アメリカのドナルド・トランプ大統領は2025年4月2日にホワイトハウスで演説し、相手国の関税率や非関税障壁を踏まえて自国の関税を引き上げる「相互関税」を導入すると発表しました。日本や中国、インド、ベトナムなどからの輸入品に対して大規模な関税が課せられ、ハイテク産業が大打撃を受けています。
Apple leads a drop in tech stocks after Trump tariff announcement
https://www.cnbc.com/2025/04/02/-apple-leads-drop-in-tech-stocks-after-trump-tariff-announcement.html
Trump’s New Tariffs Test Apple’s Global Supply Chain – The New York Times
https://www.nytimes.com/2025/04/02/technology/trump-tariffs-apple-iphones.html
Tariff Loophole That Helped Temu, Shein Shipments Will Close May 2 – Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-04-02/de-minimis-tariff-loophole-that-aided-temu-shein-to-close-may-2
トランプ大統領は今回の相互関税導入措置で、すべての輸入品に一律10%の基本関税を課した上で、国・地域別に税率を上乗せすると発表。これにより、日本からの輸入品には10%の基本関税+24%の相互関税=合計34%の関税が、中国からの輸入品には20%の追加関税+34%の相互関税=計54%の関税が課されることになります。また、インドに対しても26%、ベトナムに対してはなんと46%という高い相互関税が上乗せされます。
相互関税導入の発表はアメリカ経済、特にグローバルなサプライチェーンに依存するハイテク産業に大きな衝撃を与えました。4月2日の取引終盤、アメリカの主要テクノロジー株は軒並み急落し、Appleの株価は7%以上も下落。Amazonも最大で約7%の値下がりを記録しました。MetaとNVIDIAはそれぞれ約5%、Googleの親会社であるAlphabetは約4%、Microsoftも約3%の下落となりました。
その中でも、特にAppleへの影響は深刻といえます。Appleの主力製品であるiPhoneやiPadの多くは中国やベトナムの工場で製造されているため、今回の関税強化により、製品価格の上昇や供給網への打撃が懸念されています。アナリストの間では、Appleが製造コストを吸収しきれず、最終的に消費者価格に転嫁される可能性が高いとみられています。
さらに、アメリカ大統領府は同日、アメリカに輸入される一部の低価格商品に適用されていた非課税基準額(デ・ミニミス)制度の見直しを発表しました。デ・ミニミス制度により、これまで1日あたり800ドル(約11万8000円)以下の商品には関税が免除されていましたが、2025年5月2日からこの制度が廃止されるため、この仕組みを利用した廉価販売で人気を集めていた中国系の格安通販サイトのTemuやSHEINなどが大きな影響を受けるとみられます。
ホワイトハウスは、公式声明で「中国はアメリカの合成オピオイド(フェンタニル)危機に深く関与しており、デ・ミニミス制度がその温床となっている」と強調しており、デ・ミニミス制度の見直しを「中国からのフェンタニル原料の流入を阻止し、アメリカ国内の薬物危機に歯止めをかけるための国家安全保障上の対応」と位置づけています。
今回の関税と制度改革は、アメリカ経済の保護を掲げるトランプ大統領の強硬な通商政策の一環として位置づけられていますが、国際的な供給網や消費者価格に与える影響も大きく、今後の経済や外交政策において大きな波紋を呼ぶ可能性があります。
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