2024年にNASAがNASAがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いて観測した「JADES-GS-z14-0」は、これまで検出された銀河の中で最も遠いものであることが証明されました。さらなる研究では、そんな最も遠い銀河に「酸素」が存在している可能性が示されています。
Detection of [OIII]88µm in JADES-GS-z14-0 at z=14.1793
(PDFファイル)https://www.eso.org/public/archives/releases/sciencepapers/eso2507/eso2507b.pdf
The eventful life of a luminous galaxy at z = 14: metal enrichment, feedback, and low gas fraction?
(PDFファイル)https://www.eso.org/public/archives/releases/sciencepapers/eso2507/eso2507a.pdf
Oxygen discovered in most distant known galaxy | ESO
https://www.eso.org/public/news/eso2507/
NASAの天文学者チームは2024年に、JWSTのNIRSpec(近赤外線分光器)を使用して、「JADES-GS-z14-0」という銀河を10時間近く観測することに成功しました。銀河のスペクトルを処理したところ、これまで検出された銀河の中で最も遠いJADES-GS-z13-0の赤方偏移は「13.2」であったのに対し、新しく発見されたJADES-GS-z14-0の赤方偏移が「14.32」になることが判明したため、これまで観測された銀河の中で最も遠いものであると結論付けられました。
NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測史上最も遠い銀河を発見 – GIGAZINE
JADES-GS-z14-0は地球から134億光年離れた位置にあるため、現在観察できる様子は、銀河ができてまだ若い状態であると考えられています。若い星は水素やヘリウムなどの軽い元素でできているため、研究者たちは「観測できるJADES-GS-z14-0はまだ若いため、元素が豊富には存在していない」と考えていました。
しかし、チリのアタカマ砂漠に建設されたアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を用いた複数の研究の結果、「JADES-GS-z14-0には予想の約10倍の重元素がある」ことが示されました。天文学において「重元素」とは水素とヘリウム以外のすべての元素を指すため、観察できるJADES-GS-z14-0はまだ若い時点の銀河であるにもかかわらず、成熟した銀河にしか存在しない酸素が存在していることになります。遠方の銀河での酸素の存在は、初期宇宙での星形成活動や元素合成の歴史を探る上で貴重な情報を提供します。
オランダにあるライデン天文台の博士課程の学生で、オランダ主導のJADES-GS-z14-0研究で主著者となっているサンダー・ショウス氏は「今回の発見は、赤ちゃんしかいないはずのところに思春期の子どもが見つかるようなものです。予想を超えた重元素の存在は、銀河が非常に急速に形成され、また急速に成熟していることを示しています。最近の研究では、銀河の形成が予想よりもはるかに速く起こっているという証拠が増え続けています」と発見の驚きについて述べています。
また、イタリアのピサ高等師範学校でJADES-GS-z14-0の研究を主導するステファノ・カルニアーニ氏は「予想外の結果に驚きました。今回の発見により、銀河が進化する初期段階に関する新たな見解が開かれたからです。まだ生まれたばかりの銀河がすでに成熟しているという証拠は、銀河がいつ、どのように形成されたのかという疑問を提起します」と発見の重要性を語りました。
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