ブラウザによるデータ収集を拒否できる設定をブラウザ側が用意することを義務付ける法案にカリフォルニア州知事が署名 – GIGAZINE


メモ


インターネットを使う人にとってなくてはならないのがブラウザですが、GoogleがChromeによるユーザーデータの収集をめぐって訴訟を起こされていたり、MozillaがFirefoxのプライバシーに関する通知を懸念する声に「ユーザーのデータを奪うことはない」と明言したりと、「ブラウザがユーザーのデータを収集しているのでは」と不安の声が上がることもあります。ブラウザの設定やアドオン等でプライバシーデータを送信しないように設定できる場合もありますが、そのような設定を誰でも簡単にどのブラウザでも行えるように、「ユーザーが個人情報の提供を拒否する手続きを簡単にできるようブラウザに義務付ける」という法律がカリフォルニア州で成立しました。

Governor Newsom signs data privacy bills to protect tech users | Governor of California
https://www.gov.ca.gov/2025/10/08/governor-newsom-signs-data-privacy-bills-to-protect-tech-users/


California enacts law giving consumers ability to universally opt out of data sharing | The Record from Recorded Future News
https://therecord.media/california-signs-law-opt-out-browsers

カリフォルニア州では、2018年にカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)が成立しました。CCPAは「情報への権利」「忘れられる権利」「第三者への情報共有をオプトアウトできる権利」「平等にサービスを受ける権利」「データの移植を行う権利」「データが適切に保護されていない場合に訴訟を起こす権利」といった権利を付与するほか、2024年にはさらに保護範囲を拡大して人々の脳のデータを保護してテクノロジー企業による悪用を防ぐことを目的とした新たな法律「SB-1223」も成立しました。

個人の機密情報の対象をニューラルデータにまで拡大する法案をカリフォルニア州が可決 – GIGAZINE


CCPAでは、ブラウザによるデータ共有を拒否するオプトアウトの権利を、カリフォルニア州住民に対して認めています。しかし、どのようにオプトアウトするかはユーザー側に委ねられており、ブラウザはオプトアウトを容易に利用できるよう設定していませんでした。

そこで、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は2025年10月8日に、ブラウザ側がオプトアウトをワンクリックで簡単に行える仕組みを義務付ける法案「AB 566」に署名しました。この法案により、ブラウザ側にはワンクリックで「データ共有拒否信号」を送信できる機能の提供が義務付けられ、ユーザーは個々のウェブサイトを訪れるたびに繰り返し手続きを行う必要がなくなります。同種の法律がアメリカで制定されるのは今回が初めてです。


消費者団体「Consumer Reports」で政策アナリストを務めるマット・シュワルツ氏は「これまで、データ収集機能をオプトアウトするためには、サードパーティ製ブラウザ拡張機能をダウンロードするか、プライバシー保護機能を備えたブラウザを選択する必要がありました。新しい法案によるオプトアウト機能は、数百万人もの人々が、大幅に簡素化された手続きでオプトアウトを実行できるようになります」と語りました。

AP通信の報道によると、GoogleはAB 566の法案に反対する嘆願書に署名を集めるロビー活動を実施していたとのこと。Googleは協力を要請するメールの中で、「AB 566が可決されると、オンライン広告を使って顧客にリーチする能力が損なわれます」と主張していました。AP通信によると、Googleは法案を提出した下院議員に直接働きかけることはなく、Googleが資金援助している別の企業に代表させるという手法をとっていたそうです。

また、ニューサム知事が同日に署名した他の法案でも、重要なデータプライバシー保護権が認められています。1つは、ソーシャルメディア企業に対し、アカウントの解約手続きを簡素化することを義務付け、解約時には消費者のデータを完全に削除することを定めた「AB 656」です。ニューサム知事は「ソーシャルメディアのアカウントを削除するのは難しくあってはなりません。そして、個人データの管理権を取り戻すのは、さらに難しくあってはなりません。これらの法案により、ソーシャルメディアのユーザーは、アカウントを削除すればデータが残らないという安心感を得られるでしょう」と述べています。

法案では、新法は2027年1月1日からの施行とされており、それまでブラウザ提供者および事業者に準備期間が設けられています。

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