カナダのブリティッシュコロンビア州にあるラッシング・リバー養蜂場で、店舗が大量の「泥棒ミツバチ」に襲われてハチミツを強奪されそうになる事件が発生しました。ミツバチは古い出入り口の隙間から侵入したとのことです。
Thousands of ‘robber bees’ invade B.C. apiarist’s shop in attempted honey heist | CBC News
https://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/robber-bees-terrace-bc-apiary-1.7627532
2025年8月末のある日、ラッシング・リバー養蜂場のオーナーであるクリスティン・マクドナルドさんは、養蜂場の店舗が数千匹ものミツバチに埋め尽くされる事態に遭遇しました。長年にわたりミツバチと一緒に仕事をしてきたマクドナルドさんは、ミツバチが近くにいる方がむしろ快適に感じるそうですが、この光景にはさすがに恐怖を感じたとのこと。
マクドナルドさんはカナダ放送協会(CBC)の取材に対し、「あれは私が今まで感じた中でも、最大のパニックだったと思います。どこから来たのかもわからない数千匹ものミツバチがいて、しかもすべてのハチミツを守らなければならないんです」と語っています。
以下の写真が、実際にミツバチに埋め尽くされた店舗の作業場です。よく見ると小さなミツバチが至る所にいるのがわかります。
by Christine McDonald
これらのミツバチは、古い出入り口の隙間から入ってきたとみられています。マクドナルドさんによると、ミツバチはいい餌場を見つけると「尻尾を振るダンス」で仲間のミツバチにも場所を教える習性を持っているとのこと。今回も、最初に養蜂場の店舗を見つけたミツバチが仲間をどんどん呼び寄せて、最終的に数千匹が集合する事態になったと推測されます。
マクドナルドさんはハチミツを守るため、機器や製品に防水シートをかけてミツバチに奪われないようにしました。その後、侵入してきたミツバチを捕獲するために浴室の電気をつけっぱなしにしておびき寄せ、集まってきたところを捕獲して屋外に放したとのこと。
しかし、ミツバチたちは養蜂場の店舗を「餌場」だと認識したため、その後もミツバチが戻ってきたそうです。マクドナルドさんはその日以来、入り口の隙間をテープでふさいでミツバチが入れないようにして、4~5日が経過してようやくミツバチが来なくなったとのこと。マクドナルドさんは、「ミツバチたちはもうここには食べ物がない、入れない、と学習したんだと思います」と語っています。
店舗の入り口の隙間がテープでふさがれている様子はこんな感じ。
by Christine McDonald
マクドナルドさんによると、これまでにも屋外の巣箱をよそのミツバチが襲ったことはあったものの、屋内の施設がターゲットになったのは今回が初だとのこと。「秋の養蜂は非常に大変です。ミツバチたちが他のミツバチやスズメバチたちから身を守り、一生懸命働いて蓄えた食料を守れるようにしなければならないのです」とマクドナルドさんは話しました。
ミツバチが他の巣からハチミツを奪おうとする「盗蜂」は、晩夏から初秋にかけてよく見られる現象です。ブリティッシュコロンビア大学でミツバチについて研究しているアリソン・マカフィー氏は、蜜を出す花などの食糧資源が少なくなるこの時期にミツバチの個体数がピークに近づくと、一部のコロニーが弱いコロニーを侵略して食糧を奪う可能性があると指摘。「まるでクマが冬に向けて太ろうと必死になるのと同じような、ある種の必死さを持っています」とマカフィー氏は述べています。
スズメバチもハチミツを求めてミツバチの巣を襲うことがありますが、ミツバチ同士の盗蜂でもコロニーが死滅してしまうケースがあるとのこと。マカフィー氏は、「私たちはスズメバチに対して悪い印象を持っています。『ああ、あのスズメバチたちがミツバチのコロニーを襲って、ミツバチたちを殺している』と思います。でも実際には、ミツバチたちが他のコロニーのミツバチを殺してしまうこともよくあるのです」と説明しました。
なお、マクドナルドさんは数日間の清掃作業の後、ハチミツの生産を再開することができました。マクドナルドさんによると、今年の夏は暑さが長引いていることもあり、例年よりもミツバチが活発になっている可能性があるとのことです。
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