欧州委員会が、EUで販売される新車全てに「エンジン出力を制限する装置」の搭載義務づけを検討していることが分かりました。この装置は、衛星を利用して車の位置を特定し、制限速度が設けられている区間で速度を強制的に落とすものと説明されています。
EU’s drive to let satellite technology force your car to slow down to 20mph | Daily Mail Online
https://www.dailymail.com/news/article-15935039/EUs-drive-satellite-technology-force-car-slow-20mph.html
The EU Wants To Use Satellites To Automatically Prevent Your Car From Speeding: Report
https://insideevs.com/news/801020/eu-mulling-satellite-speed-limits/
EUで販売されるすべての新車には、インテリジェント・スピード・アシスト(ISA)システムの搭載が義務付けられています。このシステムはカメラやGPS(衛星)、デジタルマップを活用して走行中の道路の制限速度を識別し、速度超過時には音を鳴らすかハンドルを振動させて警告するものです。ISAの初期提案には自動的に速度を抑える機能も含まれていましたが、自動車メーカーのロビー活動の結果、義務化には至りませんでした。
EUが自動車のスピード違反防止システム「ISA」を義務化 – GIGAZINE
ところが、複数の業界関係者がイギリス日刊紙のDaily Mailに語ったところによると、欧州委員会はこのシステムからさらに一歩踏み込み、2030年以降に販売されるすべての新車に対し、衛星によって制限速度を強制するシステムを義務付けることを検討しているとのことです。新しいシステムは単に制限速度の超過を知らせるだけにとどまらず、エンジンに介入し、速度超過時に出力を下げて強制的に速度を低下させます。
Daily Mailは賛成派と反対派の意見を紹介しています。
賛成派で活動家のクレア・コーカリー氏は、時速140kmで走行する大型SUVに両親をひき殺された話を共有し、「ドライバーが制限速度を守り、速度超過による衝突事故を減らすような新しい技術を歓迎します。速度超過は死亡事故の最も一般的な原因であることが分かっています。車両の平均速度をわずか時速1マイル(約1.6km)下げるだけで、交通事故と死傷者数が6%減少するという統計データもこれを裏付けています。たとえあなたが幸運にも交通事故に遭わなかったとしても、衝突事故の減少は保険料の引き下げにつながり、すべてのドライバーにとって有益となるはずです」と述べました。
反対派でイギリス保守党所属のリチャード・ホールデン下院議員は、「自動的に速度を下げるというシステムは必要な時に加速が得られない可能性があり、新しい技術にすべてを委ねるのはリスクを伴います。本来であれば、EUを離脱したイギリスの自動車にEUが推進しているシステムは搭載されるべきではありませんが、自動車メーカーはイギリスへの導入を強く求め、過保護な国家主義に固執する労働党政権下でメーカーは容易にその要求に応じるでしょう」とコメントしました。
また、自動車リスク情報機関のサッチャム・リサーチは、実地試験を通じて既存のISAの評価方法に欠陥があることを指摘しています。サッチャム・リサーチによると、EUの規制におけるISAは走行距離を基準として評価されているものの、実際の制限速度を基準に評価し直すと最も性能の低い車で精度が91.3%から74.3%に低下したとのこと。
また、サッチャム・リサーチは時速5マイル(約8km)や時速100マイル(約160km)というあり得ない制限速度を表示する車も発見しており、「こうしたエラーが繰り返されるとドライバーの信頼を損なうだけでなく、車両のクルーズコントロールと連動している場合は意図しない急ブレーキや急加速を引き起こす可能性があります」と警告しました。
ISAはEUのほか、アメリカの一部の州でも導入されています。
スピード違反者の車に制限速度超過を物理的に阻止する「インテリジェント・スピード・アシスト(ISA)」を取り付ける法案が可決 – GIGAZINE
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