OpenAIはAIのトレーニングにインターネット上のさまざまなコンテンツを利用しているため、 ニューヨーク・タイムズをはじめとするさまざまな企業から訴えられています。しかし、OpenAIは著作権で保護された作品をAIのトレーニングに利用することについて「フェアユースに該当しなければAI競争は終了してしまう」と発言しました。
OpenAI declares AI race “over” if training on copyrighted works isn’t fair use – Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2025/03/openai-urges-trump-either-settle-ai-copyright-debate-or-lose-ai-race-to-china/
OpenAIは2025年7月に発表予定のドナルド・トランプ大統領によるAI行動計画が、著作権で保護されたコンテンツをAIのトレーニングに利用することがフェアユースか否かという論争に決着をつけ、中国とのAI競争にアメリカが勝つために不可欠な要素であるとしています。
著作権で保護されたコンテンツをAIのトレーニングに利用することがフェアユースか否かについて、記事作成時点では裁判所で訴訟が繰り広げられてきました。コンテンツクリエイター側は創作物全体の価値が低下するとして、AIのトレーニングにコンテンツを利用することは著作権侵害であると主張。一方、OpenAI側は著作権で保護されたコンテンツをAIのトレーニングに使用しても、AIが出力するのはオリジナルのコンテンツとは別物であると主張しています。
これまでのところ、AI関連訴訟においては著作権を保有している側に有利な判決が出ており、法律調査会社のWestlawが「AI生成物が市場でオリジナルコンテンツに取って代わる恐れがある」という調査結果を出しているため、裁判所側は「著作権で保護されたコンテンツをAIのトレーニングに利用することはフェアユースではない」という判決を下しています。
これに対して、OpenAIは同様の判決を下されないようにするため、トランプ大統領のAI行動計画に期待を寄せています。OpenAIは「OpenAIのAIモデルは一般の人々が消費するためにコンテンツを複製することがないようにトレーニングされています。代わりに、コンテンツから学習し、パターン、言語構造、文脈の洞察を抽出します」「つまり、当社のAIモデルのトレーニングは著作権とフェアユースの原則の中心的な目的と一致しており、既存の作品を使用して既存の作品の商業的価値を損なうことなく全く新しい異なるものを作成します」と述べ、自社のデータ利用はフェアユースに該当すると主張しました。
2025年3月13日、OpenAIはトランプ大統領のAI行動計画について、アメリカは著作権戦略をAI業界の「学習の自由」を促進する方向に転換することで、著作権で保護されたコンテンツをAIのトレーニングに利用することはフェアユースか否かを争う法廷闘争を終わらせるべきだと語りました。さらに、法廷闘争を終わらせなければ、中国企業がアメリカ企業がアクセスできない著作権で保護されたコンテンツにアクセスし続け、中国に有利な状況を与えてしまうとOpenAIは主張しました。
さらに、OpenAIは「連邦政府は著作権で保護された素材でトレーニングするアメリカのAIモデルの能力を維持することで、アメリカ人がAIから学ぶ自由を確保し、中国に対するAIの優位性を失うことを回避できる」とも語っています。
この他、「中国の開発者がデータに自由にアクセスできる一方で、アメリカ企業がフェアユースのアクセスを得られなければ、AIの競争は事実上終わってしまうでしょう」「アメリカがAI競争で中国に負ければ、民主的なAIの成功も終わりを迎えることとなるでしょう。最終的に、可能な限り幅広いソースからより多くのデータにアクセスできれば、より多くの知識をもたらすより強力なイノベーションへのアクセスが確保されるでしょう」などと語りました。
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