OpenAIが削除された会話を含むすべてのChatGPTログを保存するよう命じた裁判所命令を非難 – GIGAZINE


OpenAIのChatGPTを活用しているユーザーの中には、プライベートな会話をした後に、そのチャットログを削除したことがある人もいるかもしれません。削除された会話を含め、ChatGPTのログをすべて保存するよう指示した裁判所命令に、OpenAIが異議を申し立てました。

OpenAI slams court order to save all ChatGPT logs, including deleted chats – Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2025/06/openai-says-court-forcing-it-to-save-all-chatgpt-logs-is-a-privacy-nightmare/

今回OpenAIが異議を申し立てた裁判所命令は、ニューヨーク・タイムズなどの報道機関がOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で訴えた裁判に関連しています。

大手日刊紙のニューヨーク・タイムズがOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で提訴 – GIGAZINE


この著作権侵害訴訟では、ChatGPTを悪用してペイウォールを回避し、料金を支払わずに有料記事を読んだユーザーがそのチャットログを削除することにより、証拠が隠滅される危険性があることが指摘されました。

証拠が失われるとの懸念を受けて、裁判所は2025年5月13日の命令で、OpenAIにすべての出力ログデータを、別途命令があるまで保存して隔離するよう指示しました。この命令は、ChatGPTと直接会話したユーザーのデータだけでなく、API経由で行われたチャットログを含め、あらゆるデータが対象になっているとのこと。


この命令に対し、OpenAIは裁判所に提出した(PDFファイル)文書の中で、「裁判所は報道機関の原告らの臆測のみに基づいて性急な命令を下しました」と指摘。裁判所命令は時期尚早だったと批判した上で、「包括的かつ前例のない命令が施行され続ける限り、世界中の何億人ものChatGPTユーザーのプライバシーが日々危険にさらされています」と主張しました。

AIユーザーからも、プライベートな会話が裁判で開示される可能性があることに対する批判が噴出しており、例えばあるX(旧Twitter)ユーザーは「ニューヨーク治安裁判所のオナ・T・ワン判事は、どうやらニューヨーク・タイムズのベビーブーマー世代の著作権に関する懸念が、あらゆるOpenAIユーザーのプライバシーよりも優先されると考えているようです。正気ではありません!」と投稿しています。


OpenAIはこれまで、ChatGPTユーザーが明示的に同意しない限り、原則的にチャット履歴を保持しない方針を取ってきましたが、裁判所命令により履歴が残らないはずの「一時チャット」でさえ履歴を保持することを余儀なくされていると、OpenAIは主張しています。また、ユーザーはアカウントを削除することであらゆるデータを完全に消去することもできましたが、裁判所命令の影響で30日以内に廃棄されるはずだったデータも保存されているとのことです。

OpenAIは「この複雑な一連の訴訟における証拠の開示に関する裁判所の努力は評価しますが、当社には保持命令に異議を唱え、即時無効を求めることでユーザーの利益を守る以外の選択肢はありません」と述べました。

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