竜とそばかすの姫 の評価

今回紹介する作品タイトル

竜とそばかすの姫

あらすじ

風光明媚な高知県の田舎に住む17歳の女子高校生がヒロインです。名前はすず。彼女は子供の頃に他人のために命を落とした母親の記憶がトラウマになっています。父と一緒に暮らしていますが、ほとんど口をきかなかった。母の犠牲的な死から、大好きだった歌も歌っていません。それでも、曲を作ることだけは忘れなかった。ある日親友の紹介で、50億人以上が参加するインターネット上の仮想世界に飛び込むことになりました。その世界ではもう一つの人生をベルと言う名前で生きることができるので、なぜか自然と歌うことができるのでした。ベルは奇跡的に歌姫として人気を博していきます。 しかしコンサートには「竜」という乱暴者によって大失敗に終わります。しかし、優しいベルはそんな竜に寄り添い救済しようとします。やがて、竜の現実の世界での苦悩を知り、すずは彼を助けに走ります。それはまるで母が他人のために助けに走ることと同じでした。すずはその戦いを通して、母のトラウマを打ち破り、父と本当の親子らしさを再生して行くのでした。

おすすめする(見どころ)ポイント

見所は何と言っても、仮想の世界ではなく、現実の世界に生きているヒロインが、やはり現実の世界に苦悩して生きている少年と弟を救うところです。ここが一番感動します。仮想の世界で人気者になることもある意味素晴らしいことですが、現実の世界を変えなければ仮想の世界も成立しません。ヒロインは母親が事故で亡くなったことに、大きな疑問をずっと抱いていたのですが、それが見事に晴れていく爽快感は、言葉に尽くせないほど感動します。自分の生き方を確認し、愛する父や愛する仲間とともにポジティブに歩いていくヒロインは、世界一素敵な高校生かもしれません。

改善してほしいと思ったポイント

改善点は仮想世界の表現ですが、かなりいろんなものが混ざり合っていて、なかなかイメージと合わないような気がします。これこそ個人の好き嫌いのあるイメージの世界なので、良い悪いの問題ではありません。もう少し劇画風でも良かったかもしれません。

やるべき・観るべき

高知県に住む素朴で純粋な女子高校生が、自分の人生のある意味不幸な部分を、どうやって乗り越えていったのかということを学べる映画だと思います。人間誰しも負の部分を持っているものですが、それをどうやってプラスに転換し、前向きに明るくポジティブに生きて行くことができるのかを見届けてください。それはきっと生きてきた人生に感謝するところから始まるのかもしれません。

類似似作品

細田守監督による長編アニメ映画のサマーウォーズに似ていると思います。インターネット上の仮想空間をテーマとしている点ではズバリ同じです。ただしサマーウォーズについてはまだ人間の善性を信じている部分がありますが、竜とそばかすの姫ではネットリンチを想像させる人間の闇の部分に踏み込んでいますので、さらに深い洞察をしているかと思います。

総評

この作品は、近年のネットの世界の変貌を鋭く表現しているので、これから訪れるであろうネットの闇の世界に対しての考え方を、確立する材料になると思われます。作品のストーリーはどんな新しい時代が来ても、どんな仮想の世界になろうとも、人間の根底の苦悩は自分で切り開かねばならないと言うことを教えてくれた秀逸な作品だといえます。

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