SNSは最新の美容トレンドであふれかえっていますが、中には効果が怪しかったり不気味だったりする美容法が流行することもあります。生理の時に出た血を顔に塗る「月経マスク(menstrual masking)」という美容法の効果や危険性について、イギリスのキングストン大学で薬学実務の上級講師を務めるディパ・カムダール氏が解説しました。
生理の時に出る経血を塗る「月経マスク」はSNSで話題となった美容法であり、「#periodfacemask」などのハッシュタグが付いた関連動画の合計再生回数は数十億回を超えています。なお、記事作成時点ではパートナーの男性に対するいたずらとして行われるケースも多く見られます。
多くの動画では、経血を顔に塗布して数分間たってから洗い流しており、使用する血の量や塗布時間についての明確なルールはないとのこと。支持者の中には月経マスクを単なる美容法にとどまらず、自分の体や女性らしさとつながる精神的儀式であると捉える人もいるそうです。
記事作成時点では、経血をスキンケアに用いることを支持する科学的裏付けはありません。しかしカムダール氏は、経血に含まれる生物学的組成には、医学研究において有望な可能性を示すものも含まれていると認めています。
月経マスクの支持者らは、経血には幹細胞やサイトカイン、タンパク質などが含まれており、これらの物質が肌の若返りに効果を示すと主張しています。
実際に2018年の研究では、傷の治療において経血から分離した血漿(けっしょう)が、通常の血漿(けっしょう)よりも高い効果を示すことが確認されました。この驚くべき効果は、経血に含まれる特有のタンパク質や生理活性分子、つまり子宮が毎月回復するのを可能にする物質と関連していると考えられています。研究者らは現在、合成の月経液が慢性創傷の治療に役立つかどうかを調べているとのこと。
また、幹細胞研究の分野では、さまざまな種類の細胞に分化する間葉系幹細胞の一種である月経由来幹細胞(MenSCs)にも注目が集まっています。間葉系幹細胞はコラーゲンの生成を促し、しわを軽減し、やけど・紫外線・傷によるダメージを修復する成長因子を放出することで、肌の治癒を促進することが示されています。
月経由来幹細胞は汎用(はんよう)性が高く安全であると考えられるため、皮膚の再生や光老化(長期にわたる日光への暴露による皮膚の老化)を遅らせる治療法開発において、有望な選択肢になるとみられています。

確かに月経マスクの効果を示唆するような背景がある一方で、経血を顔に塗ることにはリスクが存在します。血管から抜いた血液を分離して顔に塗る美容法「ヴァンパイア・フェイシャル」とは異なり、経血が含まれる月経液には、血液だけでなく子宮内膜組織や膣(ちつ)分泌物、ホルモン、タンパク質が複雑に混ざり合っています。。
また、膣を通過する際に黄色ブドウ球菌などの細菌や真菌が混ざる可能性もあります。黄色ブドウ球菌は皮膚に生息する一般的な細菌ですが、傷口や毛穴に入ると感染症を引き起こす場合があり、性感染症を引き起こすウイルスが皮膚から感染するリスクもあるとのこと。
月経マスクはありのままの体を尊重するボディ・ポジティブや文化的儀式、疑似科学などが交差する地点に位置しているとカムダール氏は指摘。月経マスクを、月経周期を祝福して生理への偏見に抵抗する行為とする見方もあれば、効果が実証されていない潜在的リスクのある美容トレンドとする見方もあります。
カムダール氏は、「経血の生物学的な豊かさは否定できませんが、その安全かつ効果的な使用は管理された医学研究の範囲にとどまるべきで、DIYのスキンケアルーチンには当てはまりません。多くの流行している健康トレンドと同様に、象徴と科学を区別することが重要です」と述べました。
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