函館で2025年7月12日(土)・13日(日)に開催されたポップカルチャー総合イベント「おもちゃ函」で、ゲーム会社・サイバーコネクトツーの松山洋社長がアニメ制作会社・URAN Picturesの深瀬沙哉監督、アニメ制作会社・天狗工房の福士直也監督と、エンタメ市場についてのトークを繰り広げました。
左から深瀬さん、福士さん、松山さん。
まず松山さんは「アニメ、ゲームともに成長している市場」だと切り込みました。まず、国内のゲーム市場の規模はスマホ、PC、家庭用のソフト&ハードすべて合わせるとおよそ2兆1000億円。ここ10年は右肩上がりです。
一方、国内のアニメ市場を見てみると、こちらも右肩上がりで市場規模は3兆4000億円。これには深瀬さんや福士さんから「本当ならちょっと分けて欲しい」とツッコミが入りましたが、アニメ業界はゲーム業界と「市場規模」の算出方法が異なり、「日本国外での日本のアニメ関連の消費額」も含まれているとのこと。
これが「世界」となると、ゲーム市場は約30兆円。特にピンク色で示された北米が最大の市場となっています。左下、青く示された「東アジア」のほうが面積は大きいのですが、松山さんによると、最大規模ではあるものの、実際には全体を一括りにして語るのはちょっと難しいとのこと。なお、日本国内ではいわゆる「課金」が6割から7割を占めますが、世界では「課金」の割合はそれほど高くなく、大半を家庭用ゲームが占めているそうです。
一方、世界のアニメ市場はゲーム市場の2倍以上の60兆円超。このうち、北米とヨーロッパは「アニメ映画」が大部分だとのこと。一例としては、『すずめの戸締まり』が全世界で1億9300万ドルの興行収入を上げています。ただし、日本のアニメなら無条件に受けるというわけではなく、海外でも「ちゃんとした原作はあるのか?」「日本ではどれくらいヒットしたのか?」といった点がチェックされます。
では、2030年にそれぞれの業界がどうなっているかというと、まずゲーム業界はさらに成長を続けて約97兆円、ほぼ100兆円市場になると見込まれているそうです。この数字について、松山さんは「そういう成長をするだろうし、我々としても、そのように成長させていかなければいけない」と思いを語りました。
この点はアニメ業界も同様で、2030年には同じくおよそ100兆円規模への成長が見込まれています。
そんなゲーム業界の平均年収はおよそ500万円で、日本人の平均年収の約460万円を上回っており、払う側である松山さんも実感があるとのこと。松山さんによれば、ゲームが「業界」として形をなした時期が1980年代に入ってからとかなり遅めだったため、アニメなど他のエンタメ業界の失敗例を見てきているのが大きいそうです。このため、アニメ業界といっても、歴史が比較的浅いCG部門の会社はまた事情が異なるようです。
ただ総じて、誰でもできるわけではない専門的な仕事で一定のハードルがあることから、それに合っただけの保証はなされるようになってきているとのこと。
そして最後に、アニメ業界もゲーム業界も常に人手不足なので、一定の技量は必要なものの、やりたい人にはチャンスがあるとのことでした。必ずしも東京でなくても仕事ができるようになったことで、深瀬さんが函館にアニメスタジオを作ろうとしていたり、福士さんは群馬県初のアニメスタジオ・デュランダルスタジオを設立していたりと、これまでは地理的条件で諦めていた人でも、業界に飛び込むチャンスはありそうです。
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