ケーブルテレビ局の番組制作~人生で一番印象に残っている恋愛~
私が働いていた局では、1人が色々な業務をしていました。
私自身、ニュース記者、ディレクター、カメラマン、映像編集、プロデューサーなどの制作スタッフの他、時には顔出し出演したり、番組ナレーションを担当したりと、アナウンサー的な仕事も経験しました。その中で、各々得意・不得意があるので、経験を積む内に自身の得意な業務に軸を置いて、様々な業務を担当していく形になります。
毎日放送するニュース番組や、長時間放送する特別番組、イベント等の生中継以外は、基本的にワンオペで取り組むことが多かったので、番組のネタのリサーチから、取材依頼、台本作成、撮影、現場の仕切り、編集等、番組を形にするまでの工程をほぼ一人で行っていました。ただ、撮影や編集に関しては、専門のスタッフさんを雇っていたため、その方にお願いしてやっていただくことも多かったです。番組の全責任が自分にかかってくるので、プレッシャーもやりがいも大きい仕事でした。
特別番組や生中継では、上の立場の方が全体を統括し、みんなで分担して取り組みました。
ケーブルテレビ局の番組制作~一番嬉しかったこと~
やはり、自分が気持ちを込めて作った番組が放送され、
取材対象の方や視聴者の方から喜んでいただけたことです。
ケーブルテレビ局は、その性質上、「地域密着」を掲げて番組を作ることが多いです。
仕事の中で、地域の人たちと仲良くなり、信頼を得ることも大事なミッションの一つです。
地域の方の取り組みや思いを紹介し、地域を盛り上げ、地域の人たちに喜んでもらうことが、使命であり喜びでした。
町内会の会合に呼んでいただいたり、「こういうことやるんだけど、取材して番組に出来るかな?」と話をいただけたときは、自分が地域の方の信頼を得られた!と嬉しくてたまりませんでした。
私の会社は、地元役所の広報機関的な役割を果たしていました。
基本的に、役所の広報の方と仕事をすることが多かったのですが、実績を積んでいくと、広報以外の部署の方から内々に「うちのこれを取材してほしい」と依頼された時もうれしかったです。
ケーブルテレビ局の番組制作~印象的な喧嘩の内容~
給料が安いこと
広告費等ではなく、加入者からの受信料が主な収入のため、会社の経営はなかなかに苦しかったです。これは地域のケーブルテレビ会社の多くで言えることだと思います。
CSの番組を見ようと思えば、ケーブルテレビ局以外でも選択肢はありますからね。民放のように、番組にコマーシャルがいっぱいつくわけではないので、どうしても収入は低くなり、社員の給料も低くなります。
また、番組の都合で夜通し撮影したり、災害対応したり、災害対応のための自宅待機があったりと、労働時間や拘束される時間は長いです。それのすべてに給料が発生しているわけではないので辛いものがあります。人員も少ないですしね。
最初に、給料が安い、と書きましたが、時給換算するともっと悲惨なことになります。私は、半分それが理由で辞めました。
ケーブルテレビ局の番組制作~一番悩んだこと~
特に資格は必要ありませんが、カメラや音声機材、中継用の機械など、機器を触る業務が多いため、この業界に興味があるなら、ある程度機器に慣れている方が良いと思います。
強いて資格を挙げるなら、アマチュア無線でしょうか。ケーブルテレビ局は、災害時の情報発信源としての役割を求められてきています。その際、アマチュア無線が使えると強いです。電話やメールがダメでも、情報交換できる場合がありますから。
ケーブルテレビ局の番組制作~その悩みをどうやって解決したか~
機械に強い人
カメラや音声機材など、さまざまな機械を扱うことが多いため、機械に強い人が求められます。しかし、必ずしも得意でなければならないわけではありません。ただ、機械を扱うことに抵抗がある人にとっては向かない仕事かもしれません。
人と話すのが苦ではない人
この仕事では、取材先の開拓や交渉など、人と会話することが必要不可欠です。会社や行政とのやり取りだけでなく、個人との雑談も重要です。それが苦手な人は、この仕事を選ばない方が良いでしょう。
お年寄りと話すのが苦ではない人
前述した通り、地域の活動などに関わる場合、お年寄りとの交流が多い場合があります。その際、お年寄りと仲良くなることは非常に重要です。苦手な人にとっては、この仕事に向いているとは言えないかもしれません。
マルチタスクができる人
この仕事は、一人で多くのことを行う必要があり、結構大変です。一つのことに集中することが苦手な人には向かないかもしれません。また、複数のことを同時にこなすことに慣れていない人も、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。
ケーブルテレビ局の番組制作~その相手との後日談~
正直言って、これといったキャリアパスはありません。強いて言うなら「辞めずに働き続けること」でしょうか。なかなか大変な業界なので、転職者や結婚退職者がかなり多いですし、会社に残っていても、本人の希望や会社の判断で、営業等の他部署に異動になることが多いようです。
「辞めずに働き続ける」だけでも意外と大変だと思います。
これだと身も蓋もないので、もう一つ言うなら、「人を使うポジションを積極的に経験する」ことでしょうか。これは管理職になるとかではなく、「チャンスがあれば、大人数で取り組む番組のディレクターやプロデューサーに志願する」ことです。
番組制作は一人親方的に働く場面も多く、番組制作スキルを高めたからと言って、管理職に必要な資質が備わるわけではありません。ではどうするか。
前述した「みんなで取り組む番組のディレクターやプロデューサー」は、他のメンバーの配置を考えて、番組全体を統括する立場です。私がいた会社では、管理職でなくてもなれました。
これを経験すれば、人を使うことを覚えられますし、自然と上の覚えもよくなります。
ケーブルテレビ局の番組制作~長く付き合っていくためのアドバイス~
前の項目でも書きましたが、かなり苦しいと言わざるを得ません。
ケーブルテレビやCS放送は、生活必需品ではなく贅沢品に近いものがあります。競合他社もありますし。また、コロナ禍で営業活動が難しくなったり、経済的な理由による解約者の増加したり、さらには、ネットで番組を見るサービスが一般的となってきたりという事情もあり、近年の状況は、私がいた頃よりさらに厳しくなっているかもしれません。局によっては、大手の通信業者に吸収される道を選んだところもある、という話を耳にしたこともあります。
とは言え、民放やNHKでは網羅できない地域メディアとしての役割は求め続けられているので、苦しい状況ではあるものの、なくなってしまうというようなことは起きにくいのかなと考えています。
特に災害時、市町村単位の細かい範囲での情報発信は、ケーブルテレビ局だからこそできるという面があります。また、私は働いていたところとは別の地域ですが、ある地方内のケーブルテレビ局が協力して、一つの大きな親会社的な企業体を作って、広報やイベント等に取り組んで、顧客獲得や新たな事業への挑戦などを行っているようです。
まったくもって暗いということはないと思います。
ケーブルテレビ局の番組制作~今当時を振り返って、過去の自分や同じような状況の方にかけたい言葉~
未経験でも十分に目指すことのできる業界です。私は、全く違う業界を経験した後、未経験で転職しました。調べてみると、未経験OKで中途採用を募集している会社は結構あります。 「この業界で働きたい!」という気持ちがあれば、今からでも挑戦できる業界です。
もう一つ大事なのは、「その地域を心から愛しているか(愛する覚悟があるか)」ということです。ケーブルテレビという性質上、取材範囲も放送範囲も狭いです。その分、その地域を深堀して入り込んでいくことが求められます。
まずは気持ちと覚悟ですね。それさえあれば、決してハードルの高い業界ではありませんよ。