今回紹介する作品タイトル
博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
あらすじ
米国では万が一の有事に備え、24時間体制でたくさんのB-29に核爆弾を搭載して警戒飛行をさせています。そこへ「某将軍」から緊急事態発生の暗号無線が届きます。そして、たくさんのB-29が当時のソ連の要所を核攻撃に向かわされてしまう、というストーリーです。そもそも「某将軍」は何故、そんな暗号無線を出したのか? なぜ「某将軍」の権限で、そんな命令が出せたのか? アメリカの核爆弾を巡る法的環境の穴を付いたストーリーで「これは一体、どうなっちゃうんだ」と見る者に冷や汗をかかせると同時に独特のブラックユーモアがあちこちに、ちりばめられ、思わず笑わされてしまうスタンリー・キューブリック監督の珠玉の名作です。この映画では英国のピーター・セラーズという喜劇俳優が出て来るのですが一体、どれがピーター・セラーズなのかを当ててみてください。キャスティングを見たら、きっと「嘘!」と言わずにはいられませんよ。
おすすめする(見どころ)ポイント
この映画は白黒映画です。これは「わざと」白黒映画で撮っているのです。そのほうが「らしくていい」と思ったからでしょう。またオープニングのクレジットは全て手書き文字という「手作り感満載」の映画です。またタイトルに出て来る「博士」とはドクター・ストレンジ・ラブの事ですが、彼が登場するのはラストの10分間だけです。にも拘わらず見る者に強烈な印象を与えるのがドクター・ストレンジ・ラブです。また他の配役も見ていて納得するしかないくらい現実的に、かつありのままに描かれており、ブラックユーモアもここまで来ると芸術的と言いたくなる作品です。出て来る場面、場面の細部まで、よく注視して下さい。一つ一つの画面に、たっぷりとブラックユーモアの毒が盛られていることに気が付い時、きっと「よくもまぁ、ここまで」と呆れ、かつ感心せざるを得ないでしょう。
改善してほしいと思ったポイント
この映画のストーリーは「よーく見ていないと分からない」ようになっています。たった一言のセリフが「展開をがらっと」変えてしまう部分もあります。つまり観客に集中力を要求する映画でトイレにも行けません。なんとなく見ていると、多分、筋が分からなくなり訳が分からなくなってしまうでしょう。ですので「見た事はあるけど何がなんだか、よく分からなかった」という人も多いのです。それなりの覚悟を持ってみないとダメなのです。しかし、これは多分、監督の「意図したこと」でもありそうです。
やるべき・観るべき
この映画は「見る人を選ぶ」映画です。受け身体制で見ていると訳が分からなくなってしまう映画ですので、それなりの覚悟を持って見て下さい。そして、内容が理解できた時、その面白さに初めて気が付く、という映画でもあります。なんともはや、こんな作品を残すとはスタンリー・キューブリック監督という人はなんて人なんだ、と思います。実はキューブリック監督の代表作は2001年宇宙の旅、ではなく、こちらなんじゃないか、と思わされてしまいます。それほどにキューブリック監督が「やりたい放題」に作った映画です。「覚悟を持って」見て下さい。
類似似作品
この映画の類似作品は、とても「あろうはずもない」としか言えません。それほどに独特であり、超が付くほど面白い映画です。ちなみに冒頭に「アメリカ空軍はこの映画のような事態が絶対に起こらないことを保証する」という字幕が出ますが、これはアメリカ空軍が要求して入れさせたものだそうです。
総評
私自身は、この映画がスタンリー・キューブリック監督の代表作だと思っています。それほどに監督が「自分のやりたい放題」に作った映画です。そして滅茶苦茶に面白い映画です。但し「内容がちゃんと理解できれば」という条件付き、という映画です。ですので、万人にお勧めは出来ません。キューブリック監督風に言えば「見たい奴は勝手に見ればいいだろうが」という作り手として有り得ない姿勢で作った映画です。それを「面白い」と思う方は「必見」です。
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