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NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは2025年7月中に北京を訪問し、中国政府高官と会談する予定だと、イギリス経済紙のFinancial Timesが報じています。この訪問は、アメリカの輸出規制を免れるようにRTX Pro 6000 Blackwellベースで設計されたAIチップを2025年9月に発売する計画に先立つもので、中国市場へのコミットメントを再確認する狙いがあるとのことです。
Nvidia’s Jensen Huang plans Beijing trip ahead of new China AI chip launch
https://www.ft.com/content/e496f80f-1789-46b3-9275-a3f54344047e
China Plans to Deploy 115,000 NVIDIA AI GPUs Across 36 Data Centers | TechPowerUp
https://www.techpowerup.com/338828/china-plans-to-deploy-115-000-nvidia-ai-gpus-across-36-data-centers
報じられている新しいAIチップはアメリカの厳格化された輸出管理規則に準拠するように設計されており、NVIDIAのBlackwell RTX Pro 6000プロセッサをベースに、広帯域メモリ(HBM)やより高速なデータ転送を可能にするNVLinkの対応などがオミットされているとのこと。NVIDIAはトランプ政権に対し、新しいAIチップが輸出管理規則に抵触しないという保証を求めており、もし保証が得られなかった場合はさらにチップの設計が変更される可能性があります。

こうした動きの背景には、中国市場の重要性があります。中国はNVIDIAにとって第4位の市場であり、2025会計年度の年間報告書によると、売上高は171億ドルで全体の13%を占めています。フアンCEOはかつて、中国のAIチップへのアクセスを制限するアメリカの輸出規制を「失敗」だと述べ、中国企業による自社製品開発を加速させたと指摘。さらにNVIDIAの中国における市場シェアは4年前の95%から50%にまで低下したと言及しています。
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOがアメリカのチップ輸出制限政策を「失敗だった」と言及、中国でのシェアが4年間で95%から50%まで下落 – GIGAZINE
一方で、中国国内でもNVIDIA製ハードウェアに対する需要が高まっています。中国の大手AI企業は、国内西部の砂漠地帯に36カ所のデータセンターを建設し、11万5000基を超えるNVIDIA製AIプロセッサを収容するという大規模な計画を明らかにしています。各企業はサードパーティーのサプライヤーを通じて、NVIDIAの主力製品であるH100やH200などの導入を目指していますが、アメリカの輸出規制により、これらの高性能プロセッサを正規ルートで入手することは禁止されています。
アメリカの不透明な政策を背景に、中国国内ではNVIDIA製品への過度な依存を懸念する動きがみられます。AlibabaやByteDance、Tencentなどの主要な中国企業はHuaweiなどの国内メーカーが製造するチップに置き換えるテストを進めています。それでもなお、AIの学習と推論の処理はNVIDIA製チップを搭載したハードウェアとCUDAプラットフォームで最も効率的に実行できるため、性能が劣る新チップであってもNVIDIA製品の需要は依然として高いままとなっています。
フアンCEOは今回の訪中で、李強総理を含む中国政府高官との会談も模索しており、地政学的な緊張の中で海外市場での地位を維持しようと努めているようです。
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