「脂肪」は美容や健康の敵と見なされがちですが、実のところ脂肪は体にとって重要な機能を担っており、健康を維持するために不可欠な存在でもあります。そんな脂肪について、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtが解説しています。
Let’s Talk About Fat – YouTube

Kurzgesagtは「脂肪は最も危険な臓器です」と主張しています。
脂肪は単なる邪魔者ではなく、体内の重要なプロセスを制御しています。
しかし、脂肪が多すぎても代謝が乱れ、体に壊滅的な影響を引き起こしてしまうとのこと。
現代社会では飢餓状態の人よりも肥満の人の方が多く存在します。
肥満の原因はストレスや遺伝などさまざまです。そもそも人間は長年にわたり飢餓に悩まされてきたため、余分なエネルギーを「脂肪」として蓄える機能を発達させてきました。
現代では人間が有り余るほどの食物を手に入れられるようになり、不健康なほどの脂肪や塩、砂糖を豊富に含んだ加工食品も生み出されました。人々の脳はこれを好むため、食欲にあらがうことは非常に困難です。
人々は気付かないうちに大量の加工食品を食べており、特に子どもたちは食品会社からもターゲットにされています。もはや世界が人々を食べ過ぎに導いているような状態であり、肥満だからといって非難するのは酷といえます。
また、悪者とされがちな脂肪も健康にとって重要な機能を持っており、体脂肪がなさ過ぎるのも問題です。
体脂肪が不足すると不妊症や免疫力の低下、疲労、メンタルヘルスの問題、骨粗しょう症などさまざまな問題に悩まされる可能性があります。
しかし、余計な脂肪もそれはそれで健康に悪影響を与えるとのこと。
人間の体が摂取するエネルギーが燃焼するエネルギーを上回ると、余剰分はエネルギー豊富な有機バッテリーであるトリグリセライドとして蓄えられます。
このトリグリセライドが集まったものが白色脂肪細胞です。体重が増えると白色脂肪細胞は拡大し、体重が減ると縮小します。
脂肪は内分泌器官の一種であり、ホルモンを生成・調節するシステムの一部です。ホルモンは脳・肝臓・筋肉・消化管・免疫系に科学信号を送り、それらが正しく連携できるように調節を行います。
しかし、太りすぎて肥満になってしまうと、脂肪組織に関係する多くのホルモン分泌に異常が生じるとのこと。
白色脂肪細胞は大きく2つに分けられます。1つ目は皮膚の下にある皮下脂肪で、これは寒さから体を守り、エネルギーを蓄える役割を担っています。
もう1つは臓器の間に詰まっている内臓脂肪であり、敏感な体内の衝撃を和らげるクッションの役割を担っています。しかし、内臓脂肪は皮下脂肪よりも危険な存在です。
内臓脂肪はコルチゾールやアドレナリンといったストレスホルモンにとても敏感です。ストレスが急激に増加すると、脂肪酸が直接血液中に放出され、それが肝臓で吸収されて迅速にエネルギーへと変換されます。また、内臓脂肪は代謝が非常に活発であり、体の他の部分と常にホルモンのやり取りをしているとのこと。
このように皮下脂肪と内臓脂肪はそれぞれ役割が異なるため、同じ体重と細胞量を持つ2人であっても、それぞれの量の違いによって健康状態がまったく異なる場合があるそうです。
体重が増えると、過剰な内臓脂肪がさまざまな悪影響を引き起こします。
脂肪細胞は限界まで膨張し、血液供給が追いつかなくなって酸素不足になります。最終的には極度のストレスを受け、脂肪細胞が死ぬこともあるとのこと。
太りすぎた人の脂肪は傷ついた臓器であり、ストレスと毒素を体内に漏出させています。特に内臓脂肪は余分なストレスホルモンにさらされ、血中にどんどん脂肪を送り込みます。
これによって、肝臓や筋肉などの臓器には余分なエネルギーが送られ、対応できなくなって損傷を受けてしまいます。
また、ストレスを受けたり死んだりした脂肪細胞には、死んだ細胞を取り込んで消化するマクロファージが押し寄せます。しかし、これはうまくいかずさらなる助けを求め、最終的に炎症を引き起こすとのこと。
