野菜や果物のジュースだけの生活を続けるとたった3日で健康に害が及ぶ可能性 – GIGAZINE


一定期間固形物を食べずにジュースのみで栄養素を補う「ジュースクレンズ」には、消化器官を休めて代謝が高まり、内臓器官の回復や免疫力の向上が期待できるとして注目されています。ところが新たな研究では、食事をすべて野菜や果物のジュースだけに置き換えると、健康に悪影響が及ぶ可能性があるという結果が示されました。

Effects of Vegetable and Fruit Juicing on Gut and Oral Microbiome Composition
https://www.mdpi.com/2072-6643/17/3/458


Juicing may harm your health in just three days, new study finds – Northwestern Now
https://news.northwestern.edu/stories/2025/02/juicing-may-harm-your-health-in-just-3-days-new-study-finds/

Just 3 Days of a ‘Juice Fast’ Could Be Doing You More Harm Than Good : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/just-3-days-of-a-juice-fast-could-be-doing-you-more-harm-than-good

近年は美容や健康の意識が高い人々の間で、食事をジュースに置き換えて固形物を控えるジュースクレンズが注目されています。また、野菜を料理として食べるのが苦手なため、野菜ジュースや果物ジュースを飲むことで補っているという人もいます。

しかし、野菜や果物をジュースにする過程で不溶性食物繊維の多くが除去されてしまうため、野菜や果物が本来持つ健康上の利点が損なわれる可能性があるとのこと。そこでアメリカのノースウェスタン大学やイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校などの研究チームは、被験者にジュースのみの食事で過ごしてもらい、体にどのような変化が現れるのかを調査しました。

研究チームは18~35歳の健康な被験者14人を募集し、「野菜や果物を搾ったコールドプレスジュースのみを摂取するグループ」「コールドプレスジュースと普通の食事の両方を摂取するグループ」「植物ベースの食事のみを摂取するグループ」に無作為に割り当てました。

実験の流れは以下の図にまとめられています。まず、被験者は「Exclusive Juice(ジュースのみ)」「Juice plus Food(ジュースと食物)」「Plant Base Food(植物ベースの食物)」の3グループに割り当てられた後、その食生活をする前に全員が3日間にわたり「野菜や果物、グルテンフリーの全粒穀物、卵」を中心とする食事を続けました。その後、各割り当てにしたがった食生活を3日間続け、その後3日間にわたり再び「野菜や果物、グルテンフリーの全粒穀物、卵」を中心とする食事を続けました。研究チームは各時点において被験者のだ液や便サンプルを採取し、被験者の細菌叢(そう)の変化を分析しました。


実験の結果、ジュースのみを摂取したグループは、炎症と腸の透過性に関連する口内細菌が有意に増加することが示されました。腸内細菌の変化は口内細菌ほど顕著ではなかったものの、それでも3日間の介入後には炎症や認知機能低下に関連する細菌が占める割合が高くなったとのことです。

以下のグラフは、口内細菌のバランスを、左から「植物ベースの食事のみを摂取したグループ」「ジュースと食事を摂取したグループ」「ジュースのみを摂取したグループ」の順で示したもの。3本のグラフは左から「pre-intervention(介入前)」「post-intervention(介入後)」「post-intervention-14-days(介入から14日後)」となっています。サンプル数が少ないため介入前の口内細菌バランスがそれぞれ異なっており、やや比較が難しいところがありますが、「ジュースのみを摂取したグループ」では介入後に炎症に関連するProteobacteria(プロテオバクテリア:ピンク色)がより増加し、有益な「Firmicutes(ファーミキューテス:黄緑色)」が大きく減っていることが確認できます。一方、「植物ベースの食事のみを摂取したグループ」では変化が小さく、「ジュースと食事を摂取したグループ」は2つの中間程度の変化となっています。なお、介入から14日後にはすべてのグループで細菌バランスが正常に戻りました。


研究チームは、ジュースのみの食生活が体内の細菌叢に悪影響を及ぼした理由について、野菜や果物をジュースにした過程で食物繊維が失われたことが関連しているのではないかと考えています。食物繊維は抗炎症化合物を生成する細菌のエサとなりますが、不足すると食物繊維の代わりに糖分を好む細菌が増殖する可能性があります。ジュースに含まれる糖分が多いと、これらの有害な細菌の増殖がさらに助長されるそうです。

論文の共著者であるノースウェスタン大学のメリンダ・リング博士は、「この研究結果は、食事の選択が健康関連の細菌叢にどれほどのスピードで影響を与えるのかを強調しています」「食物繊維の少ないジュースを大量に摂取すると細菌叢のバランスが崩れ、炎症や腸の健康低下などの悪影響が生じる可能性があります」とコメント。ジュースが好きな人には、食物繊維が残るようにミキサーでブレンドするか、通常の野菜や果物と組み合わせることを推奨しました。

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