Amazon、Microsoft、Googleの親会社であるAlphabet、Meta、Oracleといった大手テクノロジー企業は、AI向けの計算資源を支えるためにデータセンターへの投資を急拡大させています。Forethoughtの研究者であるFin Moorhouse氏がXに投稿したグラフでは、これらの大規模クラウド企業によるデータセンター投資が、アメリカの歴史的な巨大プロジェクトと比べても非常に大きな規模になっていることが示されています。
Fin Moorhouse (@finmoorhouse) / X
https://x.com/finmoorhouse
Moorhouse氏は2026年4月17日、大規模なクラウドサービスやデータセンターを運営する企業、いわゆる「ハイパースケーラー」の投資額を、アポロ計画やマンハッタン計画などアメリカの歴史的な巨大プロジェクトと比べたグラフをXに投稿しました。
このグラフは縦軸でコストを示しており、金額は時代ごとの物価の違いをならしたインフレ調整済み。単位は10億ドル(約1600億円)です。横軸は「プロジェクト開始からの年数」を示しています。このグラフからは、データセンターへの投資額が開始から6年が経過した2025年時点で約9300億ドル(約146兆円)に達していることが読み取れます。
比較対象として挙げられているのはアメリカの歴史的な巨大プロジェクトです。グラフでは、アポロ計画は14年間で約2570億ドル(約40兆円)、マンハッタン計画は5年間で約360億ドル(約5兆6000億円)、マーシャル・プランは4年間で約1700億ドル(約27兆円)、国際宇宙ステーションは27年間で約1500億ドル(約24兆円)、F-35計画は2025年までの25年間で約4000億ドル(約63兆円)、アメリカの州間高速道路網であるインターステート・ハイウェイは37年間で約6200億ドル(約97兆円)、アメリカの鉄道は71年間で約5500億ドル(約86兆円)かかったとされています。
データセンターへの投資額は、2025年時点でこれらの有名な巨大プロジェクトをすでに上回っています。さらに、点線で示されている2026年の計画値を見ると、データセンター投資がさらに増える見込みであることも分かります。
ただし、このグラフのデータセンター投資額は、Amazon、Microsoft、Alphabet、Meta、Oracleの5社が世界全体で行った設備投資のうち、データセンターに使われたとみられる分を推定したものです。実際のデータセンター支出だけを集計した数字ではありません。また、中国のハイパースケーラーは集計に含まれていないとのことです。
Moorhouse氏は、同じ投資額を「その年のアメリカのGDPと比べてどれくらい大きかったか」という切り口で見たグラフも投稿しています。
このグラフでは、データセンター投資は2025年時点で約3.3%GDP年とされています。「%GDP年」というのは、各年の支出額がその年のアメリカGDPの何%に当たるかを計算し、それを年ごとに足し合わせた単位です。
GDP比で見ると2026年の計画値を含めたデータセンター投資はさらに大きくなります。ただし、アメリカの鉄道は71年間で207.4%GDP年、インターステート・ハイウェイは37年間で9.0%GDP年、マーシャル・プランは4年間で6.4%GDP年とされており、金額だけで見るとデータセンター投資の大きさが目立ちますが、その時代のアメリカ経済全体の規模と比べると、鉄道やインターステート・ハイウェイのような過去の巨大プロジェクトも非常に大きな負担だったことが分かります。
このグラフはHacker Newsでも話題になっており、GDP比で見るとデータセンター投資の印象は少し控えめになるものの、鉄道がどれほど巨大な投資だったのかも分かるという反応がある一方で、過去の巨大プロジェクトとAI向けデータセンター投資は支出の性質が違うという指摘もあり、このコメントでは、鉄道、橋、トンネル、ダムなどは50年~100年以上たっても使われ続けているものが多い一方、AI向けデータセンターで大きな割合を占めるGPUは6年程度で減価償却されるため、年ごとの負担で見ると現在の投資はさらに大きく見えると述べられています。
また、NASAのような過去の巨大投資は日常的に使われる技術的副産物も生み出したという意見もあります。これに対して、AIがもし行き詰まったとしても、大量のGPU計算資源が残り、CPUのエミュレーションや従来型アルゴリズムのGPU向け変換など別の有用な計算資源として使われる可能性があるという見方もあります。
GPUをどう見るかも議論になっています。あるユーザーは「GPUはプロジェクトそのものではなくゴールドラッシュで使われるシャベルのようなものだ」と主張。これに対して別のユーザーは「シャベルは安価で、橋を作った後にシャベルがなくても橋は渡れるが、GPUがなければデータセンターもモデルも役に立たない」と反論し、GPUはシャベルではなく橋を構成する鉄骨に近いと述べています。
一方で、この比較そのものに慎重な見方もあります。これは単一の国家的プロジェクトではなく、何百・何千もの計算資源関連プロジェクトに使われている支出を合計したものだという指摘もありました。また、見栄えの良いグラフを作るコストは以前より大きく下がっており、SNS上で見つけたグラフを当然のように正しいものとして扱うべきではないという注意も出ています。
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