会社のCEOにとって不正会計よりも個人的なスキャンダルがバレる方がより致命的であると判明 – GIGAZINE


メモ


粉飾決算や横領などの不正会計が発覚すると、会社の経営陣が謝罪し、責任をとって辞任することがあります。しかし、フロリダ大学ウォリントン・カレッジ・オブ・ビジネスのアーロン・ヒル准教授が主導した研究で、会社のCEOは財務上の不正行為よりも個人的な不正行為によって解雇される可能性がより高いことが明らかとなりました。

CEOs 5 times more likely to survive fraud than a personal scandal News | University of Florida
https://news.ufl.edu/2025/09/ceo-misconduct/

Why Scandals Hurt CEO Reputations More Than Fraud
https://www.inc.com/kit-eaton/why-scandals-hurt-ceo-reputations-more-than-fraud/91245924

研究チームは、1997年から2020年にかけて上場企業で発生した300件以上の財務スキャンダルと、59件の個人的な不正行為の事例を比較しました。調査対象となった個人的な不正行為には、不適切な関係、薬物やアルコールの問題、家庭内暴力、経歴詐称、中傷的な発言などが含まれます。調査の結果、会社のCEOは財務上の不正行為よりも個人的な不正行為によって解雇される可能性が5倍高かったことが判明しました。

企業の近年の業績は、取締役会がスキャンダルにどう対応するかに一定の影響を与えます。業績が好調な企業のCEOは、取締役会に「成功を妨げたくない」というインセンティブが働き、CEOの責任を問わない傾向にあるため、財務スキャンダルを乗り切れる可能性があります。財務上の不正行為が問題になった場合だと、CEOは「自分の責任ではない」と容易に責任を回避できますが、個人的な不正行為が問題になった時は言い訳の余地がなく、辞任に追い込まれることが多いとヒル准教授は指摘しています。

例えば、マクドナルドの社長兼CEOを務めたスティーブ・イースターブルック氏は、在任中に株価が2倍になるほどの功績をあげました。しかし、会社の規則に反して自社従業員と交際していたことが原因で、2019年に解任されました。同様に、HPの元CEOだったマーク・ハード氏も、会社を再建したと評価されていたにもかかわらず、セクシャルハラスメント疑惑を受けて辞任に追い込まれました。


また、スキャンダルは後継者の選定方法にも影響を及ぼします。個人的な不正行為でCEOが解任された場合、取締役会は「問題が個人にあり、企業文化全体は健全である」とアピールするため、後任を内部の人間から選ぶ傾向にあることがわかりました。

最近の事例だと、データ運用スタートアップであるAstronomerのアンディ・バイロンCEOが、最高人事責任者と親密に抱き合っているところをコンサートの会場カメラに抜かれて発覚して辞任に追い込まれたあと、共同創業者のピート・デジョイ氏が暫定CEOを務めています。

コールドプレイのライブでAstronomerのCEOのラブラブ不倫現場がうっかり映し出される、CEOは正式に辞任 – GIGAZINE


ヒル准教授は、CEOの解任はほとんど常に財務的な動機による計算に基づいていると指摘しています。この「財務的な動機による計算」とは、会社の評判やブランドイメージを含め、将来の株主価値をいかに最大化するかという総合的な判断を意味します。

個人的なスキャンダルでCEOを留任させることは、会社の評判を著しく傷つけ、将来の収益に深刻なダメージを与える可能性があると考えられます。そのため、たとえそのCEOが有能であっても、迅速に解任することが長期的な会社の財務価値を守るための合理的な決断となります。

ヒル准教授は「取締役会は会社と株主の利益を守る責任があります。不正行為を犯したCEOを留任させることは、従業員や投資家、そして社会に対して『誤ったメッセージを送る』ことになるからです」とコメントしました。


なお、Economic Policy Instituteのデータによると、2024年の平均的なCEOの報酬は前年から約6%上昇し、一般労働者の281倍に達しています。また、近年のデータでは、アメリカの労働者の3人に1人が上司と関係を持った経験があり、調査対象者の91%が自身の地位向上のために思わせぶりな態度や魅力を用いたことがあると回答しています。

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