巨大なデータセンターを運用していくにはそれなりの人手が必要なはずですが、データセンターを計画したときに打ち出されていたような数の雇用が地元には生まれていないと、テック系ニュースサイトのRest of Worldが指摘しています。
Microsoft and Google overstate job creation at Chile data centers – Rest of World
https://restofworld.org/2025/data-centers-jobs-microsoft-google-chile/
Rest of Worldが取り上げたのは南米・チリの事例です。チリは経済成長が低迷し、2023年以来、失業率が8%超で推移しています。
チリでは運用中・計画中合わせて67のデータセンターがあり、そのほとんどは首都・サンチアゴの都市圏にあります。その中の1カ所、キリクラ地区の労働情報局によれば、地元企業の求人情報はあるものの、データセンターを運用しているグローバル企業からは、まったく求人案件がないとのこと。地元市議会のアレクサンドラ・アランシビア氏はRest of Worldに対して「(データセンターの)仕事は非常に専門的で、地元ではまかなえないのです」と語ったそうです。
Rest of Worldが、2012年以降に環境調査が実施された17件のデータセンター建設計画について調べると、正社員としての雇用数は「1547人以下」だったとのこと。求人数は平均で90件、少ないと20件程度で、地元活動家や元労働者の証言によればほとんどが警備や清掃の仕事だったとのこと。
チリ政府の投資機関・InvestChileによれば、2028年までに28社のグローバル企業によって32カ所でデータセンターが建設される予定になっていますが、これらのデータセンターを30年運用するとして、正規雇用は909件と想定されています。
2025年6月、Microsoftはチリに新たなデータセンターを建設するにあたり、8万1000人以上の雇用を生み出すを発表しました。この「8万1000人」という数字は、コンサルティング会社・IDCによる「クラウドの利用拡大が成長につながり、結果として採用が増加する」という想定の経済モデルを使用しているとのこと。
しかし、コロンビア国立教育大学の経済学者ディエゴ・コルテス氏は「このモデルは、企業がITコストを節約し、節約分を採用に再投資すると想定したものですが、そうなるとは限りません」と指摘。生み出されるIT職で採用されるのは地元の人ではなく、外国人労働者である可能性があり、「地域経済に実質的な利益をもたらすとは考えられない」と述べています。
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