的になったり、混乱して投げ出してしまうような人は向いていないと思います。

建設業の技術者(現場監督)仕事でのキャリアパス

入社してから最初は現場の見習いからスタートします。そこでは作業員として現場のやり方を身をもって学ぶとともに、どんな行動が危険なのかという安全についても学びます。また、毎日昼休みの他に10時と15時に休憩をとっていることでリフレッシュできることも体験しておきます。このことが作業員の上に立つ立場になったときに彼らの苦労も理解できることに繋がります。それから、現場経験を所定の年数だけ積むと、施工管理技士の受験資格を得られます。その頃は昼間は現場で働きたながら夜は資格試験の勉強をするという過酷な日々を過ごしています。晴れて資格を取得すれば、現場監督として施工管理を任されます。そうやって幾つかの現場での経験を積んでベテランとなると、部長として複数の現場監督を指揮する立場になります。技術者の配置計画や教育等を担うようになり、指導者としての側面が強くなります。

建設業の技術者(現場監督)業界の最近の動向

最近の最も大きな話題は、労働時間の上限が定められるようになった、いわゆる24年問題です。これまでは技術者の個人の頑張りによって、昼間は現場で記録の測定や写真撮影を行って夜はそれら記録の整理や書類作成、下請けや資材メーカーとの段取りという、過酷な労働がなんとかこなされていたのですが、労働時間が厳格に管理されるようになると、個人が夜遅くまで仕事をしてもインターバル制度によって翌日は休まなければならなくなったりして、現場が回らなくなってしまう恐れがあります。その対策としてまず1つは人材確保が必要だと言われています。施工管理を複数で分業化することによって個人の労働時間が長時間となることを是正しようとする取り組みです。もう1つはICT化による省力化への取り組みです。ダムなどの大規模な工事では施工機械が無人化されて作業員の数が減らされ、技術者は遠隔監視によって施工管理する試みが始まっています。同時にスマホ等に施工管理のアプリをインストールして現場で測定や撮影したデータから記録が自動的に作成できるようなツールも開発されてきています。
その他の大きな動向としては、建設業を魅力ある職業としてアピールすることで人材を確保する取り組みが盛んになってきています。国土交通省が制定する公共事業の労務単価はここ数年大幅な上昇傾向にあり、建設業ではひと昔前よりも利益率が上がってきています。ただし、近年は資材や燃料の価格もとても上昇しているため、実態の利益率はそれほどでもないという意見もあります。人材確保の必要性が叫ばれている背景には、近年多発する豪雨災害や地震の際に地域で応急復旧作業の担い手がなかなか確保できなくなりつつあることへの懸念があると言えます。かつての、キツイ、危険、汚いの3Kから、希望、給与、休暇の新3Kと標榜していますが、はたして建設業が魅力ある職業となるのか取り組みが成功することを祈ります。

建設業の技術者(現場監督)仕事を未経験で目指すには?

工業系の学科を卒業していれば、施工管理技士の資格試験を受験する資格を得るための経験年数が短縮されるメリットがあります。工業系以外の学科を卒業している場合は、現場での作業員からキャリアをスタートさせる必要があります。最も長く経験年数を積まなければならない期間は10年間なので、相当の苦労が予想されます。なんとか施工管理技士の資格を取得すれば業界で生きていくことはできるようになると思います。休みは少なくて天候が悪くも外で作業しなければならないので大変ではありますが、毎日働いたという充実感は得られると思います。

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