地方公務員の仕事内容、やりがい、向いている人、未経験から始めるには?

地方公務員での主な仕事内容

住民福祉の向上を大目的として、様々な部署や職種の人が働く大きな組織でした。福祉、戸籍や住民票の写し発行などの住民サービス、環境、土木、教育、人権啓発、観光、など生活に身近な仕事をかなり網羅しているイメージだと思います。地方公務員というと一日中机に向かってパソコンを叩いている、というイメージがあるかもしれませんが、窓口対応と電話対応、メール対応などの仕事が多く、その合間に時間を作って、各種稟議書の作成、住民や上司、議会や議員への説明用資料の作成をこなしていくという感じです。配属される部署によっては、住民からの苦情や要望を受けて現地調査を行い、対応策を考えるといった行動もありました。また、自分の仕事の範囲ではないのですが、臨時に発生する大きな案件に対してヘルプに入ることもよくありました。例えば、国政選挙、県知事選挙、県議市議選挙、市長選挙などの事務などです。また、5年に1度の国勢調査の調査指導員などの事務もありました。

地方公務員ならではのやりがい

地方公務員になるときには、営利目的ではなく純粋に地元の発展や地域社会のための行政サービスに従事したい、という思いで公務員試験を受けました。実際に入庁してからもその思いは退職するまでずっと変わりませんでした。よく仕事の成果で給料が決まり、ボーナスの査定なども行われる会社の勤め人と違って公務員は利益を産み出していないのに給料がもらえていいよな、という冷やかしを受けることは正直多かったです。また、住民相手の複雑な仕事の割に、頑張っても頑張らなくても給料は一緒だろう、ということも言われますが、何よりも仕事をしていてやりがいを感じることは、自分たちの仕事が住民に喜ばれたという反応をダイレクトにもらえたときです。笑顔でありがとうといわれた時の苦労が報われた嬉しさは貨幣価値でははかれない財産になったと思っています。

地方公務員のマイナスポイント

地方公務員になってあまりマイナスを感じたことはありませんが、経験した順に書きます。まずは、受験科目が筆記試験に重点が置かれていて、生身の人間を相手にして仕事をする地方公務員の仕事をあまり理解しないで採用されてしまう人が多くなる受験システムです。対人折衝ができないと入庁してから苦労します。次に、入庁時の学歴区分、高卒、短大・専門学校卒、大卒などで給料や昇進に差が出てしまうことです。これに年功序列の文化がまだ根強く残っているので、閉塞感を感じる方も多いかもしれません。また、地元の役所に勤務した場合、住居や買い物などの生活空間が仕事の空間と近いと身バレ顔バレしてしまうことが多いです。そのため地元以外で消費活動をしてしまうことも多いです。

地方公務員の仕事に活かせる経験・スキル・資格

まずは、学校での勉強はしっかりと取り組むことが大切です。各種稟議書や説明用資料を作成するのに国語力は絶対に必要です。PCの扱いは慣れておくのも必須です。また、語学などの資格もチャレンジしておくと配属の幅が広がります。

地方公務員の仕事に向いている人・向かない人

この仕事に向いている人は、ずばり働くことの最上位の目的がたくさんの給料をもらうこと、ではない人です。いろんな部署での仕事を経験することになりますが、基本的には自分の仕事が住民に感謝されるためにやっています。勿論生活のために給料は大事ですが、お金以外でこの仕事に従事したことで得られた経験が全て自分へのリターンだと思える人が向いています。また、法律などの定められたルールの中で常にベストな方法を考えて実行してみたい、という風にチャレンジ精神をもっている人が向いています。
その仕事に向かない人は、働くことの価値がたくさんお金をもらうことにある人です。自分はこんなに頑張っているのに給料が大企業の友人に比べて安すぎる、と嘆いてしまう人には辛い仕事かもしれません。

地方公務員仕事でのキャリアパス

私が勤務していた場合の市役所(大卒)は、入庁後、主事→主任→主査→係長→課長補佐→課長→次長→部長。というキャリアが明示されていました。これは親切な自治体だと、受験要項に、採用後のキャリアパスとして掲載されている自治体も多くなっています。ちなみに、主査までは誰でも昇進できるようになっていましたが、それ以上は自分の努力と適性、一緒に仕事をした同僚との関係性などで変わってくるようです。部署は政策系と官房系(財政、総務、人事等)に配属されて結果を残すと、こいつは出来る奴だ、という評価になり、出世コースにのると言われています。しかしながら、人事異動は職員個人の希望や適性など加味して行われるので、福祉一筋、教育一筋とったスペシャリストも数多くいます。

地方公務員業界の最近の動向

地方公務員の仕事は多岐に渡っています。今の傾向として、地方創生のかけ声のもとふるさと納税や観光振興など、その自治体に移住してほしいという居住人口の増加をどこの自治体も力を入れています。また、居住するまではいかなくても、その自治体に何らかの関わりをもって地域経済にインパクトをもたらしてほしいという関係人口の増加も注目されています。具体的には、都会部と地方部の2拠点で生活をしてみませんか、というものやワーキングとバケーションを組み合わせたワーケーションなどの短期滞在への取り組みとか、ふるさと納税で具体的に応援するとか、などです。また、少子高齢化はまったなしの全国的な課題なので、子育てしやすいまち、というキャッチフレーズは流入人口に大きな影響を与えますので、子育てに関する支援も重点が置かれています。また高齢者への取り組みとして、免許返納などの国の方針などもあり、高齢者の移動の足の確保なども大きな問題になっています。公共交通機関の維持や新設が難しいだけに、MaaSなどの最先端技術の助けを借りて、愛着ある自分の地域に住み続けたいという高齢者のおもいをどのように実現するか、ということで、自治体は企業や大学などとの連携をしながら仕事をしていく必要性を感じています。

地方公務員仕事を未経験で目指すには?

地方公務員の場合、少子高齢化で受験人口は減少するから一時期の就職氷河期のように採用人数を絞らなくてすむから倍率がさがって狙い目、というわけにはいきません。やはりある程度の準備は必要です。まずは自己分析をしっかり行うことです。地方公務員になって自分は何をしたいのか、自分の強み、経験は何か、自分の弱みは何か、ということを振り返ることが重要です。それから受験したい自治体が決まったら、試験の募集要項を入手してください。全て大事な情報だらけですが、まずは受験科目が何かということを確認してください。市役所の場合、知識科目(人文科学、社会科学、自然科学)、知能科目(判断推理、数的推理、資料解釈、英語)になると思います。ずばり習得に時間がかかり、かつ入庁してからもその能力が必要になるのは知能科目です。こちらを重点的に参考書や過去問にあたることをおすすめします。

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