金融機関の営業での主な仕事内容
一般的な金融商品の販売を主として行っていました。
具体的には預金商品、融資商品をはじめ、保険商品、投資信託を法人・個人問わず販売していました。
評価システムについては、勤務している支店によって差はありますが、大体どの支店においても毎月各項目に目標が定められ、四半期、半期、通年の達成度で評価される形式でした。その為、目標達成が仕事を進めるうえで一つのポイントでした。
その他の業務として、法人顧客には販路拡大、取引先の獲得支援の為、企業と企業をマッチングさせる、いわゆるビジネスマッチングを推進しておりました。自社イベントを含む地域における金融機関同士のコンペに法人顧客を招待し、同法人のPR活動のコンサルティング及び支援といった活動も行っておりました。
またトレンドとしては、現在企業の経営者の平均年齢が65歳前後と世代交代が急務となっており、金融機関が主導し、会計士・税理士と連携して事業承継セミナーの開催をはじめ、そこで培ったノウハウを活用し事業承継コンサルティングといった業務を行っておりました。
金融機関の営業ならではのやりがい
一つは目標の達成です。定められた目標を達成することで、自身が支店、会社の戦力となっていると感じることができていました。それだけ多くの顧客のためになっていると思って業務に取り組んでいました。また、それがボーナスに反映されることで評価されているという充実感もありました。
また、法人顧客・個人顧客問わず、他の金融機関から自社へ取引を変更していただいたことも非常にやりがいを感じたポイントでした。特に当方からの依頼ではなく、顧客の方から上記内容の旨のお話を頂戴するケースもありました。そのようなケースは少ないですが、それだけの評価を頂いた、それだけの信用・信頼を獲得できた、ということでもありますので、そのようなケースは非常にやりがいを感じることができました。
月並みな意見で、どのような仕事や業界にも通じることではありますが、他人から信用や信頼して頂けることはやりがいやモチベーションに繋がると感じました。
金融機関の営業のマイナスポイント
出力結果:
目に見えない商品やサービスを提供しているため、時折、自分自身が一体何をしているのか?という感覚になることがありました。目標ややりがいを見失ってしまうという感覚に近いです。
また、自分自身が融資した顧客がその返済に苦しむ状況に陥っている時は辛い気持ちや何とも言えない感情になります。その顧客のため、顧客の要望に答えたつもりが、返済計画が甘かったり収入が減ってしまうことで返済が負担になってしまっていることを目の当たりにするというケースもあります。
そのまま企業倒産や自己破産によって再起不能となるケースもないわけではありません。お金は命の次に大切という言葉を教わりましたが、お金は非常に残酷だと感じることもありました。
この業界で働く人であれば必ず経験する部分だと思います。
金融機関の営業の仕事に活かせる経験・スキル・資格
私は特別な経験やスキル、資格は不要だと思っています。しかしお金に対して適度なバランス感覚を持っている人が良いと思っています。
例えば日頃、家計簿を付けていて収支の感覚がある程度あればそのまま業務に使えそうな感じはします。また、実務に直接活かせる資格はファイナンシャルプランナーです。業務を行う上で必須資格ではありませんが、資格試験で勉強したものがそのまま知識として活きます。
金融機関の営業の仕事に向いている人・向かない人
向いている人はコミュニケーションを円滑に取れる人だと思います。個人顧客はもちろんそうですが、法人顧客も結局は経営者や経理担当といった個人を相手にします。結局どこまで行っても人と人の繋がりでありますので、そういった意味ではコミュニティは非常に大事です。
職場内のコミュニケーションも同じです。一人で完結できる仕事はほとんどありません。分担作業も多いので、常に上司・同僚の協力や支えがありながら仕事を進めていく形となります。職場内の人間関係も非常に重要です。
これらのコミュニケーションが取れない・苦手という人は向いていません。また、お金に関する仕事なのでミスは許されません。しっかり確認作業ができる、ミスの少ない人は向いているといえます。
金融機関の営業仕事でのキャリアパス
出世する人は、上記のコミュニケーション能力が高い人が多い気がします。コミュニケーションをしっかりとることは、相手の気持ちを考えられる人だと思います。それが相手への配慮につながると思いますし、その結果、信用や信頼の獲得につながります。お金を扱う商売であるため、顧客はもちろん、職場内でも信用が第一です。
打算的に行動する人もある程度出世するかもしれません。コスパの悪い仕事や人間関係は切り捨て、あくまで利益第一で行動する人は、それに結果が伴えば上の人間からしても、ある程度計算できる人間として見られます。上の立場にいる人間も、更に上の人から評価される立場です。目標達成が重要な世界なので、そういう意味では、計算高い人もいいかもしれません。
金融機関の営業業界の最近の動向
インフレに引っ張られるような形で金利上昇局面にはありますが、政府の長引く低金利政策により金融機関も金利を下げざるをえない状況にあるといえ、業界は疲弊しています。
借り手にはとても好条件ではありますが、金融機関はそれだけ利益を削っています。
その為、保険商品、投資信託の販売によって手数料収入を稼ぐようになりました。
2.[1]の仕事内容に述べたようにビジネスマッチングや事業承継コンサルティングも金融機関は行うようになっており、これらも全て手数料が発生します。
本業以外のところで食いぶちを模索するのは近代のソーシャルワーキングで副業を行うサラリーマンに似ているのかもしれません。
高度経済成長時に見られたような経済成長は今後は考えにくいです。
当時の水準に金利は戻ることはないと思いますし、資本力のない金融機関は淘汰されていくと思います。
現に支店の統廃合を行っている金融機関がほとんどですし、合併を進める金融機関も増えてきています。
また経費削減の為、新卒の採用人数は一昔前と比較すると減少しています。
このように市場は縮小していくと考えます。
金融機関の営業仕事を未経験で目指すには?
未経験でも特別なスキルを要しない仕事だと思います。そのため、どんな人にも目指すことは可能だと思います。しかし、そうであるからこそ社会で働いたことのない新卒大学生の採用がほとんどです。金融知識の全くない一般の方が目指すにはハードルは高いです。まだまだ保守的な業界であり、「専門性が高い」と思い込んでいる人々がいます。無理に目指さない方が得策といえます。証券会社や保険会社からの転職、会計士・税理士事務所からの転職は、支店勤務ではなく本社での専門部署で働くことが可能です。
いずれにせよ、市場は縮小している業界なので、どうしても銀行で働きたい人以外は目指さない方が良い、というのが私のアドバイスです。
後ろ向きで申し訳ございません。