一般的にプリンターメーカーは「インク」や「カートリッジ」込みの値段でプリンターを販売するというビジネスモデルを採っているといわれており、その思惑はしばしば「純正インクやカートリッジがサードパーティ製に比べて高い」といった形で消費者に受け止められます。新たに、プリンターメーカーのブラザーが互換性のあるサードパーティ製カートリッジを排除し始めたとの報告が上がりました。
Brother denies using firmware updates to brick printers with third-party ink – Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2025/03/brother-denies-using-firmware-updates-to-brick-printers-with-third-party-ink/
3月3日、YouTuberで「修理する権利」に関連する活動家でもあるルイ・ロスマン氏が、「ブラザーのファームウェアアップデートが原因で、互換品カートリッジを使うとプリンターが動作しなくなる」と主張する動画を公開しました。
Brother turns heel & becomes anti-consumer printer company 😢 😢 😢 – YouTube

この主張の情報源は2022年のRedditの投稿です。投稿主は、「MFC-3750」というレーザープリンターで互換性のあるサードパーティ製カートリッジをずっと使用していたのに、ファームウェア・アップデートW1.56が原因で「自動カラー登録」という機能が無効化されたと報告。この機能が働かないのは事実上プリンターが使えないも同然だと訴えました。この投稿には「純正インクが高すぎる」などのコメントが寄せられ、利用者から不満が上がっています。インクの価格差は歴然で、一例を挙げると「HL-L3240CDW」というプリンターに対応した純正カートリッジの価格は約7300円のところ、互換品だと約4000円にまで下がります。ただし、純正品こそがメーカー推奨の品で、他社製を使うと今回のように予期しない問題を招く可能性があるので使用には注意が必要です。
後にロスマン氏は問題を切り分け、「ファームウェアの更新で完全にプリンターの機能が停止するわけではないが、自動カラー登録など以前は互換品カートリッジで利用できた機能が使えなくなる」と指摘。また、ブラザーのプリンターはインターネットに接続すると自動でアップデートされ、ダウングレードするのは困難であるからして、消費者を搾取する性質があると報告しました。
この件に関してテクノロジー系メディアのArs Technicaがブラザーに問い合わせたところ、ブラザーが意図的にプリンターの機能を制限しているという主張を否定したとのことです。ブラザーは「最近、ブラザーのファームウェアアップデートが他社製インクカートリッジの使用を制限しているのではないかという虚偽の主張があったことは承知しています。ブラザーのファームウェアアップデートによって、他社製カートリッジの使用が制限されることはありませんので、ご安心ください」とのコメントを寄せました。
とはいえ、実際に他社製カートリッジが使えなくなっていることから、互換品カートリッジを使用する一部のユーザーは不満を漏らしています。他社製カートリッジを使おうとするとプリンターの機能が低下すると主張しているのは上記投稿主だけではなく、「互換品カートリッジを取り付けるとエラーメッセージが表示されたので純正カートリッジからチップを移植して事なきを得た」との報告や、「チップの移植という回避策は使えなくなっている」との報告も上がっています。
ブラザーはArs Technicaに対し、「ブラザーのプリンターは純正/非純正カートリッジを識別して印刷品質を意図的に低下させることはありません。ただし、当社は互換品を使用した場合の印刷品質を確認することはできません。最適なパフォーマンスと信頼性を実現するために、ブラザー純正インクとカートリッジの使用を推奨します」と伝えました。
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