銭湯の掃除での主な仕事内容
まず誰もいない銭湯のお湯を抜き、銭湯裏手にあるパイプの通った湯沸かし器の中にまだ暖かいお湯を流し込みます。そのお湯の暖かさを利用して、当日の新しいお湯を温めるわけですが、流し込んだ古いお湯の中にはたくさんの汚れや髪の毛が一緒に入ってしまっています。その大量の髪の毛を竹の刷毛のような道具で取ります。これをしないとお湯が温まりにくくなります。また、お湯はあとで使うので半分は残します。
次に洗い場の掃除です。かなり広いタイルの床を大きなデッキブラシで全て1人で磨き上げます。洗剤をつけすぎると洗い流す手間が倍増するので、つけすぎに注意します。この仕事がかなりの重労働です。床の後はタワシで壁や磨きます。
その後は、床と壁の洗剤を、お湯で洗い流します。浴槽の残り湯を使います。水が重いのでこの仕事も重労働です。
次は浴槽です。お湯の入っていた水面に接したところが一番汚れるので、重点的に磨きます。
最後は鏡と蛇口です。一つ一つをスポンジで丁寧に磨きます。さらに風呂桶と椅子も洗います。
最後に、手で触って床や薬草がヌルヌルしていないかも確かめて、終了です。
銭湯の掃除ならではのやりがい
銭湯という空間が、天井が高く開放感があるので、そこで一人で掃除していると、単純に気分が良かったです。
見た目にはそこまで汚れていないように見える銭湯をさらに磨き上げると、本当にタイルがピカピカになり、大掃除でもしたような爽快感が味わえます。
冬でも大汗をかく重労働なので、筋トレなどをしなくても、体力がつきます。お金をもらって体を鍛えられるところにもやりがいを感じました。
とても疲れるので、食欲も増してしまい、この仕事で痩せるのは意外と難しいと思いますが、確実に体の筋肉量が増えます。お腹に力を入れて磨かないと、汚れが落ちないので、これまでどんなに自分なりの筋トレをしてもつかなかった腹筋が割れました。体質改善にはこれ以上ないいい仕事だと思います。
お客様と接することはないのですが、店主に感謝されると嬉しかったです。
銭湯の掃除のマイナスポイント
銭湯のお客様は、銭湯に通うことが日課になっているお年寄りが多いため、稀にトイレを汚してしまうことがあります。そのトイレを片付けることもしごとのいちぶです。汚いことでも文句を言わずにやらなくてはいけません。
また、ごく稀に銭湯では盗難事件もあるので、人間の汚さを垣間見てしまうこともあります。そんなときには絶対に疑われないように日頃からしっかり挨拶などをしておく必要があります。
その他、ルーティンワークの残り湯を流している場所に溜まった髪の毛を掃除をする仕事も、気持ち悪いといえば気持ち悪いです。
この仕事に含まれるちょっと汚いと部分もがんばることにより、デッキブラシでタイルを磨く筋トレができるんだと思うしかありません。
銭湯の掃除の仕事に活かせる経験・スキル・資格
資格は一切必要ありません。ただ銭湯の掃除は銭湯が営業を休んでいる午前中からお昼の一時ぐらいまでにはすべて終わらせなければならないため、どんなにたくさん働きたくても限りがあります。この仕事(バイト)一本で食べていくのは無理です。そのため、銭湯側もフリーターやパートの主婦など、他に収入の当てがある人を求めています。
銭湯の掃除の仕事に向いている人・向かない人
やってみないとわからないことですがイメージ以上にハードな仕事です。私が働いているときには、格闘技をやっていた人やプロスポーツ経験者が何人かいました。見掛け倒しではない本当に体力のある人に向いています。バイトを始める前に、本当にできるかというテストがありました。そこで合格すれば女性も働くことができます。
また、髪の毛や石鹸カスをかき集めて掃除したり、まれに普段より汚れてしまったトイレも掃除しなくてはいけないので、汚い仕事が苦手な人には向きません、また、短時間でお客様を迎える状態に仕上げなくてはいけないので、楽しくおしゃべりしている暇がありません。しゃべりながらゆったり働きたい人にも向いていません。また、当たり前ですが、遅刻をしない、挨拶をする等の常識は必須です。
銭湯の掃除仕事でのキャリアパス
しっかり仕事をして銭湯の店主に気に入ってもらえれば他のバイトと同様に時給も少しは上がります。週一休みでたシフトに入り、やや高めの時給で計算しても月収は15万円がやっとだと思います。
この仕事で、出世するなら、経営側に回るしかありません。時代的には、家にいる時間や家族を大切にして、地球環境のためには水やエネルギーを節約する流れになっています。家にいる時間が長いほど、銭湯に行く時間もとれますし家族とも一緒に入ることができます。銭湯の利用は省エネになり、地球環境を守ることにもつながります。
ここまで時代の流れにはマッチしているのに、客足が伸びきらず経営が厳しい銭湯業界は、テコ入れすればもっと伸びる業界にちがいありません。
銭湯の掃除業界の最近の動向
およそ10年前にヤマザキマリのテルマエ・ロマエが大ヒットし映画化もされ、銭湯ブームが起こりました。この銭湯ブームで若い人も銭湯に入るようになり、追い風となりました。
また、銭湯の空間を生かしたコンサート、ライブ、寄席などが行われて話題にもなっていました。さびれてしまった銭湯が息を吹き返す例も見られました。
最近のコロナ禍においても、銭湯は公衆衛生上必要なので、自粛対象にはなりません。営業したくても思うようにできない飲食店よりはずっと有利な立場です。しかし、銭湯の通いを自粛してしまう人が多く客足は伸びていない現状があります。時世が落ち着いたら、銭湯の空間を生かしたイベントなどが増えるはずです。
銭湯経営者は代々引き継いでいる高齢な方が多く、時代に合わせた取り組みをほとんどしていないといえます。PayPay、Suica等のキャッシュレス決済や混雑状況の発信、既にあるマイロッカー制度の普及など、時代の流れに合わせることで需要はさらに伸びると思われます。
また、エコにつながることも発信していくと注目が高まると思われます。
銭湯の掃除仕事を未経験で目指すには?
銭湯の掃除は、人と接する必要がないため、引きこもりだったり対人恐怖のある人が、第一歩として取り組む仕事に最適です。この仕事だけでは、お言葉お金の面では限りがあるので、ここでお金を稼ぎ、体力をつけたら、自分のやりたいことにステップアップしていけばいちと思います。
たった一人でかなりハードな仕事をサボらずにやると、修行のように自分の内面も見つめられます。いくらでもサボれるのにサボらないことによって自信もつきます。少しだけサボってもばれませんが、少しでもサボるとかなり精神的に落ち込みます。「サボるのは良くない」と体で覚えることができます。
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