野生のオウムが「水飲み場のハンドルをひねって水を飲む方法」を学習しており水飲み場にはオウムの待機列もできている – GIGAZINE


オーストラリアに広く分布するオウムの一種・キバタンは、非常に高い知能と好奇心を持っており、シドニー南部ではキバタンがゴミ箱のフタを開けて中身をあさることが広まり、人間とオウムの知恵比べが激化しています。新たに、シドニー西部のキバタンが「水飲み場のハンドルをひねって水を飲む方法」を学習し、水飲み場にはオウムの待機列もできていることが報告されました。

Emergence of a novel drinking innovation in an urban population of sulphur-crested cockatoos, Cacatua galerita | Biology Letters
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2025.0010


Australian ‘trash parrots’ have now developed a local ‘drinking tradition’ | Live Science
https://www.livescience.com/animals/birds/australian-trash-parrots-have-now-developed-a-local-drinking-tradition

Sydney’s sulphur-crested cockatoos spotted using drinking fountains – ABC News
https://www.abc.net.au/news/science/2025-06-04/sydney-sulphur-crested-cockatoo-using-bubblers/105365658

ドイツのマックス・プランク動物行動学研究所で動物の認知や社会行動を研究しているバーバラ・クランプ氏は、2018年9月にシドニー西部を歩いていた時、キバタンが水飲み場を使うために列を作っている様子を目撃しました。

論文の共著者であり、オーストラリア国立大学の認知生態学者であるルーシー・アプリン氏は科学系メディアのLive Scienceに対し、「彼女が研究グループにこのことを報告した時、私たちは皆とても興奮し、この異常な行動をさらに研究する最良の方法を計画し始めました」と語っています。

以下の写真は、水飲み場から水を飲むキバタンと、水飲み場を使う順番待ちをしているキバタンの列を撮影したもの。水飲み場は、高さ約1mのコンクリート製の台座の上に噴き出し口が埋め込まれたゴム製のフタがあり、上部から約15cm下にひねりタイプのハンドルが付いていました。


研究チームは2019年8月29日~10月11日に、シドニー西部のチャーリー・バリ保護区にある水飲み場に2台のモーショントリガーカメラを設置し、キバタンが水飲み場から水を飲む様子を観察しました。観察の前に、研究チームは周囲に住むキバタン24羽に印を付けて、視覚的に識別できるようにしたとのこと。

以下の地図は、観察が行われたチャーリー・バリ保護区にある水飲み場を示したもの。黄色で囲われている水飲み場は、ゴム製のフタにキバタンのかみ痕が残されていたものを示し、赤色とオレンジ色で囲われた水飲み場は直接キバタンが水を飲む様子が観察されたものを示しています。カメラが設置されたのは赤色で囲われた水飲み場でした。


キバタンは両足を使ってハンドルを操作し、体重をかけてハンドルを時計回りに回し、ハンドルが戻らないようにして水を飲んでいました。


映像を分析した結果、キバタンが水飲み場から水を飲もうとする行動は合計で525回観察され、そのうち41%の試行で水飲みに成功したと報告されています。また、印を付けたキバタン24羽のうち水を飲もうとしたのは17羽(約70%)であり、マーキングに偏りがなければ、地元に生息するキバタンの約70%が水飲み場を操作しようとしたことになります。


アプリン氏は、この行動はおそらく特定のキバタンが生み出したものであり、その様子を見た他のキバタンを通じて地元の個体群に広まったのだろうと推測しています。しかし、個体ごとに水飲み場の操作方法が微妙に違ったことから、細かい点は各個体が試行錯誤して改善しているとみられます。

アプリン氏はLive Scienceに対し、「今回の研究は全体として、この行動が地元の鳥の群れにおいて広く普及し、定着していることを示しています。一部の鳥は完全にその行動を習得しており、他の鳥は学習中の段階にあります。これは水飲み場から水を飲むという行動が、地域に根付いた『水飲みの習慣』として広まったことを示唆しています」と述べました。

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