携帯電話事業の商品企画~人生で一番印象に残っている恋愛~
今でこそ日本の携帯電話メーカーはスマートフォンの波に乗り遅れ、ほとんど活動ができていない状況ですが、私が携帯電話事業に携わっていた頃はまさに華々しい状況。
その中でも商品企画を担当し、デザインからコンセプト、ユーザーインターフェースの改善、新機能をどのように実現するか、最終的にはOEM事業だったので通信事業者へのプレゼンテーションまで幅広く仕事を行っていました。
とにかく、商品企画に携わりたいと考える方々が多い中、本当に忙しいながらもさまざまな方々とコミュニケーションをとりながら、商品ごとのプロジェクトに参画し、調査、さらにはそこから導き出される求められる機能の選定、要素技術で投資していくべきかどうかといったところまで打ち合わせに参画するなど、かなり多岐に渉る業務であったと振り返ることができます。
さまざまな要素が詰まっている商品だからこそ、いろいろな人脈も広がり、今の私をつくりあげる基礎になりました。
携帯電話事業の商品企画~一番嬉しかったこと~
かなり飛躍しているかもしれませんが、トレンドをつくっているという自負を持ちながら仕事をしていました。
もちろん、仕事ですから売り上げが一番です。
また、何台利用されたかが重要であることはわかっていますが、とにかく世の中でどのように捉えられたのか?ヒットしたのか?が気になりました。
もちろん、通信キャリアの仕様に従って製品をつくっていくわけですが、端末のデザインや機能などがユーザーにとって重要な購買の要素になります。
そこで、どれだけ受け入れられるか?これにやりがいを持って仕事をしていました。
発売前の商品のデザイン調査などで、皆さんが喜んだり、びっくりしたりする姿ほど自分自身のモチベーションにつながるものはありませんでした。
ライフスタイルのど真ん中の商品だけに、かなりやりがいを感じながら仕事に臨むことができました。
携帯電話事業の商品企画~印象的な喧嘩の内容~
若い頃に、他の仕事も経験せず、突然こういった華々しい仕事に着いてしまうと、残念ながら自分が仕事ができると勘違いをしてしまう可能性があります。また、下積みもない中、これだけ多くの売り上げを経験できる事業につくと、金銭感覚が麻痺してしまい、他の仕事に就いた時に苦労することになります。
ですから、若い時にこのような仕事に就く場合には、必ず他の仕事を経験してから、それも下積みがあってからでなければ、本人のキャリア形成にもマイナスになると思います。実際に、簡単にものが売れる時代だと、本当の力がなくても売れてしまい、自分自身に酔ってしまうことがあるので、絶対にまずいと思いました。
これは、私のように商品企画だけではなく、営業部隊や宣伝も同じです。時代が携帯電話の波に乗っていただけであり、自分たちが努力したわけでもなく売れるのです。
携帯電話事業の商品企画~一番悩んだこと~
オーディオビジュアルの世界で商品企画の経験があったり、ユーザーインターフェースについて専門的な知識を持っているといった部分があれば、非常に役立つと思います。全てを兼ね備えた商品だったので、また、トレンドに敏感な方もよかったかなと思います。
しかし、この商品に関しては、パッケージに誤字があることが判明しました。販売開始前にチェックが徹底されていなかったことが原因でしょう。今後はこのようなことがないよう、責任を持って業務に取り組んでいきたいと思います。
また、商品のラベルには日本語表記と英語表記のゆれが見られました。統一された表記にすることで、よりわかりやすい商品として消費者に提供することができます。今後は表記のゆれにも十分注意し、品質の向上に努めていきたいと思います。
携帯電話事業の商品企画~その悩みをどうやって解決したか~
まず、向いている方はどんな人でしょうか。とにかくトレンドに強い、または、予測していく貪欲な意思を持っている人がよいと思います。さらに、自分に陶酔することなく、ユーザーの声をしっかり吸い上げて商品に生かそうとする人材が求められます。
もちろん、マーケティングの世界に強い、生のマーケティングがわかる方であれば、なおよしと言えるでしょう。こうした方でなければ、やっていけません。
逆に向いていない方は、自分自身の考え方に自信を持ちすぎていること、周囲の声を聞くことができないことです。これは致命傷だと思います。トレンドを作っていくのは自分だという自負を持ちすぎるあまり、ユーザーや一般的な意見を聞き入れることができず、独りよがりになってしまい、全員で商品を作っていくにあたってどうしても浮いてしまう形になってしまうからです。
携帯電話事業の商品企画~その相手との後日談~
携帯電話の商品企画や営業の方々は当時、非常に華々しい業界で、エリートの路線だったと思います。しかし、その後は様々な商品開発に携わるにあたって、華々しいところも、そして苦しかった時代も、どちらも経験しています。そのため、マネジメントするにあたっては非常に重要なポジションになると思われます。
現在、このような評価は少ないかもしれませんが、地道にマーケティングを行いユーザーと接することによって商品を作っていけるような業界で、商品企画やマーケティングを行う立場になれば、非常に役立つのではないかと思います。
通信業界で携わりたいと考えている方々には、携帯電話業界の人脈や知識はダイレクトに役に立つことが多く、転職にあたっても非常に有利に働くことがあるでしょう。
携帯電話事業の商品企画~長く付き合っていくためのアドバイス~
残念ながら携帯電話からスマートフォンに時代が移り変わり、日本の企業はほとんど太刀打ちできなくなったので、同じ業界に携わっている方が少ないというのが実態です。
事業そのものを行っていないので、転職して通信業界で働いている間、もしくは同じ製造業の中で商品企画の営業、マーケティングに携わっているかのどちらかだと思います。日本の企業で数少なく携帯電話からスマートフォンに至るまで製造している企業もありますが、かなりのマイノリティになってしまいました。今後はさらにその傾向は続くでしょう。
自分自身が持ち合わせていたマーケティング力や経験をうまく生かすためには、携帯電話事業やスマートフォンの授業にこだわることなく、そのスキルを生かす業界で仕事をしなければ、正直なところなかなかプラスに働かないと思います。過去の栄光を引きずることなく仕事をしていくこと、これが非常に重要なポイントになるかと思います。実際に、携帯電話の事業など今は日本国内では無いに等しいのが実態ですから。
とにかくモノづくりで経験をいかす、これが一番です。
携帯電話事業の商品企画~今当時を振り返って、過去の自分や同じような状況の方にかけたい言葉~
今や、携帯電話やスマートフォンはコモディティ化が進み、自らトレンドを作り出すことは難しいかもしれない。
それでも携わりたいというのであれば、まずは商品開発のプロセスを学び、マーケティングの力を磨くことからスタートしよう。
ものづくりには普遍的な力が必要であり、それを身につけることが成功への近道だ。
また、幅広い人材と交流し、ライフスタイルに対する理解を深めることも重要だ。