近年はさまざまなビジネスで生成AIが活用されていますが、成果物に生成AIを使ったことが丸わかりな証拠が残ると、恥をかいたり信頼を失ったりするリスクもあります。パキスタン最大手の英字新聞であるDAWNの紙面に、AIの出力結果がそのまま掲載されてしまったとして話題を呼んでいます。
I know journalists are using AI in their work but this is a bit much!
Dawn business pages desk should have at least edited the last para out!
😆😆😆 pic.twitter.com/JWNdHNWvnv
— omar r quraishi (@omar_quraishi) November 12, 2025
パキスタンのジャーナリストであるomar r quraishi(@omar_quraishi)氏は2025年11月12日、Xに「ジャーナリストが仕事でAIを使っているのは知っていますが、これはちょっとやりすぎです!DAWNの経済ページのデスクは、少なくとも最後の段落を編集しておくべきでした!」という画像付きのポストをしました。
以下が問題となったDAWNの紙面です。赤枠で囲まれた部分には「If you want, I can also create an even sunappier “front-page style” version with punchy one-line stats and a bold, infographic-ready layout ― perfect for maximum reader impact. Do you want me to do that next?(ご希望であれば、さらに明るい『フロントページ風』バージョンも作成可能です。インパクトのある一行統計と、太字でインフォグラフィック対応のレイアウトで―読者に最大限のインパクトを与えるのに最適です。次はそれを作成しましょうか?)」と記されており、生成AIの出力結果がそのまま掲載されてしまったことがわかります。
このポストのリプライでは、別のユーザーも生成AIの出力結果が載ってしまった同じ紙面を投稿しています。
当該記事のオンライン版はすでに修正されていますが、末尾に編集部からのメッセージが掲載されています。
Auto sales rev up in October – Business – DAWN.COM
https://www.dawn.com/news/1954574
メッセージの内容は、「本日のDAWNに掲載されたこの記事は当初AIを用いて編集されており、これは当社の現行のAIポリシーに違反しています。このポリシーは当社のウェブサイトに掲載されており、こちらからご確認いただけます。また、元の記事には編集プロセス中にAIが生成したテキストが含まれていましたが、デジタル版では削除されています。この件は現在調査中で、AIポリシーへの違反を遺憾に思います」というものです。
DAWNのAIポリシーを確認してみると、禁止事項の中に「Using AI to generate or edit news stories(AIを用いたニュース記事の生成または編集)」が含まれていました。
この件はソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも話題となっています。
Pakistani newspaper mistakenly prints AI prompt with the article | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=45898789
あるユーザーは、「ドイツの雑誌・Spiegelでも同じことがありました。この記事の末尾の訂正コメントを参照してください」と報告しています。実際の記事を確認してみると、確かに「この記事の以前のバージョンには、制作上のミスによってAIツールからの警告が含まれていました。AIツールは私たちが自らの文章をチェックするために、時々使用しています。私たちの基準に反し、この記事は人間による徹底的な校正が行われる前に公開されていました。この問題を修正し、AIツールの警告を削除しました」というメッセージが記されています。
他には、「科学論文でもAIの出力結果をそのまま記載してしまったケースがある」というコメントや、「問題の記事は統計データが満載の退屈なものであり、こんな面倒な記事を作成するのは嫌だと思っても仕方ない」と理解を示すようなコメントもありました。
なお、過去には「AIが生成した偽の図書リスト」が新聞に掲載されてしまい、存在しない本がオススメされる事態も起きています。
新聞にAI生成の読書リストが掲載され存在しない本が推薦されてしまう事態が発生 – GIGAZINE
この記事のタイトルとURLをコピーする
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。





