Twitterの共同創設者であり、Twitterから離れてからは決済サービス「Block」の立ち上げに尽力したジャック・ドーシー氏が、分散型ネットワークプロトコル「Nostr」を使って積極的なツール開発を行う非営利団体「and Other Stuff」に1000万ドル(約15億円)を投じたことがわかりました。
Jack Dorsey pumps $10M into a nonprofit focused on open source social media | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/07/16/jack-dorsey-pumps-10m-into-a-nonprofit-focused-on-open-source-social-media/
分散型ネットワークプロトコルとは、通常のSNSであれば運営企業に管理が一任されるユーザーデータなどを分散して管理するためのプロトコルです。データ管理が運営企業の意向に左右されないため、投稿内容やフォロー・フォロワーのデータを常に維持し、同じプロトコルを使った異なるサービスにデータを移行できるのが特徴です。
分散型ネットワークプロトコルにはActivityPubやAT Protocol、Nostrなどの種類があり、ドーシー氏が携わったBlueskyや、Mastodon、Misskeyなどが分散型ネットワークプロトコルを採用しています。
2025年7月、ドーシー氏が、Nostrの開発を行うand Other Stuffに投資したことがわかりました。
and Other Stuffは活動の5つの柱として「Nostrを誰でもが利用できるようにする」「分散型のパブリックおよびプライベートNostrコミュニティ用のツールを作成する」「決済インフラ、ウォレット、マーケットプレイス、収益化ツールを構築する」「安全でプライベートなメッセージングシステムを開発する」「NostrをオープンソースAIの開発と統合に最適なソーシャルプロトコルにする」というものを据えており、開発ツールやライブラリなどの実験的なプロジェクトを含む、他者が自らアプリを構築できるような技術を共同で開発・支援するとしています。
近年、ドーシー氏はソーシャルメディアプラットフォームの進化に対してより批判的になっており、「Twitterは企業になるべきではなかった」と述べ、既に関係を断ったBlueskyについては「私や他のメンバーがTwitterで犯した過ちを繰り返しているように見えた」とまで指摘しています。
and Other Stuffのチームは、「企業」ではなくハッカーのコミュニティのような形で運営されるそうで、新しい消費者向けソーシャルアプリ、開発ツールやライブラリなどを開発していくとのことです。例えば、チームは既にAIの支援を受けてNostrベースのソーシャルアプリを構築するためのツール「Shakespeare」の開発に携わっています。
and Other Stuffには、ドーシー氏、Twitterの最初の従業員であるエヴァン・ヘンショー・プラース氏、電子キャッシュプラットフォーム「Cashu」開発者のCalle氏、Truth Socialの元エンジニアリング責任者であるアレックス・グリーソン氏などが参加しています。主にNostrの共同開発を通じて知り合った人物らが参加しており、NostrのほかにもActivityPubやCashuなども開発していく予定とのことです。
プラース氏は、監視や搾取を恐れることなくコミュニケーションを取れること、ユーザーが構築した人間関係は運営企業ではなくユーザー自身が管理できること、アルゴリズムに透明性を持たせることなどを保証する新たな「デジタル著作権」が必要だと訴え、分散型ネットワークプロトコルがその権利構築の一助となると述べました。
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