一般的に、EVの使用は地球環境に対する意識と関心の高さを示すものだとのイメージを持たれていますが、テスラ車では事情が変わりつつあり、気候変動対策に消極的なトランプ政権の閣僚となったイーロン・マスク氏への失望はテスラに対する大規模な抗議活動へと発展しています。その影響は、EVの需要が堅調なはずのヨーロッパなどにおけるテスラ車の中古価格の下落となって現れていることが、市場調査により判明しました。
Used Tesla prices tumble as embarrassed owners look to sell – Ars Technica
https://arstechnica.com/cars/2025/03/used-tesla-prices-tumble-as-embarrassed-owners-look-to-sell/
Teslas turn toxic as sales crash in Europe and the UK – Ars Technica
https://arstechnica.com/cars/2025/02/tesla-sales-plummet-in-the-uk-france-and-germany/
第2次トランプ政権が発足した2025年1月以降、テスラ車が主要なEV市場であるヨーロッパで苦戦していることを示すデータが報告され始めています。例えば、EU第2のEV市場のフランスでは、2025年1月におけるテスラの新車の販売台数が1141台となり、前月の3118台から63%減少したとのこと。同国では、自動車全体の販売台数の減少は6%、EV販売台数の減少はわずか0.5%にとどまっていることから、テスラの1人負けとなっている状況がうかがえます。
by Wendell
テスラの新車を迎えるオーナーが減る中、テスラ車を手放そうとする動きも強まっており、記事作成時点から過去90日間の中古テスラ車の価格が、自動車市場全体の価格下落率(-1.5%)の2倍の速度(-3.7%)で下落していることが、アメリカの市場調査会社・Car Gurusの調べで判明しました。
前年比で見ても、中古テスラ車の価格は7.5%下落しており、市場全体の2.8%の下落より急ピッチで落ち込んでいます。また、別の市場調査会社であるiSeeCarsも、「テスラは全ブランドの中で最も下落率が高く、過去1年間で13.6%下落している」と報告しました。iSeeCarsの調べによると、テスラのModel 3・Y・Sはいずれも値下がり率ワースト4位に名を連ねているとのこと。なお、下落率1位はポルシェの「Taycan」でした。
ヨーロッパでテスラが苦戦している理由は、ラインナップ更新の遅れや道路事情などがあります。特にCybertruckはヨーロッパの通常の運転免許証では運転できないほど大きく重く、道路の規制にも適合していません。
こうした状況に追い打ちをかけているのが、テスラのCEOであるイーロン・マスク氏のイメージ低下です。テスラ車のオーナーであることは、欧米ではある種の汚名となっており、あるオーナーは駐車場で「ナチス」呼ばわりされたとThe New York Timesに語っています。こうした非難をかわすため、テスラ車のオーナーの間では愛車に「イーロンがクレイジーになる前に買ったんだ」というステッカーを貼ることがはやっているとのこと。
by Maddie McGarvey for The New York Times
IT系ニュースサイトのArs Technicaは「テスラのCEO、イーロン・マスク氏の言動も、欧州でテスラ車が嫌われている大きな原因かもしれません。最近、マスク氏は不和を生み、極右の理念を推進するために、欧州の政治に何度も介入しています。少なくとも欧州では、自動車購入者は彼にうんざりしているようです」と述べました。
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