「アンティキティラ島の機械」とは、1901年に地中海に浮かぶアンティキティラ島近海で沈没船から発見された、古代ギリシア時代の青銅製の歯車式機械です。新たな研究では、アンティキティラ島の機械にはエラーが許容できないほど多く、ただのおもちゃだった可能性もあると指摘されています。
[2504.00327] The Impact of Triangular-Toothed Gears on the Functionality of the Antikythera Mechanism
https://arxiv.org/abs/2504.00327
アンティキティラ島の機械は相互に接続された歯車からなる複雑なシステムを有しており、恒星と惑星の動き、さらに日食などを計算する機械だったと推定されています。また、アンティキティラ島の機械に空いた穴を推定した2024年の研究では、アンティキティラ島の機械が古代ギリシア暦(太陰太陽暦)を示すものだった可能性が示唆されました。
今回、アルゼンチンのマル・デル・プラタ国立大学の研究チームは、未査読論文のプレプリントサーバーであるarXivに発表した論文で、アンティキティラ島の機械の動作をシミュレートした結果を報告しました。
研究チームは、アンティキティラ島の機械の歯車にある三角形の歯が引き起こす不均一な動きについての解析結果と、カーディフ大学のマイケル・エドマンズ教授が2011年の論文で指摘した製造上のエラーについてのモデルを組み合わせ、歯車の振る舞いをシミュレートする計算プログラムを開発したとのこと。
包括的な計算プログラムを用いてアンティキティラ島の機械の動作を調べた結果、三角形の歯がもたらす誤差は無視できる一方、製造上の不正確さは歯車の詰まりや脱落の可能性を大幅に高めることが示されました。
研究チームは、「私たちの仮定の下では、エドマンズ教授によって特定されたエラーは、故障を防ぐために必要な許容限度を超えています。その結果、機械がまったく機能しなかったか、実際のエラーがエドマンズ教授によって報告されたものより小さかったかのどちらかです」と述べています。
研究チームは、今回の研究が部分的な推測で成り立っていることを認め、「この結果は、アンティキティラ島の機械の真の正確さと機能性をよりよく理解するために、さらなる研究とより洗練された技術が必要であることを強調しています」と述べました。
研究チームが指摘しているように、そもそもアンティキティラ島の機械は全体の断片のみが発見されているに過ぎず、過去には全体像の復元モデルが作成されているものの、実際の構造にはわからない点が多く残されています。
紀元前に作られた世界最古のコンピューター「アンティキティラ島の機械」の構造を解き明かす復元モデルが作成される – GIGAZINE

一方、科学系メディアのScience Alertは、研究には推測が含まれているとはいえ、アンティキティラ島の機械が本当に天才的な作品だったのか、それとも単なる装飾だったのかという疑問を投げかけるには十分だと主張。「新しい研究は、このデバイスが単に精巧なおもちゃであった可能性があることを示唆しています」と記しました。
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