アメリカのマルコ・ルビオ国務長官が2025年5月28日に、アメリカ人のソーシャルメディア投稿をブロックしたり、アメリカのソーシャルメディアを規制したりするなどして、「アメリカ人を検閲した」とみなされた外国政府の職員のビザ発給を制限すると発表しました。具体的にどのようなケースが対象になるのかは不明ですが、EUがアメリカの大手ソーシャルメディアに要求している規制強化を念頭に置いた措置だとみられています。
Announcement of a Visa Restriction Policy Targeting Foreign Nationals Who Censor Americans – United States Department of State
https://www.state.gov/announcement-of-a-visa-restriction-policy-targeting-foreign-nationals-who-censor-americans/
US to ban foreign officials over ‘flagrant censorship’ on social media | Reuters
https://www.reuters.com/business/media-telecom/us-visa-policy-targets-foreign-nationals-who-censor-americans-state-dept-2025-05-28/
US will ban foreign officials to punish countries for social media rules | The Verge
https://www.theverge.com/news/675811/us-immigration-visas-censorship-content-moderation-europe-digital-services-act
マルコ・ルビオ国務長官は28日の声明で、「本日、私はアメリカで保護されている表現の検閲に責任を負う外国人に適用される、新たなビザ制限政策を発表します。外国の当局者が、アメリカに滞在中に、アメリカ市民またはアメリカ居住者に対し、アメリカのプラットフォームにおけるソーシャルメディア投稿を理由に逮捕状を発行したり、逮捕すると脅迫したりすることは容認できません。同様に、外国の当局者がアメリカのテクノロジープラットフォームに対し、グローバルなコンテンツモデレーションポリシーの採用を要求したり、自らの権限を超えてアメリカにまで及ぶ検閲活動を行ったりすることも容認できません」と述べました。
ルビオ氏は、新しいビザ政策が対象とする検閲の具体例を示しませんでしたが、X(旧Twitter)やFacebook、YouTubeなどを「大規模オンラインプラットフォーム」に指定し、ヘイトスピーチや児童性的虐待を含む違法コンテンツへの厳格な対応を求めているEUのデジタルサービス法への対抗措置ではないかと、複数のメディアが指摘しています。
J・D・ヴァンス副大統領は、2025年2月にフランスのパリを訪問した際、EUの「権威主義的な検閲」がアメリカのテクノロジー産業を損なうと発言したことがあります。また、トランプ大統領が連邦通信委員会(FCC)の委員長に任命したブレンダン・カー氏が3月に、EUのデジタルサービス法が表現の自由を過度に制限していると非難するなど、トランプ政権はたびたびEUによるアメリカのソーシャルメディア規制を批判してきました。
アメリカのヴァンス副大統領がヨーロッパに「AIに対する過度の規制は産業をつぶす可能性がある」と警告 – GIGAZINE
記事作成時点で、アメリカ国務省のウェブサイトのトップページには国務省民主主義・人権・労働局の上級顧問であるサミュエル・サムソン氏の論説へのリンクが掲載されています。その中で、サムソン氏はデジタルサービス法を「ジョージ・オーウェル的なコンテンツモデレーションを通じて反体制派の声を封じ込めるために利用されている」と批判しました。
加えて、サムソン氏は「独立した規制当局が現在もXのようなアメリカの主要プラットフォームを含むソーシャルメディア企業を監視し、厳格な言論規制に違反した場合には巨額の罰金を科すと脅している」とも述べています。
今回の論争は、トランプ大統領の関税政策を回避するために、EUがアメリカとの貿易協定の締結を模索する中で発生しました。また、ルビオ氏が声明を発表したのは、ワシントンを訪問しているドイツのヨハン・ワーデフール外相との会談が行われる直前のタイミングだったと、ロイターは指摘しました。
新政策の対象として懸念されているのは、EUだけではありません。ブラジルでは、ソーシャルメディア投稿の削除をめぐってXと最高裁判所が対立しており、2024年10月にXが罰金を支払うまで、一時ブラジルでのXのサービスが停止されたことがあります。
ブラジル最高裁がXに国内でのサービス停止を命令 – GIGAZINE
ある関係者が匿名を条件にロイターに語ったところによると、ブラジル政府は、新政策の対象になる人物とその範囲が明らかになるのを注視しているとのことです。
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