トイレで排便する際、便座に座ったままスマートフォンで動画を見たりゲームをプレイしたりして、ついつい長居してしまう人は多いはず。ところが、排便時に長時間座りすぎるとさまざまな問題が生じるとのことで、イギリスのランカスター大学で解剖学教授を務めるアダム・テイラー氏が「トイレで長時間座ると生じる7つの健康問題」について解説しました。
◆1:痔(じ)
痔は排便にまつわる病気としてよく知られており、2025年の研究ではトイレでスマートフォンを使用している人はいぼ痔のリスクが46%も高いことがわかりました。一般に痔は、排便時に肛門を取り囲むanal cushions(肛門クッション)と呼ばれる海綿状組織の圧力が高まり、血管が拡張することで起きるとのこと。
痔の症状には肛門からの痛みのない出血や刺激、かゆみ、不快感などがありますが、症状のない人を含めると世界中で50~85%の人々が痔を持っていると推定されています。また、痔は長引くことによる貧血や、いぼ痔が肛門から出て戻らなくなる嵌頓痔核などの合併症を引き起こすこともあります。
◆2:肛門裂傷(裂肛)
肛門の内壁は薄いため、トイレに長時間座っていると血液がたまって内壁が伸び、便が排出される時に傷つきやすくなります。その結果、肛門の内壁に小さな裂傷ができる肛門裂傷になる可能性があります。肛門裂傷になると、排便時に割れたガラスが出てくるような痛みと鮮血が伴うとのこと。
トイレに長時間座りすぎると、便だけでなく直腸が体外に出てしまうリスクが高まります。この状態は脱肛と呼ばれ、ある症例ではトイレで30分間スマートフォンゲームをプレイした男性の直腸が14cmも肛門から突き出てしまったと報告されています。
トイレに長時間座っていると腹部の圧力が高まり、結果として直腸を含む内臓を腹部に保持する役割を持つ骨盤底筋への圧力も上昇します。骨盤底筋への圧力が長時間続くと筋肉が弱まり、直腸などが外部に出やすくなってしまうそうで、女性の場合は子宮などの骨盤内にあるその他の臓器が体外に出る可能性もあるとのこと。脱肛は痛みを伴うことが多いため、病院を受診して再挿入してもらう必要があるほか、重症の場合は手術が必要になるそうです。
◆4:褥瘡(じょくそう)
褥瘡は長期間寝たきりの患者などでベッドとの接触面の血行が滞り、周辺組織に壊死(えし)を引き起こす状態のことで、「床ずれ」とも呼ばれます。特に高齢者の場合、トイレに長時間座ることでも褥瘡が発生することがあります。

◆5:食道裂孔ヘルニア
食道裂孔ヘルニアとは、本来なら横隔膜よりも下にある胃の一部が上方に逸脱し、胸腔に到達してしまう状態を指します。特に肥満または50歳以上の人がトイレに長時間座って力を入れると、食道裂孔ヘルニアの原因になることがあるそうです。食道裂孔ヘルニアは約20%の人々が罹患(りかん)しているもので、消化不良や胃痛、胸部の不快感といった症状があるとのこと。
◆6:便座神経障害
トイレに長時間座っていると主要な血管や神経が圧迫され、足への血流が減ってマヒすることがあります。これは便座神経障害と呼ばれる現象であり、通常は数分程度で収まります。しかし、中には飲酒後にトイレで意識を失って気が付いたら全身が動かなくなっていたという症例や、トイレで眠ってしまった男性が壊疽(えそ)と敗血症を起こして亡くなった症例も報告されています。
◆7:失神
トイレで排便しようとして長時間力を入れすぎると、トイレから立ち上がった際に血圧が低下してふらついたり、失神したりしてしまう可能性があります。これは血管迷走神経失神と呼ばれ、トイレで長時間力むことで心拍数や血圧を制御する迷走神経が刺激されて生じます。

テイラー氏は、「これらの症状に悩まされるリスクを減らすには、トイレに座っている時間をできるだけ短くするようにしましょう。トイレを使う際の姿勢を変えることも考えられます」「その他のアドバイスとしては、便通に5分以上かかることが多い人は食物繊維を多く摂取して、水をよく飲むことが挙げられます。どちらもより健康的な便通を促すのに役立ち、排便時の力みも防ぐことができます」と述べました。
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