体内の炎症反応は病気などに対応する時は有効ですが、炎症が慢性的になると体全体が攻撃を受けているような状態になってしまいます。
炎症分子と脂肪酸は血管の内側に無数の傷を作り、それをふさぐためにプラークが形成されます。これによって血管が狭くなり、血流が減少します。
炎症は血圧の上昇も引き起こすため心臓の負担が増加し、結果として心臓発作や脳卒中のリスクが大幅に高まります。
さらに脂肪組織でのホルモン調節が乱れ、食欲をコントロールするレプチンというホルモンの分泌がおかしくなります。
十分なエネルギー貯蔵量がある時、レプチンは食べる量を減らして、より多くのエネルギーを消費するように促します。
しかし、脂肪が多すぎると空腹感が減るどころか、脳は絶え間ないレプチンの大量放出に抵抗するようになり、結果として満腹を察知するセンサーが破壊されてしまいます。これが、太り過ぎの人が激しい空腹感を覚える理由のひとつだとのこと。
また性ホルモンの分泌も乱れ、肥満の人では男性ホルモンのテストステロンが減少し、女性ホルモンのエストロゲンが過剰に生成されます。
これによって女性の場合、乳がんのリスクが大幅に高まるとのこと。
多くの人は脂肪とがんリスクの関係について把握していませんが、アメリカではがん全体の約10%が過体重または肥満に関連しているといわれています。さらに、肥満のがん患者は転帰が非常に悪く、がんによって寝たきりになったり死亡したりするのも早いそうです。
そして忘れてはいけないのが、重要なホルモンであるインスリンに肥満が及ぼす影響です。
インスリンはすい臓で生成されるホルモンであり、細胞に対して血中のブドウ糖を食べるように指示します。この働きにより、体内の血糖値が正常に保たれています。
しかし、余分な脂肪によるストレスは体中の細胞にインスリン抵抗性を植え付け、細胞がブドウ糖を食べてエネルギーを吸収する能力が低下します。
すい臓はより多くのインスリンを分泌することで補おうとしますが、この状態が何年も続くと体には着実にダメージが蓄積し、最終的に2型糖尿病になってしまうというわけです。
インスリン産生を担う細胞は正常に機能しなくなり、最終的には機能不全に陥ります。インスリン分泌が急激に減りますが、体はそれに対応することができず、体内はブドウ糖で飽和状態になってしまいます。
2型糖尿病患者の体は慢性的に炎症を起こしており、ほぼすべての臓器系が影響を受けます。腎臓に負担がかかり、尿の量が増え、視界がぼやけ、免役システムが著しく弱まり、傷の治りが遅くなり、神経が死んでまひや痛みが生じます。
糖尿病患者は息切れや胸の不快感、勃起不全、高血圧、認知能力の低下、うつ病などあらゆる症状を経験する場合があります。心臓発作や脳卒中といった致命的な疾患の発症リスクも高まります。
2型糖尿病は平均して寿命を10年縮め、健康寿命も減らします。これは喫煙と同程度の害だとのこと。
現在の肥満傾向が続くと、2050年までにアメリカ人の3人に1人が糖尿病を発症することになるそうです。
依然として脂肪や肥満についてはまずは見た目、次に健康という観点から議論されがちです。しかし、余分な脂肪がもたらす害は甚大であり、人々は肥満の健康被害についてもっと目を向ける必要があります。
余分な脂肪はさまざまな害をもたらしますが、健康的な食生活を送って体重を減らし始めると、これらの害は消えてなくなります。
脂肪細胞が収縮するとストレスが減り、免疫システムは回復します。血中脂肪や血糖値も正常なレベルまで下がり、傷ついた体も回復していきます。
すでに2型糖尿病を患っている場合でも、食生活を改善して体重を減らすことで、多くの悪影響を逆転させて寿命を延ばすことができます。
Kurzgesagtは、「ダイエットを開始するためのきっかけを待っていたのであれば、今がその時です」と呼びかけました。
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