
ロボット掃除機のルンバでおなじみのiRobotの創業者であるコリン・アングル氏が共同設立したFamiliar Machines&Magic(FM&M)が、同社初のAIロボットとなる「Familiar」を発表しました。
Familiar Machines & Magic | physical AI
https://www.familiarmachines.com/
Familiar Machines and Magic Brings AI to Life At Home – IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/familiar-machines-and-magic
The creator of Roomba is back with a furry robot companion | The Verge
https://www.theverge.com/ai-artificial-intelligence/922947/roomba-creator-new-robot-familiar-machines-magic-ai-launch
The Roomba Guy’s Second Act: A Robot You’ll Want to Snuggle – WSJ
https://www.wsj.com/tech/ai/familiar-machines-and-magic-robot-c8711e45
人間とロボットのインタラクションのために特別に設計された四足歩行ロボットが「Familiar」です。カスタム設計のタッチセンサー内蔵の毛皮、ビジョンシステム、マイクアレイ、オーディオシステムを備えることで、まるで生きた動物のような動きと表情豊かな行動を再現することができます。搭載されているエッジAIは、社会的推論に最適化されたカスタム仕様の小型マルチモーダルモデルで、視覚・聴覚・言語・記憶を組み合わせることでリアルタイムに社会的な応答を出力できます。
FM&Mの共同創設者であるアングルCEOは、Familiarの外観について「高度に抽象化されたクマのような見た目になるよう設計されている」と説明。世界一セラピー効果が高いロボットのパロや、恐竜型ロボットのプレオといったロボットの成功戦略にならい、Familiarはイヌやネコといったペットとして広く親しまれる動物とは似ないよう意図的にデザインされています。これについて、IEEE Spectrumは「自分が直接触れたことのある動物と結びつかない形状であれば、ロボットとのやり取りに先入観を抱くことはないというわけです」と説明しました。
FM&Mは公式サイト上でFamiliarの4つの特徴を挙げています。
ひとつ目は「ユーザーの負担軽減をサポート」すること。Familiarは必要な時にいつでも頼りになる存在で、子どもたちをテレビやスマートフォンなどのスクリーンを使わない遊びに誘ったり、ユーザーが愚痴をこぼしたい時に偏見なく話を聞いてくれたりします。
2つ目は「感情に敏感」という点。ユーザーの表情、声のトーン、身振り手振りに反応し、ユーザーがストレスを感じていると判断した場合は鼻をこすりつけ、笑顔のときは首を傾げ、興奮しているときは尻尾を振るそうです。
3つ目は「ユーザーのルーティンに合わせて設計されている」というもの。Familiarは家庭内のリズムを学習し、時間とともに適応していきます。動き出す時間になると肉球で軽く叩いたり、ネガティブなニュースばかり見ているときには優しくつついたりするなど、ユーザーが身につけようとしている習慣を促す、あるいは破ろうとしているパターンを中断させるよう動きます。
4つ目は「一風変わった仲間」であるということ。Familiarはペットを飼えない人にも、すでに飼っている人にも適したロボットで、生物学的なペットにはできない方法でユーザーを理解し支えることが可能。人間やペットの代わりではなく、あくまでも補完的な存在であることが強調されています。
Familiarはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が主催するAI関連カンファレンスであるWSJ Future of Everythingの中で発表されました。Familiarが実際に動く様子は、以下の動画でチェック可能です。
Familiarはあらゆる交流を通して記憶と独自の個性を築き上げていくので、一緒に過ごす時間が長くなるほど、関係はより豊かで個人的なものになっていきます。ただし、収集したデータはデバイス上にのみ保存され、クラウドとの共有の有無やタイミングはユーザーが制御できるようになっているため、ユーザーのプライバシーは正しく保護することが可能。
