アメリカの卵の値段が急騰したのは「鳥インフルエンザ」ではなく「少数企業による独占」が原因との指摘 – GIGAZINE



日本では卵の価格高騰が起きていますが、アメリカでも同様に卵の価格が高い状態が続いています。卵の価格高騰は鳥インフルエンザが原因と説明されることが多いのですが、アメリカでは鳥インフルエンザだけでなく「少数の企業による卵生産の独占」が高騰の原因となっていることが指摘されています。

U.S. Investigates Egg Producers Over Soaring Prices – The New York Times
https://www.nytimes.com/2025/03/07/business/us-egg-prices-investigation.html

Farm Action Calls for an Investigation into Skyrocketing Egg Prices and Restricted Supply | Farm Action
https://farmaction.us/farm-action-calls-for-an-investigation-into-skyrocketing-egg-prices-and-restricted-supply/

Hatching a Conspiracy: A BIG Investigation into Egg Prices
https://www.thebignewsletter.com/p/hatching-a-conspiracy-a-big-investigation

アメリカの卵の価格高騰はかなり深刻な状態です。例えばグレードAの大型卵の卸売価格は2021年には1ダース当たり0.50ドル~1.30ドル(約74円~約192円)でしたが、2025年には1ダース当たり6.00ドル~8.00ドル(約885円~約1180円)にまで上昇しました。

アメリカでも日本と同様に鳥インフルエンザが流行しており、卵の生産者は「鳥インフルエンザによる鶏の大量死が卵の価格高騰を引き起こしている」と説明しています。しかし、農業に関する競争の公正化を目指して活動している団体「Farm Action」は「鳥インフルエンザが卵の生産量に与えた影響はわずかで、少数の企業による卵市場の独占が価格高騰を招いている」と指摘しています。

以下のグラフはアメリカ国内の採卵用鶏の飼育羽数を月ごとにまとめたもので、青色が2021年、オレンジ色が2022年、緑色が2023年、水色が2024年、紫色が2025年の羽数を示しています。2024年の飼育羽数は2021年と比べて平均5.18%少ないものの、価格の高騰を引き起こすような減少率ではありません。また、アメリカ最大手の卵生産者であるカルメイン・フーズの生産量は2021年から2024年にかけて年間11億ダースで安定しています。


卵の価格が高騰する中、カルメイン・フーズの売上総利益は2021年から2024年にかけて237%増加しています。また、期間を2021年から2023年に狭めると売上総利益の上昇率は646%となります。

カルメイン・フーズを含む大手卵生産者は利益を価格に還元することなく市場支配力の向上に費やしています。例えばカルメイン・フーズは2023年にFassio Egg Farmsを買収しており、大手卵生産者のDaybreak Foodsも2023年にHen Haven LLCとSchipper Eggsを買収しました。アメリカの卵生産上位5社のシェア率は2023年は37%でしたが、一連の買収取引を経て2025年には46%にシェアを広げています。

Farm Actionは上記のような独占状況が卵の価格競争を阻害して高騰を招いていると指摘しており、連邦取引委員会とアメリカ司法省に調査を求める書簡を送付しました。書簡の全文は以下のリンク先で確認できます。

Final_FarmAction_FTC_DOJ_EggPricesLetter.pdf
(PDFファイル)https://farmaction.us/wp-content/uploads/2025/02/Final_FarmAction_FTC_DOJ_EggPricesLetter.pdf

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