新型コロナウイルスのパンデミックに伴ってリモートワークという働き方が急速に普及しましたが、一方でGoogleやAmazonなどの大企業を中心にリモートワーク制度を縮小する動きも出ています。いったいなぜ企業の幹部がリモートワークを終了したがるのかについて、元Amazon幹部のイーサン・エバンス氏が解説しています。
As a retired Amazon VP who experienced a 9082% increase in Amazon stock during my time, I am out of touch with many common life struggles. The SVPs and CEOs above me are often more so. Talking about wealth and it’s impacts is a taboo subject most executives avoid. I’m going to…
— Ethan Evans (@EthanEvansVP) March 1, 2025
Amazonは新型コロナウイルスのパンデミックを受けて全社的なリモートワークを期間限定で導入し、2021年10月には「1週間ごとの最低出社回数を各チームの裁量に委ねる」というリモートワークに対して融和的な施策を開始しました。しかし、2023年8月にはアンディ・ジャシーCEOが社員に対して「週3日の出社を拒否し続けるのであれば、おそらくAmazonではうまくいかない」と発言したことが報じられ、2024年9月には「週5日のオフィス出社」が基本的な勤務形態として定められました。
Amazonが「週5日のオフィス出社」への方針転換を断行 – GIGAZINE
一般社員がリモートワークによる生産性の向上を実感しているにもかかわらず幹部がリモートワーク制度の終了を働きかける理由について、エバンス氏は自身の経験をもとに「一般社員と幹部では住む世界が違う」と論じています。
エバンス氏はAmazonの幹部として大きな富を得ており、「住宅ローンを支払う必要がない」「メイドサービスが2週間ごとに掃除してくれる」「芝刈りは別の人がやってくれる」「50歳で早期退職する」といった生活を送っていました。さらに、「エバンス氏より上のレベルの幹部」は「管理人が常駐する別荘を複数所有する」「プライベートジェットを所有する」「各種請求に対する支払い処理や食料品の買出しなどを代行してくれるパーソナルアシスタントを雇う」「ドライバーを雇う」「子どもたちを授業料の高額な私立学校に通わせる」「費用をまったく気にせず好きな場所に住む」という一般社員とは大きく異なる生活を送っているとのこと。
一般社員がオフィス勤務する場合は「出社するのに時間がかかる」「家事に割ける時間が減る」といった数々の問題が発生しますが、幹部はそれらの問題を実感することがないわけです。さらに、幹部まで上り詰める人物の多くは生活のほとんどを仕事に費やしており、オフィスに出社することを「非常に価値のあること」と認識しています。
エバンス氏は一般社員とかけ離れた生活を送る幹部に対してリモートワークの重要性を説明する方法として「リモートワークや出社が一般社員に与える影響をデータや動画で示し、幹部が影響を理解できるようにする」ということを推奨しています。
この記事のタイトルとURLをコピーする
・関連記事
AmazonのCEOがリモートワークを続ける従業員に「おそらくAmazonではうまくいかない」と警告 – GIGAZINE
リモートワークを廃止して週5日の強制出社に切り替えるAmazonが「オフィスのスペース不足」で出社日を延期する事態に – GIGAZINE
リモートワークは生産性を向上させる、新型コロナウイルスのパンデミック以降もリモートワーカーがパンデミック以前と比べて5倍増加 – GIGAZINE
在宅勤務の選択肢がある会社は株価が高くなりやすいことが新たな研究で判明 – GIGAZINE
長時間PC作業を行っても目を疲れにくくするための照明の改善方法 – GIGAZINE
Amazonが障害のある従業員のリモートワークのルールを改悪、手続きを複雑化して在宅勤務がほぼ不可能に – GIGAZINE
「Googleが汎用人工知能(AGI)を開発するにはエンジニアがオフィスで週60時間働き続ければ可能」と創業者のセルゲイ・ブリンが語る – GIGAZINE
BethesdaとZeniMaxの従業員がMicrosoftにリモートワーク体制の見直しを求めてストライキを実施 – GIGAZINE
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。