GPS搭載で所在地のタイムゾーンに合わせて時刻を自動調整するミリ秒単位の精密時計「Precision Clock Mk IV」 – GIGAZINE


さまざまなデバイスやソフトウェアを開発しているティム・アレックス・ジェイコブズ氏が、GPS搭載で所在地のタイムゾーンに応じて自動で時刻を調整し、2万FPS以上の超高フレームレートで撮影してもちらつかない、ミリ秒単位の精密時計「Precision Clock Mk IV」を開発しました。

Precision Clock Mk IV – mitxela.com
https://mitxela.com/projects/precision_clock_mk_iv

「Precision Clock Mk IV」がどのような時計になっているのかは、以下の動画を見るとよくわかります。

Precision Clock Mk IV – YouTube


これが「Precision Clock Mk IV」です。通常時はかなり横長の形状で、左側から順に「年」「月」「日」「時」「分」「秒」「ミリ秒」が表示されています。


デジタル時計はLEDが細かい点滅を繰り返しているため、高フレームレートのカメラなどで撮影した場合、表示がちらついたり欠けたりすることがあります。たとえば330Hzで点滅するデジタル時計を1000FPSで撮影すると、以下のように数字がわからなくなるタイミングが多くなります。ゲーミングモニターなどであれば330Hzのリフレッシュレートで問題ありませんが、ミリ秒単位の精密時計では改善の余地があるとのこと。


そこでジェイコブズ氏は、「Precision Clock Mk IV」で最大10万Hzのリフレッシュレートを実現しました。1000FPSのカメラと使い、330Hzのリフレッシュレートを持つデジタル時計(上)と「Precision Clock Mk IV」(下)を比較するとその差は一目瞭然です。「Precision Clock Mk IV」はまったく数字が欠けることがありません。


また、「Precision Clock Mk IV」は照度センサーも備えており、ディスプレイの明るさは周囲の光に応じて自動で調節されます。センサーを隠すと数字が暗くなります。


センサーから手を離すと、再び数字が明るくなりました。


人々から受けたフィードバックの中には、「長すぎるので年月日と時刻を別の行で表示してほしい」というものもありましたが、それだとタイムスタンプとしての美しさが損なわれるとジェイコブズ氏は指摘。


そこでジェイコブズ氏は、「Precision Clock Mk IV」を必要に応じて折りたためるように設計しました。


年月日の部分を持ち上げると、ちょうど時刻との境目にあるヒンジ(ちょうつがい)で折ることが可能。


パタリと折りたたむと、上の行に年月日、下の行に時刻が表示されるデジタル時計になりました。


「Precision Clock Mk IV」にはホールセンサーが搭載されています。


これにより、上半分の行は折りたたまれると自動的に表示内容を回転させられるというわけです。


「Precision Clock Mk IV」の裏側はこんな感じ。


スイスの半導体メーカー・u-blox製のGPSモジュールが搭載されています。


マイクロコントローラーは2つあり、そのうち1つには80MHzのArm Cortex-M4Fが採用されています。


また、16MBのフラッシュメモリも搭載されています。


フラッシュメモリには、公開データから取得した国やタイムゾーンの境界を示す世界地図帳が入っているとのこと。


Arm Cortex-M4Fは地図データやGPSデータを取り込み、「Precision Clock Mk IV」がどのタイムゾーンに位置しているのか、サマータイムなどのルールがあるかどうかを把握し、正確な時刻を表示しています。


「Precision Clock Mk IV」はWi-FiやSIMカードなどではなく、GPSモジュールのみで現在位置を検出しています。そのため、タイムゾーンを超える時もユーザーが何か調整する必要はなく、本体を持ち運ぶだけで自動で時刻を調整してくれます。


GPSとタイムゾーンのデータを組み合わせた時刻調整は、30分のみずれる特殊なサマータイムを採用しているオーストラリアのロード・ハウ島でも機能するとのこと。


タイムゾーンや国境などは永続的なものではなく、時間と共に変更されることがあります。そこで「Precision Clock Mk IV」は、大容量ストレージデバイスとして認識されるUSBポートを備え、ファイルをコピーするだけでデータベースの更新ができるようになっています。


また、「Precision Clock Mk IV」は通常のISO規格に基づいた時間表示だけでなく、ユリウス暦修正ユリウス暦UNIX時間などさまざまな形式で時間を表示することが可能。新しい表示モードの追加も、USBポートを通じたファイルの移動で簡単に行うことができます。


もし「Precision Clock Mk IV」がGPS信号を失ったり、しばらく電源がオフになったりした場合、搭載されている水晶振動子を頼りに時刻を計測します。すると、正確ではない範囲の桁が消え始め、本当に正確な部分のみを表示する仕組みとなっています。


超高フレームレートカメラを使い、1万4000FPSで「Precision Clock Mk IV」を撮影するとこんな感じ。やはり数字が欠けることなく表示されています。


カメラの解像度を落とし、2万5000FPSで撮影しました。この状態でも、「Precision Clock Mk IV」が表示するすべての数字が視認できます。


なお、実際にジェイコブズ氏は「Precision Clock Mk IV」をオランダやギリシャに持ち出し、タイムゾーンが変わると自動で時刻が調整される機能をテストしたとのこと。以下の写真は、ギリシャの港で正確な時刻を表示する「Precision Clock Mk IV」を撮影したもの。


「Precision Clock Mk IV」は以下の公式ショップページから購入可能で、組み立て前のキットが250ポンド(約4万8000円)、組み立て済みの完成品が350ポンド(約6万8000円)。イギリス国外からの注文は、到着時に輸入関税が課される可能性があります。

mitxela.com/shop
https://mitxela.com/shop/clock4

なお、記事作成時点では在庫切れとなっており、公式サイトのフォームにメールアドレスを入力すると、在庫が復活した際に通知を受け取れるようになっていました。

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