ローマ教皇はカトリック教会の最高位聖職者であり、さまざまな政治的問題やテクノロジーに関してバチカンの指針を示す存在でもあります。2025年に選出されたローマ教皇のレオ14世はAIに関するメッセージを発表しており、バチカンが思慮深いAIリーダーシップを確立しようとしていると報じられました。
Pope Leo: Technology must serve the human person, not replace it – Vatican News
https://www.vaticannews.va/en/pope/news/2026-01/pope-leo-xiv-messsage-world-day-social-communications-ai-human.html
The pope moves to police AI
https://www.axios.com/2026/04/24/catholics-pope-vatican-artificial-intelligence
Want to Get AI and Cybersecurity Right? Consider Following the Pope’s Example
https://www.inc.com/chloe-aiello/want-to-get-ai-and-cybersecurity-right-consider-following-the-popes-example/91335905
2026年2月、レオ14世は司祭たちにAIを使って説教を書いたり、TikTokのようなSNSで「いいね!」を追い求めたりしないように指示しました。レオ14世は「真の説教とは信仰を分かち合うことです。AIは決して信仰を分かち合うことはできません」と述べました。
大学で数学の学位を取得しているレオ14世はすでにAIに対する自身のスタンスを明確にしていて、2026年1月に公開されたメッセージでは、テクノロジーは人間に取って代わるものではなく、人間のために役立つものでなければならないと主張しています。
レオ14世はメッセージの中で、人間の声・顔・感情を模倣できるAIシステムは、人間のコミュニケーションの本質的な側面を変える可能性があると警告。また、熟慮を促すのではなく即座の感情的な反応を引き起こすSNSのアルゴリズムが、人々が他者の声に耳を傾けたり批判的に思考したりする能力を弱め、社会の二極化を助長することにも懸念を示しました。
その上でレオ14世は、AIというデジタルイノベーションを止めるのではなく、公共の利益につながるように導く必要があると主張。「私たちに課せられた課題はデジタルイノベーションを止めることではなく、その両義的な性質を認識して導くことです。人間を守るために声を上げるのは私たち1人1人の責任であり、そうすることで初めてこれらのツールを真の味方として活用できるのです」と述べています。
また、「デジタルイノベーションとAIガバナンスの推進という課題に、どの分野も単独で取り組むことはできません。したがって、安全策を講じる必要があります。テクノロジー業界から立法府、クリエイティブ企業から学術界、芸術家からジャーナリスト、教育者まで、すべての関係者が情報に基づいた責任あるデジタル市民権の構築と実施に関与しなければなりません」と述べ、異なる機関や分野間の連携が不可欠だとの見方を示しました。
レオ14世は決してAIを否定しているわけではなく、教皇選出直後にAIネイティブのサイバーセキュリティ企業であるCyber Eagle Projectとバチカンのパートナーシップを結び、バチカンのデジタルインフラやサイバーセキュリティを強化するために高度なAIを活用し始めています。
また、バチカンがAIの倫理的な使用や道徳的な規制を設けようとする動きは、レオ14世の選出以前から存在していました。2025年1月に発表されたバチカンのAIに関するガイドラインでは、差別や人権侵害、精神的な危害を加えるなどの目的でAIを使うことを禁じています。他にも、創作物および芸術作品の著作権侵害を禁止し、AIによって生成されたコンテンツは識別可能にすることなども定められています。
バージニア・コモンウェルス大学のカトリック研究者であるアンドリュー・チェスナット教授は海外メディアのAxiosに対し、バチカンはAIによるフェイクニュースについて非常に憂慮していると指摘。Axiosは、バチカンはAIの規則や安全策を策定する上で他の伝統的機関よりも速く動いており、真実を判断する審判者としての地位を確立しようと試みていると報じました。
なお、レオ14世はアメリカ出身ですがドナルド・トランプ大統領とは緊張関係にあり、アメリカとイスラエルが引き起こしたイランとの戦争を批判しています。これに対しトランプ氏はレオ14世を強く批判した上に、自分をまるでイエス・キリストのように描いたAI生成画像をSNSに投稿。支持基盤であるキリスト教信者から強い反発を受けて、画像を削除する事態に追い込まれています。
トランプ氏、自分をキリストのように描いた絵を投稿 批判相次ぎ削除 – BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/articles/c30r903pmg4o
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