エコノミークラスより安い「ベーシックエコノミー」を航空会社が導入する理由とは? – GIGAZINE


一部の航空会社は格安航空会社(LCC)への対抗策としてエコノミークラスよりも安い「ベーシックエコノミー」という座席等級を設定しています。このベーシックエコノミーがユーザーや航空会社にもたらした影響について、チケット代節約サービスを展開するJetBackが解説しています。

The Economics Behind “Basic Economy” – A Masterclass in Price Discrimination
https://blog.getjetback.com/the-economics-behind-basic-economy-a-masterclass-in-price-discrimination/

ベーシックエコノミーはアメリカを中心に各国の航空会社が導入しています。ベーシックエコノミーは基本的に「エコノミークラスの下位クラス」として設定されており、例えばデルタ航空のベーシックエコノミーは座席の種類や食事などはエコノミークラスと同等であるものの「機内持ち込み手荷物(身の回り品より大きいサイズ)の持ち込みが有料」「受託手荷物の無料枠がない」「座席を指定できない」といった制限が設けられています。


各社のベーシックエコノミーのサービス内容には多少の違いがありますが、どのベーシックエコノミーにも「無駄を省き、柔軟性を廃し、エコノミークラスと差別化するために大小さまざまな不便を備えたもの」という共通点があります。また、ベーシックエコノミーの導入と同時期にエコノミークラスの値上げも実施されたことで「簡素化された商品にこれまでと同じ金額を支払うか、これまで無料で受けられていたサービスを受けるために高い料金を支払う」というユーザーにとって不利な2択を迫られているともJetBackは指摘しています。

これまではエコノミークラスは「最もランクの低いクラス」でしたが、ベーシックエコノミーの登場によって「各種制限を回避できるクラス」へと変化しました。アメリカン航空の発表では、ベーシックエコノミーからエコノミークラスへの平均アップグレード価格は23ドル(3300円)とのこと。このため、ベーシックエコノミーを検討しているユーザーの一部は「3300円を支払うだけで各種の制限を回避できる」と考えてエコノミークラスを選択することになります。また、航空会社の予約サイトではベーシックエコノミーを予約しようとすると「座席の指定ができません」といった制限事項が大きく表示されるため、多くのユーザーが最終的にエコノミークラスを選択することになります。


ベーシックエコノミーの導入は航空会社に大きな利益をもたらしています。例えば、デルタ航空はベーシックエコノミーの導入によって2016年第1四半期の収益が2000万ドル(約29億円)増加したと推測されているほか、ユナイテッド航空はベーシックエコノミーの導入によって年間収益が1億5000万ドル(約220億円)増加したと推測されています。一方で、「ベーシックエコノミーは最終的に高額なチケット代を支払わせる巧妙な策略だ」とする意見もあり、何らかの規制が課される可能性も指摘されています。

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