Appleは2024年6月11日にAIシステム「Apple Intelligence」を発表した際に音声アシスタントの「Siri」にAI機能を統合する計画を明かしていましたが、記事作成時点でもAI統合版のSiriはリリースされていません。なぜSiriとAIの統合が難しいのかについて、元Apple社員がFinancial Timesに語っています。
Apple’s struggles to update Siri lead to investor concerns over AI strategy
https://www.ft.com/content/785aeb00-6784-4d64-a706-0cb44288e6be
2024年6月に発表されていたSiriの追加機能うち、「画面下部をダブルタップでSiriを呼び出す機能」や「Siriには難しい問題をChatGPTに代わりに応答してもらう機能」などは既にリリースされています。しかし、一部の機能は未実装で、Apple Intelligenceの公式ページで紹介されている「画面に表示されている内容を自動認識してアクションを実行する」という機能には「この機能は現在開発中」という注意書きが付いています。
「複数のアプリをまたいでアクションを実行する」という便利そうな機能も開発中の段階です。
また、AppleはAIを用いて音声対話機能を改善した「進化したSiri」の開発を進めていることが報じられていますが、この「進化したSiri」についても開発が遅れており、Appleの広報担当者が「リリース時期を2026年に延期した」という声明を出す事態に至っています。
Apple Intelligenceの「進化したSiri」のリリースが2026年に延期されたことをAppleが認める – GIGAZINE
Appleを最近退職したという元社員は、Financial Timesに対して「Appleは、現在のSiriの基盤となっている機械学習技術をベースに独自の大規模言語モデル(LLM)を構築し、真の対話型アシスタントを実現しようと試みている。しかし、従来の機械学習技術とLLMを統合する段階でバグが発生した」と証言しています。OpenAIなどのAI企業はLLMをゼロから構築しているため同様の問題とは無縁ですが、Appleは既存技術の延長としてLLMを構築しようとしているため問題に直面しているとのこと。
また、Appleはユーザーのプライバシーを保護するためにAI機能をクラウドではなくデバイス上で処理することにこだわっています。このデバイス上でのAI処理も大きな課題となっているそうです。
さらに、Appleの元幹部はFinancial Timesに対して「Apple内部ではAIを巡る統一戦略が欠如している。幹部らは当初、AI技術の開発に十分な予算を割り当てる意欲を持っておらず、事態の悪化を招いた」と語っています。
AppleはAI開発体制の立て直しを図っており、キム・ヴォラス氏をAI部門のトップに任命しています。
AppleがAI部門の強化に本腰、プロジェクト管理で有名なベテラン幹部が異動しApple IntelligenceやSiriの強化を図る – GIGAZINE
なお、Appleは現地時間の2025年6月9日から開発者会議「WWDC2025」を開催予定で、日本時間の2025年6月10日2時に始まる基調講演ではiOSやmacOSなど各種OSの新機能が発表されると目されています。GIGAZINEでも発表内容をリアルタイムでまとめて爆速更新予定なので、チェックしてください。
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