和菓子製造工場の仕事内容、やりがい、向いている人、未経験から始めるには?

和菓子製造工場での主な仕事内容

男性女性で仕事が分担されていましたが、私は女性なので製造されたお菓子の包装が主な業務でした。レーンに乗って流れる丸ぼうろやブッセなどを包装機に並べていくのです。また反対に、包装紙を機械にセットして包装することもあります。今日作る量、明日の分などを朝礼で聞くので、それに合わせた量を製造します。機械包装は難しいのですが、私はこれが得意で、常に包装に携わっていました。
また手作業で包装することもあります。毎日の量はそれほど多くないのですが、たまに大口の注文などが入ると、手が空いた男性も総動員して包装していました。
和菓子という仕事柄、お盆や正月は帰省客のお土産として購入される方が多いので、繁忙期になります。朝8時から23時まで仕事をしていたこともありました。それが10日程続いて、ようやく休日が取れる(しかも1日)という、いま考えたら労働基準法はどうなっているんだ、と言いたくなるような仕事環境でした。

和菓子製造工場ならではのやりがい

上記でも述べましたが、機械包装が得意なので、ズレなくピシッと綺麗に包装できると「よしよし」と自分でもご満悦になっていました。また包装紙が途中で切れたり、日付の変更をする場合でも、お菓子を流す側が負担にならないよう、最速で交換し、お互い効率よく作業することにやりがいを感じていました。古い機械を使っていたので突然壊れることも多々ありましたが、原因を見つけるのも早かったと思っています。
また男性はお菓子を作る、女性は包装する、と完全に業務が違っていました。両方同じ時間帯に終業できれば良いのですが、大抵は女性の方が早く仕事を済ませています。その際女性は簡単な作業や棚卸などをしていましたが、私はそれが耐えられず、率先して男性の方に行って、業務の手伝いをしたり掃除をしたりしていました。別にいい顔をしたかったというのではなく、「早く帰りたい」それだけです。しかし、それが仕事熱心と見られたのでしょう、主任に抜擢されたこともあります。

和菓子製造工場のマイナスポイント

地方ということ、衣食住の仕事は給料が低いということを考えても、他の会社に比べて給料が非常に低かったです。特に繁忙期、朝6時から19時、20時くらいまで仕事をしたのに、手取り14万というのはバカにしているのかと激怒していました。
また、入社した際、社長の息子と同期だったのですが、入社式で既に役付きでした。一族経営とはいえ、はじめから役付きはズルいよなあ、と不満に思っていた記憶があります。実際に仕事をしている姿はほとんど見ることはなく、たまに工場に来たかと思うと手を後ろに持って行って頷きながら様子を見ているだけ。「お前は何様のつもりだ」と思っていました。一族経営で、いずれは社長となるのはほぼ確定でしょうが、せめて1年くらいは平社員で仕事を覚える方が従業員のことが分かるんじゃないの? とよく友達と愚痴を言っていました。

和菓子製造工場の仕事に活かせる経験・スキル・資格

私は調理関係の資格を高校で取得し、その関係で工場に就職が決まったのですが、特に資格などなくても入れると思います。
ああ、練り切りなどの和菓子を作りたいのであれば、製菓専門学校に行った方が「練り切りを作りたいです!」と堂々と言えるのではないかと思います。
私もはじめはそういった作業をさせてもらえると思っていたのですが、製造しかさせてもらえないので非常に不満を持っていました。

和菓子製造工場の仕事に向いている人・向かない人

ルーティンワークが苦にならない人は、菓子工場に向いています。繁忙期・閑散期によって作る量は変わりますが、基本的に一日の業務は毎日ほとんど同じです。
また、一日中立ち仕事ですし、包装紙を持つこともありますので(非常に重いです)、体力仕事ということは覚悟しておきましょう。
私が就業していた工場だけかもしれませんが、個性的な人が多いので、なんでも「ハイハイ」と受け流せる人、コミュニケーション能力が高い人も向いているでしょう。

反対に向いていない人は、毎日毎日同じ業務を繰り返すことが退屈だと思う人。
慣れれば同僚と話をしながら作業ができて楽しい部分もあるのですが、ルーティンワークで眠くなる、という人は菓子工場、というか工場に向いていません。

和菓子製造工場仕事でのキャリアパス

男性は昇給や昇格がありますが、女性は基本的にありません。せいぜい主任止まりで、役職手当も5000円を切るくらいです。
今どき珍しいのですが、女性は結婚と同時に辞めていく人が多いので「腰掛け」として働いている女性がほとんどでした。
結婚、出産を経て、パートとして復職する人が非常に多かったのも特徴です。まあ一度覚えてしまえば、簡単な作業ばかりですから、ある意味楽な仕事だからかもしれません。
しかし突然欠勤や子どもが熱を出した、という場合、シフト制の工場だったのでひとり抜けると仕事が回らないことも多くありました。そうなると残業確定です。
もちろん子どもを優先するのは当然ですが、あまり頭数に入れないでほしい、と当時は考えていました。

和菓子製造工場業界の最近の動向

菓子、しかも和菓子なので衰退産業と言えます。私の住んでいる地域では和菓子店が非常に多いのが特徴なので、その地域だけは和菓子店激戦区と言えます。
しかし、今どき手土産に和菓子を持っていく人は少ないでしょう。年輩の方や、そのブランドのお菓子が好きなら別ですが……。
また「和菓子離れ」が進んでいるので、若い人は和菓子よりも洋菓子の方が好きな人が多いはずです。
「和菓子は甘すぎて苦手」という声も多く、最近は甘さ控えめの和菓子も多くなりましたが、やはり一度ついたイメージはなかなか払しょくできないのが現実かと思います。
私がその工場をやめて数年後、2か所あった工場は1つの工場に合併となりました。景気が悪かった時期なので、採算が合わなくなったのでしょう。

昨今は値上げラッシュで菓子業界もひいひい言っているので、あの工場も同じだと思います。
有名和菓子店も閉店ラッシュだとニュースで見ますので、「和菓子離れ」は業界全体の問題と言えるでしょう。
練りきりなど、季節を表現するお菓子は綺麗で愛らしいと思うのですが、なにぶん手がかかっているのでそう滅多に買えません。
そういった点も、和菓子離れの一因になっているのでは、と思っています。

和菓子製造工場仕事を未経験で目指すには?

未経験でもまったく問題なく入れます。ただし、面接の際は「ご縁があって採用となった場合、自分の配属先はどこですか?」と聞くのを忘れずに。
私は練りきりが作りたくて入社したのに、在籍している間、触ったことは一度もありません。練習もさせてもらえませんでした。
偏見かもしれませんが、工場という職場は個性的な方が多いので、人間関係に悩まされる人もいます。
私が在籍していたときも、上司からのパワハラで辞めていった人がいました。上下関係が厳しく、「○○先輩」と呼ばなければいけないので、学生の部活みたい、と思っていました。
またここでは書けませんが、和菓子業界も闇があります。絶望しないように、注意してください。

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