アメリカ政府は高性能AIチップの中国への輸出を制限していますが、中国企業は他国の企業を経由することでNVIDIA製AIチップを入手できているのが現状です。そんな中、ニューヨーク・タイムズが「中国へのAIチップ販売の疑いで調査されている『Megaspeed』という企業の幹部とNVIDIAのジェンスン・フアンCEOが親しい関係にある」と報じました。
A Mystery C.E.O. and Billions in Sales: Is China Buying Banned Nvidia Chips? – The New York Times
https://www.nytimes.com/2025/10/09/technology/nvidia-chips-china-megaspeed.html
Megaspeedは2023年に中国のゲーム企業から独立したテクノロジー企業で、記事作成時点ではシンガポールに拠点を置いているほか、マレーシアにも子会社を設立しています。公式サイトではB200やGB200といったNVIDIA製高性能AIチップ搭載サーバーを取り扱っていることがアピールされています。
ニューヨーク・タイムズによると、アメリカ商務省に関係する6人以上の人物から「Megaspeedは、アメリカの規制を回避して中国にAIチップを届ける役割を担っていることが疑われており、商務省からの調査を受けている」という情報が得られたとのこと。さらに、Megaspeedはシンガポール警察からの調査も受けているそうです。
また、ニューヨーク・タイムズは「Megaspeedの幹部であるアリス・フアン氏とNVIDIAのジェンスン・フアンCEOが親しい関係にある」とも報じています。両者は名前こそ似ているものの血縁関係にはないとのこと。情報提供者のパーカー・シュミット氏は「2024年6月上旬に台北のバーでアリス氏はテクノロジー企業の幹部たちと交流していた。その際、アリス・フアン氏は『自分はジェンスンをここに連れてくることができる』と発言し、実際にジェンスン・フアンCEOがバーに現れた」と述べています。
テクノロジー企業のNetThunderがLinkedInに投稿した写真が以下。トレードマークの革ジャンに身を包んだジェンスン・フアンCEOが中央右に写り、その左隣にアリス・フアン氏が座っています。
また、2025年5月にジェンスン・フアンCEOがメディアのインタビューに応じた際にもアリス・フアン氏が近くにいたことが分かっています。以下の動画ではジェンスン・フアンCEOの後ろに控えるアリス・フアン氏の姿を確認できます。
【#原音重現】傳明將離台黃仁勳”唯一遺憾”沒見到他 黃仁勳雨夜用餐!見記者淋雨”端炒飯現身送暖”|三立新聞網 SETN.com – YouTube

赤枠で囲った人物がアリス・フアン氏。
アリス・フアン氏はMegaspeedの設立から8カ月間は「マネージング・ディレクター」という役職で活動しており、自身は「CEO」と称していたとのこと。記事作成時点でのアリス・フアン氏の役職は不明です。また、Megaspeedは2024年から数百万ドル(数億円)相当のNVIDIA製AIチップを安定的に供給しており、AIチップの購入には数十億ドル(数千億円)を投じているとのこと。しかし、Megaspeedの資金源は不明です。
ニューヨーク・タイムズはシンガポールにあるMegaspeedに拠点を訪れましたが、平日にもかかわらず従業員が2人しかいなかったそうです。
なお、中国企業はAIの研究開発のためにNVIDIA製AIチップを欲していますが、中国政府はNVIDIA製AIチップの購入禁止をテクノロジー企業に指示しています。また、Financial Timesは2025年10月10日に「AIチップに関する中国の税関規制が強化された」とも報じています。
中国政府がNVIDIA製AIチップ購入の全面禁止を大手テック企業に指示、NVIDIAのCEOは「がっかりした」とコメント – GIGAZINE
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