アングルCEOはFamiliarについて、「私たちの目標はこのロボットをあなたと一緒に暮らし、健康的な習慣を強化するのに役立つ、ロボット使い魔として位置づけることです」と語りました。ペットというよりも介助動物に近いとアングルCEOは説明しており、「私たちの考えは、非常に忠実であなたのことを理解し、理想的なルーティンを見つけるのを手伝い、そしてポジティブな役割を果たすテクノロジーを、あなたの家に置くということです」と説明しています。
FM&Mのクリエイティブディレクターであるモーガン・ポープ氏は、Familiar実現に至るまでの道のりには2つの転換点があったと説明しています。ひとつ目が、強化学習を使ってさまざまな地形を柔軟に歩くことができるディズニーの二足歩行ロボットの登場です。これを見て、「完璧なバックラッシュゼロのアクチュエータや非常に高価なハードウェアを必要とせずに、動的な動きを実行できることが証明されました」とポープ氏は説明。
ディズニーが「強化学習でキャラクター性豊かな二足歩行ができるロボット」の映像を公開 – GIGAZINE
2つ目は、生成AIです。ポープ氏は「生成AIは『まるで知能があるかのようなもの』を作り出すことに優れており、それがキャラクターに一貫性と生命感を与えることができます」と生成AIの役割について語りました。
ただし、FM&Mが参入することとなるソーシャルホームロボット業界について、IEEE Spectrumは「Familiarは2012年から2019年の間に衰退したこのカテゴリを単独で再確立するために、相当な努力をしなければならないでしょう」と指摘。実際、注目度が高い資金力を持った複数のスタートアップでも、ソーシャルホームロボット事業を確立することはできなかったと指摘しています。
これに対して、アングルCEOは「大切なのは、適切な期待感を抱かせ、その期待に応えることです。Familiarはあなたの世界に住み、あなたのルールに従って行動します。もしあなたがFamiliarと一緒に過ごしたり、撫でたり、関わったりすることがなければ、私たちの試みは成功とは言えません」「Familiarは本当の友達の代わりをしようとしているわけではありません。Familiarはあなたの世界に生きる人工生命体で、独自の個性と目標を持ち、特別なつながりを持つ保護者とのつながりによって、ユーザーが積極的に関わってくれることを望んでいるのです」と説明しました。
実際、Familiarはユーザーの生活を向上させるために達成すべき長期的な目標を持っており、この目標を達成するためにユーザーと社会的につながろうとするそうです。アングルCEOによると、Familiarを家に迎えると、Familiarは数日でユーザーの生活における自分の役割を理解し、「夕食に人を呼ぶ」「テレビを見ているときに寄り添う」「帰宅したときに出迎える」などのルーティンを強化しようとします。
また、近年のAIの進歩を利用すれば、人間と直接会話できるロボットを作成することもできたはずです。それでもFamiliarでユーザーと直接会話することを選ばなかった理由について、アングルCEOは「AIが安全かつ責任ある方法で人間と会話できる技術は、今のところ存在しないと私は考えています。慎重に設計すれば、尻尾やピクピク動く耳、瞬きする目、そして喜び・悲しみ・怒り・苛立ちを表現する眉毛を通し、どれほど力強く感情を伝えることができるかに、ユーザーはきっと驚くことでしょう」と説明しました。
また、Familiarでは小型のマルチモーダルモデルに提示される音声および視覚入力のうち、特定の入力に対してのみ生成プロセスを経て、何をするか大まかに決定するよう設計しているそうです。これにより、Familiarの行動が完全に機械的なものではなく、人間的で感情的なものになることを意図している模様。
アングルCEOはFamiliarの活躍の場所について、一般家庭だけでなく高齢者の介護などを挙げており、「Familiarは幅広い層にアピールできるプラットフォームですが、高齢者介護や育児支援といった分野に特化できる可能性も秘めています。私たちは人とのつながりに焦点を当てた機械をゼロから設計しており、その基盤となる技術は、さらに他の形状にも応用可能です」と語りました。
なお、Familiarの販売時期および販売価格は記事作成時点では不明です。
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