トランプ政権によってアメリカ合衆国憲法修正第1条が攻撃を受けている – GIGAZINE


メモ


アメリカ合衆国憲法修正第1条は、国教の樹立を禁止し、宗教の自由な行使を妨げる法律を制定することを禁止するというものです。しかし、ドナルド・トランプ氏が第47代アメリカ合衆国大統領に就任したことで、アメリカ合衆国憲法修正第1条に対して前例のない攻撃が仕掛けられていると、セキュリティアナリストのブライアン・クレブス氏が語っています。

How Each Pillar of the 1st Amendment is Under Attack – Krebs on Security
https://krebsonsecurity.com/2025/03/how-each-pillar-of-the-1st-amendment-is-under-attack/

クレブス氏はアメリカ合衆国憲法修正第1条を支える柱として、「請願権」「集会の自由」「報道の自由」「言論の自由」「宗教の自由」という5つを挙げています。この5つの柱に対して、トランプ政権がどのような攻撃を仕掛けているのかは、以下の通り。

◆請願権
請願権は、国民が報復を恐れることなく不満を訴えたり、行動を要求したり、意見を共有したりすることで、政府と意思疎通を図る事を可能にする権利です。しかし、この請願権はトランプ政権によってさまざまなレベルで侵害されていると、クレブス氏は主張しています。

まず、共和党議員の多くが指導部からの助言に従い、地元の町内会などに出席しないことで、政権による予算と人員削減の影響を受ける有権者の怒りを避けているそうです。トランプ大統領は、政府機関の情報公開法(FOIA)に基づく要請の処理に携わる人員を解雇することで、ジャーナリストや国民が政府の記録を要求することができないようにしています。

また、政府に請願する場合、特に政府が要求を無視した際に、法廷で連邦機関に異議を申し立てる必要があることが多いそうです。しかし、有能な法律事務所がトランプ政権に逆らう可能性のある訴訟を避け始めると、それは困難になります。2025年3月22日、トランプ大統領はアメリカ司法省と国土安全保障省の長官に対し、「アメリカに対して不当かつ迷惑な訴訟に関与する、あるいは連邦機関に持ち込まれる案件に関与する弁護士や法律事務所に対して制裁を求めるよう指示する覚書」を発行しました。


他にも、トランプ大統領は自身に不利な訴訟を担当した弁護士を擁護する法律事務所を非難する大統領令をいくつか発令しています。

◆集会の自由
トランプ大統領は大学での合法的なデモを阻止するためにさまざまな措置を講じており、トランプ大統領が「違法」とみなす抗議活動を支持する大学への政府資金を削減すると脅迫しています。

トランプ大統領は2025年1月の大統領就任直後に、アメリカの大学キャンパスにおける「反ユダヤ主義の爆発的増加」に対する連邦政府による広範な取り締まりを概説し、ビザで合法的にアメリカに滞在している外国人留学生はアメリカ国民と同じ言論の自由や適正手続きの権利を享受しているわけではないと主張しました。

さらに、3月10日には教育省(DOE)の公民権担当局長代理が60の教育機関に書簡を送り、反ユダヤ主義対策を強化しなければ政府からの資金援助を失う可能性があると警告したことが報じられています。その後、トランプ大統領はDOEを閉鎖しています。


アメリカ移民関税執行局の職員は、合法的にアメリカに滞在している新パレスチナ派の学生を拘束し、国外追放しようとしています。トランプ政権は、ガザ攻撃に反対を唱えた学生や学者、あるいは攻撃に対するアメリカの支援に反対するキャンパスでの抗議活動に参加した学生や学者をターゲットに、国外追放を行っています。マルコ・ルビオ国務長官によると、トランプ政権下でこれまでに少なくとも300人の留学生がビザを取り消されたそうです。

◆報道の自由
トランプ大統領は、60 Minutes、CNN、The Washington Post、The New York Timesなど複数の報道機関を「不当な報道をした」として訴えています。

例えば、トランプ大統領は60 Minutesとその親会社であるパラマウントに対して100億ドル(約1兆5000億円)の訴訟を提起しており、「2024年のアメリカ大統領選挙で対立候補のカマラ・ハリス氏とのインタビューを恣意的に編集した」と主張しています。なお、この訴訟について、パラマウントは数十億ドル(数千億円)規模の買収に対する政府からの承認が得られなくなる可能性を危惧して、和解を検討していることが報じられています。


◆言論の自由
トランプ政権は、政府職員や政府機関が報告書や通信で使用してはいけない数百単語をリスト化して配布しています。

また、ブルッキングス研究所によると、トランプ政権による言論統制指令に従う動きの中で、連邦政府機関は犯罪・性的指向・性別・教育・気候・世界開発に関するデータを含む、納税者からの資金提供を受けた無数のデータセットを政府のウェブサイトから削除したことが指摘されています

アメリカ疾病予防管理センターの公開データなど政府サイトからさまざまなページがトランプ大統領の命令で消滅、一体何が消えたのか? – GIGAZINE


◆宗教の自由
トランプ政権は教会・学校・病院など、「敏感」あるいは「保護された」場所やその近くで移民執行措置を取らないようアメリカ合衆国移民・関税執行局(ICE)職員に指示する数十年前の政策を撤回しました。

この指令は、クエーカー教徒、バプテスト教徒、シク教徒のグループが起こした訴訟で直ちに異議を唱えられています。政策転換により民事移民法違反で逮捕されることを恐れ、人々が礼拝に出席できなくなっているという声も上がっています。これを受け、2025年2月24日に連邦判事がICE職員が教会に入ることや、教会近くの移民を標的にすることを禁止しました。

トランプ大統領はまた、パム・ボンディ司法長官が率いる「反キリスト教的偏見を根絶するためのタスクフォース」の創設も発表しています。一方で、キリスト教がアメリカで最大の宗教であることや、議会で多数のキリスト教徒が代表を務めていることは無視されています。これに対して、バプテスト派の牧師であり、進歩的な宗教間同盟の代表であるポール・ブランダイス・ラウシェンブッシュ牧師は、タスクフォースを創設して宗教を擁護すると主張するトランプ大統領の偽善を非難する声明を発表しました。

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