精密機器製造業のエンジニアでの主な仕事内容
精密機器の製品を設計するエンジニア業務です。
以前はハードウェアからソフトウェアのすべての設計を行っていましたが、
時代の流れで分業化され、分業化後はソフトウェアの設計業務に担務しています。
ソフトウェアというといろいろなジャンルがありますが、
ソフトウェア設計のうち、組み込み(ファームウェア)設計を行っています。
組み込みは、製品を制御するソフトウェアを指します。
製品動作を制御するためのプログラミングを行っていました。
どの製品でもマイコンが搭載されており、
そこにプログラムを書き込むことによって、用途に応じた製品を設計することができます。
以前はハードウェアが花形設計業務でしたが、
現在は製品を制御するソフトウェアの方が注目されています。
制御に関しては、製品のコンソールがついており、
どのボタンを押すとランプがつくとか音が鳴るような製品なのですが、
そこでの制御を担当していました。
どの製品にも共通するようなソフトウェアの制御設計業務です。
精密機器製造業のエンジニアならではのやりがい
以前は製品を制御するというと、ハードウェアというイメージがありましたが、現在はハードウェアは汎用品として存在しており、そこにどのようなプログラムを組み込むかによって動作が異なります。その製品を動作させるプログラムを作成することにやりがいを感じています。自分がどのようにプログラムを書くとどのように動作するかを確認しながら設計ができるため、非常に楽しいです。
ハードウェアの設計とは異なり、即座に動作確認ができる点が良いです。自分のパソコンでプログラムを作成し、製品のICにプログラムを書き込むと、すぐに動作します。ハードウェアの場合は基盤の設計を行い、外装を組み立て、動作確認を行うため数か月のスパンが必要ですが、制御プログラムの場合は修正すればすぐに反映させて動作させることができるため、非常に早く仕事が進みます。そのため、非常にやりがいを感じています。
精密機器製造業のエンジニアのマイナスポイント
マイナス面としては、とにかく精神的に追い詰められます。
ITは土方と揶揄されることもありますが、設計業務が終了したあとはひたすらプログラミングが続きます。
この作業が非常に単調で時間がかかるため、「IT土方」と揶揄されることがあります。
とにかく集中力を要し、時間も同じく必要であるため、精神的に疲れます。
私はストレスの抜きどころを理解しているため、ストレスで破裂しないように注意しています。
しかし、私の同僚で何人も精神的に病んで退職または休職しているものがいます。
それだけ精神的に負荷がある作業であるため、出荷間際に徹夜があったり、出荷後の製品に問題があれば解析や修正作業が発生することがあり、さらに精神的にくることになります。
以上が、この作業のマイナス面だと思います。
精密機器製造業のエンジニアの仕事に活かせる経験・スキル・資格
基本情報処理は持っていた方が良いと思います。
また、製品によっては言語が異なることがありますので、就職先の環境をよく確認してから就職することをおすすめします。
就職後に、その言語を知らないという理由で話が通らないことがあるため、しっかりと確認しましょう。
言語理解があれば、コアな部分の設計は無理にせずに、修正作業や評価作業に携わることができます。
精密機器製造業のエンジニアの仕事に向いている人・向かない人
向いている人はとにかく我慢強くプログラムを書くことが好きな人です。
基本設計という相手の要求を聞き、どういう製品にするかを決定した後に、詳細設計をし、いろいろな設計部分に分割して担当分けします。
その後、担当ごとにプログラムを書き始めますが、各担当ごとの結合するまでに期限があります。
その期限までに、淡々とプログラムを入力し続ける忍耐力がある人が向いています。
向かない人は、細かい作業ができない人であり、気づきが無い人ははっきり言って適性がないと思います。
過去には、陽キャの注意散漫な人が配属されてきましたが、プログラム品質があまりにもひどく、大ひんしゅくを買っていました。
プログラマーは、いわゆる陰キャで、神経質なくらいが活躍します。
精密機器製造業のエンジニア仕事でのキャリアパス
キャリアパスですが、プログラミング能力だけでは主任どまりとなります。
設計にはプロジェクト全体を管理するプロマネ、設計部分を管理するシステムエンジニア、実際にプログラムを書くプログラマー、出来上がった製品の動作を確認するテスターに大別されます。
テスターに関しては、プログラマーの適性が無い人が担務することが多いため、出世できないケースが多いです。
一方、プログラマーに関しては、設計できるようにならないと、テスターと同じく出世はありません。
システムエンジニアになるためには、設計業務の勉強をすることにより、課長までの昇進が可能であると思います。
また、プロマネに関してはプロジェクト管理能力を要するため、部長や本部長への出世につながると思います。
精密機器製造業のエンジニア業界の最近の動向
理系大学や専門学校では、ほとんどの学生がIT系にシフトしています。実際、ハードの新卒が激減している現状があります。これは、ハード業務が学生たちの減少に伴い、仕事自体も大幅に減少しているためです。基本的に、新しい技術がない限り、ハードの設計は従来の技術を流用することが基本スタンスとなっています。変化するのは、デザインやバッテリー容量、CPUと通信規格が変わった場合に、通信デバイスを変更する程度です。そのため、ハード設計者の仕事は激減しています。
一方、ソフトウェアはハードが変わらず、ソフトウェアで動作を変えていくため、当面はプログラマーの需要が高いと考えられます。ただし、現在の社会の動きとして、マイクロソフトなどの大手企業がノーコードのプログラミングを推進しています。ノーコードとは、どのような動きをしたいかを設計書に記述すると、自動的にプログラムが書かれるものです。もしこれがスタンダードになってしまった場合、プログラマーに設計能力がなければ、無用の長物となってしまう可能性があります。逆に、文系でも論理的に物事を考えることができる人であれば、設計ができるようになる可能性があります。
精密機器製造業のエンジニア仕事を未経験で目指すには?
未経験で中小企業に入社する場合は、ほぼ無理だと思った方が良いと思います。
あくまでも中小企業は経験者を求めているため、独学でプログラミングを学び、キット等をプライベートで買ってプログラムを組むようにした方が良いと思います。
大企業であれば新卒であれば受け入れてくれる余地はあり、入社後にしっかりと勉強をすれば通用する可能性はあります。
どの業界でも自分で勉強できない人は早晩不要な人材になるため、仮に未経験で入社してもたゆまぬ努力が必要です。
現在はやりのプログラミング言語で活躍していても、新しいプログラムができた際に移行できずについていけなくなる人も多々います。