2025年1月に発足したドナルド・トランプ政権で、政府効率化省(DOGE)を主導する形で入閣したイーロン・マスク氏は、大統領就任式でナチス式敬礼を行ったり、アメリカ国外での極右政治活動への参加など、物議を醸す言動を行っています。これを受け、ドイツやオーストラリア、中国などではマスク氏が保有する自動車メーカー・テスラの販売台数が大きく下落していることが報告されています。
Tesla’s EU Sales Drop as Anger Toward Elon Musk Grows – The New York Times
https://www.nytimes.com/2025/03/05/business/tesla-germany-sales-elon-musk.html
Tesla sales fall more than 70% in Australia during February
https://www.proactiveinvestors.com.au/companies/news/1067387/tesla-sales-fall-more-than-70-in-australia-during-february-1067387.html
Tesla China shipments tumble, the latest sign of weakening demand
https://finance.yahoo.com/news/tesla-china-shipments-tumble-the-latest-sign-of-weakening-demand-150013459.html
ドイツ自動車工業会(AAB)によると、ドイツでの2025年2月のテスラ車の販売台数は前年同月比で76%減少したとのこと。ドイツでは、マスク氏が極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を「非常に合理的」と称賛し、ドイツ国民に対しAfDに投票するよう促しており、こうした極右活動がテスラ車の販売台数急落につながったのではないかと海外メディア・The New York Timesは推測しています。
また、テスラ車の販売台数は他の国でも急落しており、フランスでは2025年2月に前年同月比で26%以上、デンマークでは48%、スウェーデンでは42%減少しています。
ヨーロッパでは、マスク氏とテスラ車を標的とした排斥活動が行われており、イギリスでは、活動家による「テスラ車を捨てて、X(旧Twitter)アカウントを削除しよう」という取り組みが行われているほか、フランスではマスク氏やテスラ社員に対し「EUに近づくな」というステッカーを配布しています。
テスラの苦境はヨーロッパだけでなく、オーストラリアや中国でも続いています。オーストラリアでは、テスラ車の販売台数が5665台だった前年同月に対し、2025年2月は1592台と、前年同月比71.9%減少したことが報告されています。海外メディアのProactiveによると、2025年3月までの過去8週間で、テスラの売上高はそれ以前と比較して66%減少したとのこと。
また、中国自動車協会(CPCA)は、2025年1月時点で6万3238台だったテスラによる中国への出荷台数が、2025年2月に入り3万688台と半減したことを報告しています。また、2025年2月のテスラ車の販売台数は前年同月比で49%減でした。
中国では電気自動車メーカー「BYD」などの国内自動車メーカーが大きく躍進しており、規制やデータプライバシーの懸念からオートパイロットや完全自動運転(FSD)技術の導入に苦労するテスラが後れを取っています。
テスラを抜かしてEV販売数1位に躍り出た中国企業「BYD」躍進の理由とは? – GIGAZINE
中国では多くの国民がマスク氏を好意的に見ていることから、今回の販売台数の急落は相次ぐマスク氏の政治的な言動が原因だとは考えられておらず、技術的に優れるこうした国内メーカーが好まれたからではないかとCPCAは指摘しました。
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