ブルー・マインドの評価

今回紹介する作品タイトル

ブルー・マインド

あらすじ

両親の仕事の都合で急遽転校することになった15才の少女、ミア。新しい街と不慣れな学校。憂鬱な気持ちを誰にも言えずひっそりと抱えたまま、ミアは思うように友達も作れずにいた。しかし、ある時、クラスの中でも一際目立つ存在のジアンナたちと仲良くなる。ジアンナは垢抜けていて、そして少し悪めいたグループに所属するリーダー的存在。ミアはそんなジアンナたちのグループにどんどん惹かれていき、次第にアルコール、万引き、男の子遊び…と悪い遊びに手を染めていくようになる。自分の中に漂う不安を紛らわすように日々を過ごす中で、ある時ミアは自身の体に違和感を覚えはじめた。それは、いくら思春期と言えども、明らかに異常な「成長」だった。

おすすめする(見どころ)ポイント

ミアの全体的な変化に注目しながら見てもらいたいです。映画開始直後のミアは、冴えない地味な普通の女の子ですが、ジアンナと関わるようになってからは、少しずつファッションや顔つきが変わっていきます。それだけでなく、なぜか彼女の異常な「成長」はジアンナと関わる度に進んでいくのです。それが一体何を意味しているのか。考察しながら見ていくと、もっと楽しめるのではないかと思います。また、ミアが始めてパーティに誘われた晩のシーンでは、どさくさに紛れてミアとジアンナの上の服が交換されています。それも、一体どんな意図があってそんな演出をしたのか(例:ミアとジアンナの心の距離が縮まったことを暗示していた等)を考えながら見ると、とても面白いのではないかと思います。

改善してほしいと思ったポイント

ストーリーの演出上、仕方の無いことだったとは思うのですが、嘔吐するシーンと性行為のシーンが少し多いなと感じました。多少ぼかす、遠回しな表現にする、比喩的な映像を用いる、など他にも表現の方法は色々あったと思うのですが、監督はなぜかそうせず、ミアもジアンナもハッキリ分かる感じで嘔吐していたので、少し気分が悪くなりました。また、後半にミアが正気を失った状態でほぼ強制的に危機的状況に陥らされるシーンがあるのですが、そのシーンも「こんなにハッキリ撮る必要があるのか?」と疑問に感じました。言葉を選ばずに言うならば、下品なシーンがやや目立ちます。

やるべき・観るべき

人魚が好きな方、薄暗い雰囲気のストーリーが好きな方、水が好きな方、女性同士の友愛や恋愛が好きな方には特に見て頂きたいなと思う作品です。なかなかショッキングなシーンやグロテスクなシーンもあるので、そういったものが苦手な方は逆に遠慮した方がいいかもしれないです。夢と現実の間をさ迷っているような、不思議な物語なので、考察が好きな方にも楽しんでもらえると思います。

類似似作品

「ヴィオレッタ」「ゆれる人魚」「LOOK AWAY」「テルマ」「サラブレッド」「メアリーの総て」「ネオン・デーモン」などが類似作品にあたると思います。あくまで個人的に選んだものですが、薄暗い雰囲気の漂うストーリー、主人公の女性が憂鬱な気持ちを抱えている、静かに蠢く狂気…こういったキーワードに当てはまるのは上記の作品とブルー・マインドです。

総評

とても好きな映画です。ミアが一人きりで常に不安を抱えている様子が、自分と重なって悲しい気持ちになりました。そして不安を紛らわせるように、危ない遊びにのめり込んでいく姿を複雑な気持ちで見ていました。変態していく様子もグロテスクなシーンが多く、正直何度か目を逸らしてしまいました。人とは違う異常な変化を遂げていく自分が怖くて、苛ついて、泣いてもがくシーンは共感し過ぎて、胸が痛みました。ジアンナたちも、最初はただの悪い女の子たちだと思っていたものの、本当はそんなことなくて、ただの優しい女の子たちだった。最後、ミアが自分自身を受け入れて自由になったシーンはとても美しく、抱えていた不安からやっと解放された時の、あの彼女の堂々とした姿がとにかく印象的。個人的に星5の映画です。

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