「全粒粉」と「全粒穀物」の違いとは?どちらの方が健康にいいのか? – GIGAZINE


スーパーマーケットなどで食品を買おうとした際、「全粒粉パン」や「全粒穀物」といった表記を見かけ、何かしらの健康効果を期待して購入したことがある人もいるはず。全粒粉や全粒穀物とは何なのか、どちらの方が健康にいいのかについて、オーストラリアのスウィンバーン工科大学で栄養学講師を務めるマーガレット・マリー氏が解説しました。

What’s the difference between wholemeal and wholegrain bread? Not a whole lot
https://theconversation.com/whats-the-difference-between-wholemeal-and-wholegrain-bread-not-a-whole-lot-249156

そもそも「小麦粉」とは小麦を製粉した粉のことですが、一般的な小麦粉は小麦を丸ごと粉にしているわけではなく、小麦の粒のうち「胚乳」と呼ばれる部位のみを粉にしたものです。この際、胚乳以外の胚芽表皮といった部位は取り除かれ、製粉後の小麦粉には含まれていません。

これに対し全粒粉とは、小麦の表皮や胚芽も含めて製粉し、元となる小麦粒のすべての部位が製粉前と同じ比率だけ存在している粉のことを指します。全粒粉パンは通常の小麦粉を使ったパンよりも色が濃く、わずかに茶色がかっていることが特徴で、香ばしい独特の風味も感じられます。


一方で全粒穀物は、果皮や胚芽などを含む糠(ぬか・ブラン)を除去していない穀物やそれを用いた製品全般を指す言葉であり、ぬかが付いたままである玄米やそれを発芽させた発芽玄米オートミールなどが含まれます。

全粒粉も小麦を表皮や胚芽などを含んだまま製粉した粉であるため、全粒穀物の一種です。つまり、「リンゴ」が「果物」の一種であるのと同じで、「全粒粉」も「全粒穀物」の一種だというわけです。パッケージや商品名であえて「全粒穀物」をうたっている場合、全粒粉に加えて目に見える穀物の粒などを含んでいることもあります。


全粒粉パンも全粒穀物パンも、精製された小麦粉から作られたパンと比較すると、ブランの分だけ食物繊維やタンパク質、ビタミンなどの栄養素を豊富に含んでいます。そのため、全粒粉パンを含む全粒穀物パンを食べることには健康上の利点があり、2016年の研究では「全粒穀物の摂取量が多い人は心臓病などの慢性疾患のリスクが低い」という結果が示されています。

下の表は、オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関のデータに基づき、100g当たりのパンに含まれる栄養素を左の「Wholemeal bread(全粒粉パン)」と右の「Wholegrain bread(全粒穀物パン)」で比較したもの。全粒粉に加えて追加の穀物粒や植物の種子が入っているとされる全粒穀物パンは、「Protein(タンパク質)」「Dietary fibre(食物繊維)」「Niacin(ナイアシン、ビタミンB3)」「Iron(鉄分)」「Zinc(亜鉛)」「Phosphorus(リン)」「Magnesium(マグネシウム)」などの含有量で、全粒粉パンを上回っています。一方で全粒粉パンは、「Carbohydrates(炭水化物)」「Thiamin(チアミン、ビタミンB1)」「Folate(葉酸、ビタミンB9)」の含有量が豊富です。


全粒粉パンと全粒穀物パンの差は比較的小さいといえますが、マリー氏はそのままの穀物も含まれている全粒穀物パンを「食物繊維とタンパク質の第1の選択肢」として、第2の選択肢として全粒粉パンをオススメしました。

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