「16歳未満SNS利用禁止」のための顔スキャン年齢確認がうまくいっていない – GIGAZINE


メモ


世界初の「16歳未満のSNS利用を禁止する法律」が成立したオーストラリアでは、未成年にSNSを使わせないための年齢確認ツールの試験運用が進められていますが、実際のところ年齢確認があまりうまくできていない実態が明らかになりました。ティーンエイジャーを37歳だと認識した事例が報告されているほか、業者が過度に個人情報を収集しようとするケースも見つかっているとのことです。

Home – Age Assurance Technology Trial
https://ageassurance.com.au/

Six months out from teen social media ban, age-checking tech mistakes kids for 37-year-olds – ABC News
https://www.abc.net.au/news/2025-06-19/teen-social-media-ban-technology-concerns/105430458

Age verification tool for social media ban misidentifies teens as 37-year-olds | ABC NEWS – YouTube


Trial reveals flaws in tech intended to enforce Australian social media ban for under-16s | Social media | The Guardian
https://www.theguardian.com/media/2025/jun/20/social-media-ban-trial-tech-flaws

Australia’s teen social media ban faces a new wildcard: teenagers | Reuters
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/australias-teen-social-media-ban-faces-new-wildcard-teenagers-2025-06-19/

2024年11月、オーストラリアで「16歳未満のSNS利用を禁止する法律」が成立しました。オンライン環境で子どもを守る施策は各国でいろいろと打ち出されていますが、具体的にSNSの禁止に踏み切る法律が成立したのはオーストラリアが初です。

世界初の「16歳未満のSNS利用を禁止する法律」がオーストラリアで成立、X・TikTok・Instagramなどが対象でYouTubeは除外 – GIGAZINE


法律の施行は成立から12カ月以内で、SNSの運営企業には「16歳未満のオーストラリア人がアカウントを持てないようにする」ための合理的な措置が求められます。

このため、2025年1月から60種類のツールを用いた「年齢保証技術実証試験(Age Assurance Technology Trial)」が行われているのですが、暫定的ながら、あまりうまくいっていない実態が報告されました。オーストラリアのニュース局・ABCは顔スキャン技術によるユーザーの年齢判別は、誤差を18カ月としても85%の精度にとどまったと指摘しています。

具体的には、16歳の男性が「19歳・23歳・26歳・37歳」と判定されたほか、17歳の女性が「14歳~32歳」と判定されました。この女性は「ふだんは17歳より年上に見えると言われるので、14歳に見えるというのは面白いと思いました」と感想を述べた一方、32歳という判定については「おばがそれぐらいの年齢なので、ちょっと屈辱的です。まだ32歳には見えたくありません」とコメントしました。また同様にツールの1つで「13歳」と判定された17歳の女性は「私はもうすぐ18歳なのに、SNSを使おうとしたときに『年齢条件を満たしていません』と言われるのは困ります」と語っています。

なお、年齢確認技術を扱う会社の業界団体であるAge Verification Providers Associationのイアン・コービー氏は、ABCの報告した「誤差18カ月で精度85%」という数字について「ほぼ期待通り」と述べました。

年齢確認の方法は顔スキャンのほかに声や手の動きなどの生物学的特性を用いたものもありますが、顔スキャンと同様に、正確さについて問題を抱えているため、サービスプロバイダーが少ないとのこと。確実に年齢を確認できる手段としては、パスポートや運転免許証のような政府発行の身分証明書を用いる方法がありますが、当該法律はこうした身分証明書をSNS企業が求めることを禁止しています。

企業側が年齢確認の方法に苦しむ一方で、SNS禁止対象に含まれる16歳未満の若者からは、顔スキャンのようにつけいる隙のある手段が提供されることを期待する声もあるそうです。


アニカ・ウェルズ通信大臣はABCに対し「若者がネット上で経験する被害のすべてを、SNSの年齢制限によって解決できるわけではないということは承知していますが、子どもたちをより安全に保つための、正しい方向への一歩なのです」と語っています。

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