世界中でペットとして愛されているネコ(イエネコ)の飼育が始まったのは約1万年前とされ、当初は穀物などを食べてしまうネズミを狩ってくれる存在として共存していたものが、次第に愛玩動物となっていきました。飼い主の中にはネコを友達や家族と見なす人もいますが、ネコは本当に友達を作るのか、ネコは友達を持った方がいいのかどうかについて、オーストラリアのラ・トローブ大学で心理学講師を務めるディアナ・テッパー氏らが解説しています。
一般的に、ネコは気まぐれであまり人になつかない存在だと思われがちですが、ネコは人とコミュニケーションするために鳴き声を発達させたとみられており、しっかり自分を気にかけてくれる飼い主になつくことも示されています。
また、ネコは別のネコの毛皮をなめたり、頭をさすったり、一緒に遊んだりするなどのグルーミングを行って友情関係を示すこともあります。
対照的に、対立するネコに対しては突進したり、けんかをしたり、相手を追跡したりすることがあるそうです。ネコの行動のレパートリーには「対立を和らげる」意図を示すものがほとんどないため、別のネコと対立した際は和解を試みるのではなく、相手から逃げたりお互いに避けたりする場合が多いとのこと。それでも、ネコは確かに別の個体と友情を育むことが可能です。
ネコ同士が育む友情関係の傾向は、「そのネコがどういう環境で生きるネコなのか」という点によって異なります。テッパー氏らは、「野良ネコの場合」「室内飼いのネコの場合」「放し飼いのネコの場合」に分けて傾向を説明しています。
まず野良ネコの場合ですが、「どちらもメスである」「共に成長した」「密接に関連している」「互いに近接した場所に住んでいる」といった要素があると、お互いに友達になりやすいそうです。
一方で室内飼いのネコの場合は、家庭内に住む別のネコと強い友情を築くことができます。その場合、「若い頃にお互いを知る」「血縁関係にある」「長い間一緒に暮らしている」といった要素があると、友達になりやすいとのこと。また、野良ネコの場合と異なり、オス同士である方が友達になりやすいそうで、メス同士の場合は友達になりにくいという研究結果も報告されています。
放し飼いのネコの社会生活についてはよくわかっていませんが、一般に放し飼いのネコ同士の交流は穏やかなことが多いそうです。一方で、食べ物が周囲にあったり、なじみのない野良ネコの縄張りに足を踏み入れたりすると、けんかにつながるケースもあります。
さらに複雑なのが、「同じ家で複数のネコが放し飼いされている場合」です。このケースでは、それぞれのネコが外出の際になじみのない匂いを家に持ち込んでくるため、家庭内でネコ同士のけんかが起きやすいとのこと。

これまでの研究の多くは主にネコ同士の友情について調べていますが、ネコは人間以外の動物とも良好な関係を築くことができます。たとえば同じ家で飼われているイヌなどとは友達関係になりやすく、同じ場所で生活し、一緒に寝たり遊んだりすることも報告されています。
しかし、他の動物種とネコが友達関係を築くには、やはり若い頃からお互いを知り合い、ゆっくりと慣れさせることが重要だとのこと。テッパー氏らは興味深い点として、室内飼いのネコは放し飼いのネコよりも同じ家のイヌに対して友好的だという研究結果を挙げています。これは、放し飼いのネコは屋外で複数のイヌと接触しており、その中で嫌な経験をしているからではないかと推測されています。
テッパー氏らは、もしネコに友達を作ってあげたいと思うのであれば、「顔合わせは飼い主の監督の下で行い、ポジティブなものになるように心がける」「家の中に安全なスペースやおもちゃ、十分なエサなどを用意して争いが起きないようにする」といった点に注意するべきだとアドバイスしています。
その上で、テッパー氏らは「結局のところ、ネコは他の動物と友好関係を築くことはできますが、それがネコの健康と幸福に欠かせないというわけではありません。ネコにとってもっとも親密な関係は、飼い主との関係です。飼い主の注目を浴びたり、遊んだりする機会をたくさん作ってあげれば、どんなに社交的なネコでも十分でしょう」と述べました。

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