2025年10月、イギリス栄養士協会が「慢性便秘の成人向けの食事管理ガイドライン」を発表しました。さまざまな臨床試験の結果を基に作成されたガイドラインの内容について、ウェスタンシドニー大学の消化器専門医であるヴィンセント・ホー准教授が解説しています。
British Dietetic Association Guidelines for the Dietary Management of Chronic Constipation in Adults – Dimidi – 2025 – Journal of Human Nutrition and Dietetics – Wiley Online Library https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jhn.70133
イギリス栄養士協会の科学者らは75件の臨床試験について調査し、成人の慢性便秘解消に役立つ食品や飲み物、サプリメントについての推奨事項を作成しました。便秘の捉え方は人によって異なるため、研究者らは幅広い便秘の状態をカバーする「少なくとも過去3カ月間にわたり、硬い便が数回しか出ない状態」という定義を用いたとのこと。
今回発表されたガイドラインについて、特にホー氏が注目しているものは以下の通り。
◆キウイフルーツを食べるべき 科学者らは慢性便秘を解消するため、少なくとも4週間にわたって1日2~3個のキウイフルーツを食べることを推奨しています。なお、キウイフルーツの種類は一般的なグリーンキウイフルーツでも、ゴールドキウイフルーツでもいいとのこと。
キウイフルーツの食物繊維は水と混ざると大きく膨らみ 、この膨らみによって便の量が増えて腸を通りやすくなるそうです。皮も一緒に食べるとより多くの食物繊維を摂取できますが、皮をむいて果肉だけを食べても問題ありません。
また、キウイフルーツに含まれるアクチニジン という酵素は胃や小腸におけるタンパク質の消化を助ける働き を持っており、これが便秘の解消に役立つ可能性があります。
キウイフルーツに含まれるラフィド という針状のシュウ酸カルシウム結晶も、腸内で粘液の生成を促進することで便を滑らかにし、便通を促進するとのこと。さらに、キウイフルーツを食べると便秘につながる とされているメタン を生成する腸内細菌が減る 可能性もあるそうです。
◆ミネラルウォーターを飲むべき ガイドラインでは、2~6週間にわたって1日あたり0.5~1.5リットルのミネラルウォーターを飲むことも推奨されています。その理由は、下剤として作用する ことが知られており、慢性便秘向けの栄養補助食品としても知られるマグネシウム がミネラルウォーターに含まれているためです。
酸化マグネシウムのサプリメントにも、便を軟らかくして排便回数を増やす効果があると確認されており、科学者らは少なくとも4週間、1日あたり0.5~1.5gの酸化マグネシウムを摂取することを推奨しました。なお、腎臓病を患っている人はマグネシウムの摂取に注意する必要があるほか、他の薬と相互作用を起こす可能性にも気を付ける必要があります。
◆ライ麦パンを食べるべき 科学者らがレビューした臨床試験では、ライ麦パンが白パンや一般的な下剤よりも便秘を緩和する効果がある ことが示されており、ガイドラインでは少なくとも3週間にわたりライ麦パンを6~8枚食べることが推奨されています。
◆高食物繊維食は必要ない可能性 ホー氏が今回のガイドラインで驚いた点として挙げているのが、「食物繊維の含有量が多い食事」を推奨する項目がなかった点です。一般に、食物繊維の摂取は便秘対策として有効だといわれていますが、高繊維食(1日25~30g)と低繊維食(1日15~20g)を比較した臨床試験 では、高繊維食が便秘解消に役立つことは示されませんでした。
これは、食物繊維は便秘に効果がないという意味ではなく、慢性的な便秘には食物繊維が有効だという確かな証拠 が存在しています。しかし、今回のガイドラインでは高繊維食ではなく、サイリウム などの添加物やサプリメントで食物繊維を1日あたり10g摂取することが推奨されました。
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